Last Update: September 28, 2013
NS I Mathematics A: The World of Mathematics
自然科学 I 数学 A:数学の世界
この授業について :
目 的
多岐にわたる数学の分野の中から選ばれたトピックスを通して数学の世界を理解する。たとえば、組み合わせの数学、微分積分の発生の歴史、幾何学の代数的な方法が考えられる。(教養学部要覧より)今回は、組み合わせ数学、グラフ理論などを題材に、高校までの数学とは少し違った内容を取り扱いながら、論理・推論・証明を学習する。論理的思考力をはぐくみながら、理解・納得・知的感動を共有することをめざす。
Through topics from various fields of mathematics, students are invited to the world of mathematics. Topics depend on the lecturer and are chosen among mathmematics of combinatorics, history of calculus, algebraic methods in geometry and others. (Bulletin of the CLA) This year we discuss combinatorics and graph theory, and learn logical deduction and proofs in mathematics. I hope we can share high-level understanding, wonders and excitement in mathematics.
内容
高等学校の教科、数学Aとは関係ありません。「数学B:数学の方法」と区別するための記号です。2001年から5年間「数学B:数学の方法」を教えてきました。今回の内容は、私が「数学の構造」(2000年のカリキュラム改革で、数学A、数学Bに分割)で以前教えていた内容に近いものです。私のホームページ内の「数学の構造」ホームページを参照してください。「数学B:数学の方法」は、社会科学などで数学を実際に使う人のための数学、理学科の基礎科目の数学を履修するためのステップアップが目的です。そのような人は、秋学期・冬学期に開講予定の「数学B」を履修してください。「数学A:数学の世界」では、役に立つ数学をめざすのではなく、数学のパズルのような部分を楽しみながら、論理的思考の原点ともいうべき、数学の論理・推論と証明を学びます。最初の一週間の内容は、その後の数学を語る言葉ともいうべき、集合と論理で「数学B」と共通ですが、そのあとは、組み合わせ数学、グラフ理論といわれるものが内容です。高校までで学ぶ数学とはあまり共通部分がありません。数学が苦手だと思っている人、論理的思考に強くなりたい人、数学を純粋に楽しみたい人、数学が嫌いで嫌いでアレルギーが出るという人、歓迎です。
- 集合と論理(Sets and logic)
- 1対1対応(One-to-one correspondence)
- 数学的帰納法(Mathematical induction)
- 鳩ノ巣原理(Pigeon hole principle)
- 握手の問題・グラフ理論入門(Shakehands problems, an introduciton to graphs)
- 最適化問題(Optimization)
- オイラーグラフ・ハミルトングラフ(Euler graphs and Hamilton graphs)
- 平面的グラフ(Planer graphs)
学習の状況をみて内容を多少取捨選択する可能性があります。
受講者の皆さんへのひとこと
この授業は、数学についてのことを扱うものではなく、数学自体を、数学における考え方を体験してもらうことが目的です。その意味でも、皆さんが自分の頭で理解しようとし、考えて下さらないと始まりません。その意味で、「頭の体操」という要素も持っています。ただ、それが最終目標ではないつもりですが、それは、受講されてからのお楽しみです。是非、通信欄メッセージなども読んで下さい。クラスの雰囲気がわかると思います。以下に授業中、何度も言っているいくつかの「細かいこと」について書きます。
- 教科書は指定しません。しかし、この授業で使う問題の約半分は下の本からとったものですので、これを参考書としてあげておきます。
