「戦後」の起点となる戦争をどのように呼ぶかもさまざまです。第二次世界大戦、または、太平洋戦争のほうが一般的かもしれません。しかし、第二次世界大戦は、大きく、ヨーロッパにおける、ドイツなどと、連合国の戦いと、アジア・太平洋における、日本と、アメリカを中心とした連合国との戦いに分けられます。日本がどのように関わったかを考えると、日本とアメリカの戦いを中心と考えて、太平洋戦争と呼ぶことも多いでしょう。しかし、昭和16年(1941年)(日本時間では)12月8日以前から、中国での戦争は、続いていましたし、中華民国も、連合国に含まれています。なぜ、アメリカと戦うことになったかの背景を考えると、日中戦争を考えないわけにはいきません。すると、満州事変からは、一連の戦争と捉える方が適切なように思います。下に掲げた、NHK のサイトでも、名称は、太平洋戦争としていますが、1931年の満州事変から年表を始めています。また、太平洋戦争の開始を、真珠湾攻撃からとすることが多いと思いますが、その1時間前に、マレー半島のイギリス軍と戦争が始まっています。さらに、犠牲者の正確な数は、その後の中国国内での内戦(中国共産党軍と中華民国軍の戦い)や、アジア諸国の独立戦争との関係があるので確定することが難しいのですが、下の資料から読み取ると、日本人は約310万人、アメリカ人は約11万人、中国人は1,000万人以上、中国以外のアジア人は910万人以上となるようです。詳細は議論が必要なのでしょうが、アジアの人たちの犠牲者は1,900万人以上、海外を侵略(進出と呼んでも構いませんが)しなければ、死ななくてよかったかもしれない人たちがほとんどであったように思います。このことを覚えるためにも、名称は、アジア・太平洋戦争と呼ぶべきだと個人的には考えています。他の箇所にも書いたり、話したりしていますが、わたしは、1970年、高校二年生のときに、東南アジアを貨物線で53日間まわりました。その準備の段階から、戦争責任について考えてきたので、考え方が特殊なのかもしれません。ただ、戦争の名称論議が、イデオロギー論争となり、それ以上共に考えることはしないという場合も生じるようですから、戦争の名称は、ご自分が呼び慣れたものを使っていただくので構わないと思います。わたしも、「先の戦争」ぐらいの呼び方を主として使いたいと思います。少しでも、みなさんに興味を持っていただいて、考えていただければ幸いです。