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環の直和

である。

また、 (第 i 成分以外は、0)とすると、 は、R の両側イデアルである。

可換環 R の二つのイデアル I,JI+J = R を満たすとき、IJ と互いに素であるという。すなわち次の同値条件を満たすことである。

においては、 が互いに素な事と、 すなわち、mn の最大公約数が 1 であることは同値である。実際、x+y = 1 となる が存在するということは、am+bn = 1 となる が存在することであり、このことは、 と同値であるからである。

「3 で割って 1 余り、10 で割って 3 余り、7 では割り切れ、13 で割ると 11 余るような数はあるだろうか。またあるならばそれをすべて求めることが出来るか。」という種類の問題は、古くからいろいろと考えられていたようで孫子の「兵法」に軍隊の編成の問題から議論されていることなどから、この問題を取り扱った次の定理は中国剰余定理 (Chinise Remainer's Theorem) と呼ばれているとのことである。

 

n = 2 のとき 仮定より、 となる がある。そこで、 とおくと、 で、

となる。 も同様にして得る。

n > 2 のとき まず、各 i について、次の性質を満たす が存在することを示す。

記号を見やすくするため、i = 1 のときを考える。 については、 だから、 となる、 がある。すべてを掛け合わせると、

だから、 とおくと、 である。とくに、 すなわち、二つのイデアル は互いに素であることが分かる。上記 n=2 の時は、既に示してあるから、 で、

を満たすものが存在することが分かる。ところが、 に対して、 であるから、 でもある。これで最初の主張が示された。

今、各 i について、 をとり、 とおくと、

となり、求めるものが得られた。



Hiroshi Suzuki
1999年09月30日 21時04分33秒