ロバース他著・秋山、フランクル共訳
「入門組合せ論」共立出版
- 定義は黒板に書きますが、証明を詳細には書きません。自分の言葉で理解して、それを書いて欲しいからです。私が書いたものをそのまま覚えてもらいたくないからでもあります。
- 理解したつもりでも、間違っていることは良くあります。私も解けたと思っても間違っていることを発見することが日常的です。数学を専攻する学生は、自分の論理に綻びがないか、飛ばしていることがないか、この論理の訓練が大学での基本的な訓練事項です。その、ほんの一部分を皆さんにもここで経験してもらいたいと思っています。この問題を解決するため次の二つの項目があります。
- 小テストをします。証明問題が殆んどです。クラスでやった問題、または、それと殆んど同じ問題なので、面白くないと感じる人もいると思いますが、それを毎回、小テストの後もう一度説明し、採点して返します。あっていると思って書いた人でも点がとれていなかったり、書こうとして、自分が良くわかっていないことに気づいたりということがあると思います。
- 友達同士で説明をしあったり、家族の人に話したり、家庭教師先で話したりはよい訓練となります。自分が良く理解できているかチェックできます。
- 上のように、誰にでも理解でき、誰から聞かれても説明できる言葉で論証すること、これは、数学の基本の一つです。そのために言葉を厳密にしていくわけですが、そのステップをあまり踏まなくて良い題材として、ここでは、「組合せ論」を選んでいるわけです。他の題材でも可能だと思いますが、私が一番やりやすいものを選んでいます。
- 殆んど理解しているがあと一歩というひとがたくさんいます。この辺から、わかるわからないがわかれていくのでしょう。みんなが、苦労せずにわかってしまっては私も商売あがったりですから、これは、これで良いのですが、その一歩を越える努力をすると、世界が広がると私は思っています。その世界を経験していただければと思います。
- 世の中には、「数学が得意な人」「数学が不得意な人」もちろんいます。ある人が、遺伝子が違うと言っていました。生まれつき違うものです。「数学ができる奴もいるし、できない奴もいる」このことは事実です。それは受け入れてしまって良いと思います。でも、運動能力が抜群の人でなくてもスポーツを楽しめます。いろいろな楽しみ方があるからです。かつ、それぞれの楽しみ方でも、スポーツはそれぞれの人にとって有益です。数学もそう言ったところがあります。
- 基本的には、楽しんでいただければ一番だと思っています。授業ですから、成績は出ますが、大切なのは、皆さんのノウミソが刺激されかつ、それが快感のうちに一学期過ぎていくことです。楽しんで下さい。
- 私の授業に出ることのできない、ICU以外の方々も、このページで様々な面で楽しんでいただければと思っています。
2006年度授業の反省点
毎年、反省点をまとめて書いています。すぐ忘れてしまうので。次に同じ授業を教えるときの参考とするためです。公開しているのは、教える側がどのように考えているかを知ることも相互理解のために無駄ではないと思うからです。
- 新しいコースで準備がままならずまさに自転車操業だった。かなりの部分を以前教えていた「数学の構造」から取ったが、このトピックであと2・3回は教えてみたい。今まで、火・木・木が多かったが、月・水・金のほうが学生も教員もペースが良いかも知れない。
- 3回一区切り、1回目はハンドアウト、2回目はコメントシートを配り、NetCommons に応答を載せる、3回目は解説の補足と小テスト、これは、良いサイクルで機能したと思う。
- コメントシートはまったく個人的なものもあり、それには、個人に返事を書きたいが、それ以外は、NetCommons のもので十分。そう考えると、手書きでの応答はやめて、個人的なものは、yamata での応答。それ以外は、NetCommons に response というほうが、良いかも知れない。Quiz のメッセージ欄への応答は良いとして、こちらは、無駄も多かったかも知れない。実際、小テストの寸前に返ってきても、あまり有効ではないから、NetCommons での応答のほうが有効であるように思われる。
- NetCommons 内の BBS がもっと利用されると良いと思うが、これに張り付くことに懸念もあり、むずかしい。検討課題。
- 論理を大切にするため「集合と論理」を最初に持ってきたのはよかったと思う。これからもこれを続けたい。非常に簡単なものであっても、論理の確認に論理記号を使えること、集合の記号を使えることは、あとの展開で無理が無くなる。しかし、十分時間を使うわけではないので、結合命題の等値、具体的な命題での同値性との区別などは時間がかけられず直観的な判断に任せるしかない。For All と Exist は、命題の証明には不可欠だが、ここまでは使わず、ドモルガン程度で停めておいた方が良いかも知れない。
- 論理を言葉で説明することに中心をおいたので、どうしても言語の問題が不安を残した。すべて日本語で進めた方が、majority にとっては良いだろう。ただ、実際に、9月生で苦しんでいる数が多いと、英語を使いたくなってしまう。ただ、それが有効かどうかはまた別の問題。GE と、Linear I ではつねに大きな課題だ。
- 数学的帰納法はあとで有効になってくることが分かるので、最初の時に、完璧に理解できなくても良いかも知れない。
- 最初は、ばらばらのトピック、最後にある程度つなげるというスタイルは良いように思う。コースに入り込むのに、人によってかかる時間が違うので、最初から積み上げをするのは、無理。ただ、最後に、いろいろなものがつながるのが、あっとうされ、拒否反応を起こす人もいるようだ。
- この授業では、教科書を指定することは難しいが、もう少し各自が勉強する手立てを紹介できるように準備する必要がある。次回からは、今回のものが参考にはなると思う。
- Challenge Problem をだれかに説明してもらうなり、そのようなことでペースを落とすことも考えられた。忙しかったとの印象は、多く寄せられている。
- クラスの最初静かになるまで目を閉じて祈っていたが、最後まで、この静かになる時間が短縮されなかった。これはちょっと驚き。遅刻のことも、最初に「途中での入室は、自分は我慢できるが、クラスの進行に障害になっているという意識はもってほしい」と言ったが、それだけでは足りなかったのだろうか。同時に、電車が止まったことが最低2回あったのにも驚かされた。信頼関係を築き、みなが集中できる形で授業をすすめるのは本当に難しい。遅刻・欠席の問題とあわせて、なかなか難しい。
- 期末の問題の難易度は適切だったとおもうが、皆がよく勉強してくれたおかげで、平均点が上がり、特に、A, B 境界線が1点差になってしまった。もう少し難しくすればそれは解決されるが、どちらを取るかは難しい。満足度の高さは第一因子ではないが、次のステップ(べつに数学に限らず)へと進む為には、重要。
- 一番の感激は、ほとんどの学生があくまでもポジティブに受け取ろうとしていること。十分難しく、大変だったにも関わらずそれをポジティブに受け取ろうとしている姿は、感動であると同時に教えているもの、教壇に立つものの責任の重大さとしても跳ね返って来る。この緊張感はすばらしい。
2008年度授業の反省点
毎年、反省点をまとめて書いています。すぐ忘れてしまうので。次に同じ授業を教えるときの参考とするためです。公開しているのは、教える側がどのように考えているかを知ることも相互理解のために無駄ではないと思うからです。
- 総論:2006年と比較すると、資料が十分あり、かなり余裕があった。3回一区切りで、小テストまでしていくのは、忙しいことは確かだが、週3回の授業を考えると、適切だと思う。学生も緊張感を持って臨めると思う。
- 内容:大体今回で固まったが、組合せ論・グラフ理論でもあと幾つかの項目に挑戦するのもよいかも知れない。トピックの幅がないと、ある程度深めることで問いを作ることもできるが、難しくなることもあるので、Open Book での問いをある質で維持するためにも、もう少し違うトピックに挑戦した方が良いように思う。いずれにせよ、身近な問題に表現を変えることができる意味でも、このトピックは数学の世界の授業にあっていると思う。しかし、あと2回ほどしたら、初等整数論など、他の分野で挑戦するのもよいかもしれない。「数の世界」
- 内容2:法学との関係を少し強調したかったが、うまくいったかどうか。そこまで手を広げるのがよいかどうかは不明。しかし、論理的を一つの主題とするなら、もう少し、勉強しなければいけない。NetCommons のレポートの項でかいた様に論理的誤りとはを例を示して説明できるようなことは重要。だれか卒業生(弁護士・哲学)に話してもらうのもよいかも知れない。
- 前提が明確ではない。
- 推論が誤っている。(論理の授業で扱ったのは、この場合が多いですね。)
- 途中の推論の理由がぬけている。p⇒q, q⇒r といくべきところ、q が抜けているなど。
- 因果関係なのか、相関関係なのか明確でない。
- 定義が明確でない。
- 論理構成が複雑で、明確ではない
- 場合分けがされているが、ある場合が落とされている。
- 比較しているがたとえばその一方のデータが欠落している。
- 例と一般論とが区別されていない。
- 内容3:全体の問題の関連を、チャートなどに書いておいて、それぞれの時点でどの程度理解しておかなければならないかをもう少し明示できるとよかった。自分でも頭の中で、めくら碁をやっている感じで、完全にはいかない。
- 論理思考のために:定理は厳選し、そこから簡単に論理的に導けるものは、その定理に戻ること、そして定理の証明を思い出すことに重点を置いた方が良いように思う。あーだからコーなってといつも思考できるように。証明が多いと、履修していない友人に話すのも難しくなる。友人に説明すること、一緒に考えることで、論理のギャップが埋まっていき、理解が深まることは、今回も、如実に出ている。そのような人(兄弟や家族、家庭教師の生徒、数学に興味を持つセクメなど)がいるかどうかは、本人の理解の程度にも大きく関わることである。
- ハンドアウト:大分整備されたがやはり読みづらい。まずは、最初の幾つかのように、練習問題を増やして、最低二ページのバージョンを作ることだろう。簡単な計算問題(自習のため)も入れておくとよいかも知れない。ヒントつきで。
- OHC vs Presentation Tool:今回かなり書画カメラ(OHC) を利用したが、後ろの席では、subscreen をみても、Plazma display を見ても見づらかった。やはり、slide にしてしまった方が、字の大きさも調節できるので読みやすいのだろう。書き込むことがひつようなときだけ、OHC を利用した方が良いかも知れない。要検討。
- コメントシート:質問については、基本的にすべて応答し、単なるコメントも、ある程度応答することとした。NetCommons Cabinet 内に入れた。利用した人は非常に評価が高いが、実際は、1/3 程度の受講生しか利用していなかったようで、難しい。あまり、必ず見るようには勧めたくないので、もう少し、注意を促す程度か。
- NetCommons: Journal は自分の備忘録のためにもよいが、休んだ場合は必ず確認することなど、もう少し利用を促した方が良いかも知れない。期末が Open Book だと知らなかった学生、Responses を最後まで知らなかった学生など、個人の問題といってしまえばおしまいだが、最低見るべき事を何回も確認すべきだったかも知れない。BBS も同様に殆ど利用されなかったが、敷居が高いのかも知れない。いずれにしても、期末試験のできをみると、何らかの自習、グループ学習はあったようなので、この程度でよいのかも知れない。
- レポート課題:今回は「A. 新聞の記事 (Japanese or English) で論理に問題がある、または論理展開が秀逸なものの例とその論理に関する考察。」と「B. 美しいと感じる数学の理論または定理とその証明、およびその美しさの説明。」とした。それなりの意味はあったと思うし、論理を追いながら新聞を読む訓練や、数学の美しさを自分が学んできたことに照らし合わせて考えたり、何か本を読んで学ぶことに意味が十分あると思うし、補完的なトピックの意味もあると思うが、まだ今後の改善が必要。A は日本の新聞または論説が、論理を大切にする形になっていないこと、前提をどこに置くかの合意もないこと、などなどこの課題の前に扱わなければいけない問題がたくさんあるように思われる。B はどうしても限られた範囲になってしまい、題材を見つけるのが難しいかも知れない。7.5% としたのは、妥当。
- レポート評価:今回三つの評価基準としたが、一つで選んでもらうのもよかったかも知れない。持ち点3点で。どれが一番学んだか。点数配分も、不満を生じたようで、検討を要する。
- 出席しなくなった学生のサポート:今回は、レポートの締め切り後に、メールで状況を聞いた。これで約半分は復活したと思う。これより早くするのは、難しい面もあり、この時期程度が今後とも適切か。
- レビューセッション:出席が少なかった。もう少し、時間を狭めた方がかえってよかったかも知れない。勉強するものを十分提供してあれば、あとは必要に応じて答えるのがよいのであろう。
- レベルの問題:この内容では不満というひとも、おそらく10% 以上いたであろう。これは永遠の課題。チャレンジ問題などを利用することもよいかな。
- 言語:今回は完全に日本語だけにしてしまった。それでよかったのか。不満が述べられなかったのでそのままにしてしまったが。
- 学生の参加:一回だけ学生に前に出て説明してもらい、非常に好評だった。一つで書きの漢字でも、少しお願いしたが、もう少し可能であるように思う。あまり負担にならない程度に、その割合を上げていってもよいかも知れない。簡単に一つの問題を解説してもらうとか。
- クラスの最初静かになるまで目を閉じて祈っていたが、この静かになる時間が短縮は難しい。
- 期末の問題の難易度は適切だったとおもうが、目新しい問題を入れるのは、今回の7番のように、採点で注意しないと、どうしても all or nothing になり、冒険をしにくい。
- 授業ヘルパー:今回からの変更。ハンドアウト・その他の印刷、小テスト並び替え、小テストのコメント入力、コメントシート並び替え、期末試験をメルボに返すなど。本当にお世話になった。
- 一番の感激は、ほとんどの学生があくまでもポジティブに受け取ろうとしていること。十分難しく、大変だったにも関わらずそれをポジティブに受け取ろうとしている姿は、感動であると同時に教えているもの、教壇に立つものの責任の重大さとしても跳ね返って来る。この緊張感はすばらしい。それが ICU だということだろうか。
2011年度授業の反省点
毎年、反省点をまとめて書いています。すぐ忘れてしまうので。次に同じ授業を教えるときの参考とするためです。公開しているのは、教える側がどのように考えているかを知ることも相互理解のために無駄ではないと思うからです。
- 内容は十分練れてきている。正直に言うと他のトピックにも挑戦してみたいが、大学の役職などをしていると、時間が十分ではなく、毎年先送りになってしまう。一般教育という枠組みでは、同じトピックのなかで多少シフトすることはできるが、コースとして熟成されているとも言える。あと一回、記録に残すようなことを考えたい。
- Quiz のメッセージ欄コメントは、授業ヘルパー、コメントシートは TA と両者にお願いできたのは非常に助かった。それでもむろん、わたしがする部分はかなりあったが。サポートを感謝しつつ。次回から、コメントシートのレスポンスは、もう少し減らしても良いかも知れないと思う。スタイルは維持したいが。
- 大きな変化は、音声付き画面収録をして、Moodle 内で公開したこと。大学で教え始めて、31年目にして、世界がひらけた気がする。折しも、Apple が iBook Author を発表したり、OCW, JOCW, iTunes_U, YouTube_Education など教育メディアもあたらしい時代に入ろうとしていると感じさせられる。Open Education は、日本ではまだまだ意識が低いが、すべてのひとの教育を考えた時、教育を商売とせず、ひとを育てる Open な世界が広がることには、普遍的な価値があると思う。この音声付き画面収録にはなにかそのようなものの入り口さえもイメージさせてくれる興奮がある。丁寧にすこしずつ改善していきたい。
- この授業はまず黒板、それがスライドと黒板とOHC というパターンを利用していたがが、音声付き画面収録を考えると、もう少し、画面上でできないかと模索することになる。同時に、学生がノートをとったり、自分で考えたりすることを促進するには、どのような手法がよいのかも考えさせられる。さらに困難なチャレンジがあるのかもしれない。
- 今回は、定理もごまかさず、丁寧に説明することを心がけた。それにより内容が難しくなってしまう、授業も何回かできてしまったが、一長一短。真正面から攻略したことで、すべてが理解できるレベルのものであるというメッセージは伝えられたかも知れない。もちろん、厳密性は、追求できないが。ただ、定理の証明まで授業でしたため、Quiz や、期末試験の問題作成が難しくなった。過去の問題もたまってきていて、Open Book ということがかえって制約となってきている面もある。しかし、これも過渡期なのかもしれない。過去問をすべて勉強することはいずれ非現実できになるかも知れないから。そでも Open Book では同じ問題がだしにくいということは残るが。
- コメントにもあったが、ハンドアウトはそろそろ大幅改定すべきかもしれない。スライド作成で、図もかなり増えたので、図をたくさん入れることは可能になったろう。ただ、図だけでリカする危険をどのようにカバーするか、別の問題が生じるかもしれない。
- 正直に言って、レポートが大変だった。もっと良い方法が必要。レポートを公開し、投票してもらうシステムは有効だが、もうすこし手間を軽減したい。学生に scan を強いるのは、難しいことを考えると、提出方法もむずかしい。身近な数学のほうは、もっと豊かにできるかも知れない。参考書などもあげることもできるので、こちらをもう少し充実する事は可能と思われる。
- Moodle をもう少し GUEST に公開することは考えたい。他の教員ということもあるが、履修しようとする学生に見てもらうことも一つである。何らかの方法を考えたい。
- 九月生に対するサポートは十分では無かった。ことばを駆使する授業となることもあるので、なんからのサポートを強化する必要がある。特にN系一般教育科目で英語で出ているものが殆ど無い現実を考えると、努力したい。J/E や E/J で開講するのも一つだろうか。言語については、むろん、わたしの能力不足もあり、どのようにすべきか難しい。しかし、改善は絶対的に必要。
2012年度授業の反省点
毎年、反省点をまとめて書いています。すぐ忘れてしまうので。次に同じ授業を教えるときの参考とするためです。公開しているのは、教える側がどのように考えているかを知ることも相互理解のために無駄ではないと思うからです。今回は、この授業の目的と、教えるとき自分で考えている注意点を書き上げ、それを検証してみる。
- 授業の、最初に大切にすべきことは何ですか。
- 信頼を得る努力をする。
- 信頼できる相手からでないと、学ぶことはできない。
- 他の受講生に対する不安をのぞき、冷静に自分の状態を観察することができるようにする。
- 学力調査をおこなう
- コメントシートの質問以外にたいする応答
- 質問しやすい雰囲気をつくる
- なぜ、オープンブックにするのですか。
- おぼえさせない。覚えることにエネルギーをつかうと、考えられないから。
- 極力、恐怖心を緩和することにも頭を働かせることに繋がると思うから。
- 似た問題を考えることで、自分で考える経験をつけさすため。
- なぜ、部分点を与えるのですか。
- 答えがすべてではなく、考えるプロセスが大切だから。
- 基準を明確に説明することで、自分の解答の問題点を冷静に見、単なる不注意ではなく、どこが理解不足かを理解させる。
- なぜ、細かい議論をするのか。
- 似て非なるなるものがあるから。
- 他の人にも明確にわかるように
- 自分で考えるときは、経験からかなりの部分を細かい議論をせずにとばしてしまっている
- なぜ、正解の文章は、自分で書かせる練習をさせるのですか。
- 数学の証明の厳格さまでは要求しない
- 例示は過去問の解答などである程度提供する
- どのようにしたら、恐怖心を和らげることができるのですか。
- 学力調査の結果を見せる
- 再提出などで、努力すれば、最低線はクリアできるように設定する
- なぜ音声付き画面集力ビデオを公開しているのですか。
- 理解のスピードはどうしても差があるので、ビデオを公開
- 他の資料もそうだが、理解できなかったとき、勉強するためのものを提供するため。
- どうしたらそれだけエネルギーをかけられるのですか。
- 非常に価値があることと言い聞かせて、大変なことに取り組む
このようなコラムももう少し整備したい。
2013年度授業の反省点
毎年、反省点をまとめて書いています。そのコースのことが一番よく判っているのは、コースが終了して、成績も決めたときだと思います。備忘録として記録することは、改善に欠かせないことだと思います。公開しているのは、教える側がどのように考えているかを学生が知ることは、教員を目指す学生だけでなく、相互理解のために無駄ではないと思うからです。今回は、特に、昨年度冬学期に同じコースをおしえ、次の学期だったこともあるが、まず、前回書いたことを批判的に検証したいと思う。
- 授業の、最初に大切にすべきことは何ですか。
- 信頼を得る努力をする。
- 信頼できる相手からでないと、学ぶことはできない。
- 他の受講生に対する不安をのぞき、冷静に自分の状態を観察することができるようにする。
- 学力調査をおこなう
- コメントシートの質問以外に対する応答
- Moodle 内の Comments and Questions の Forum を用いる
- 質問しやすい雰囲気をつくる
- 受講生とわたしとの間の信頼だけでなく、学ぶときに「信頼」が必須で、それはひとり一人の生き方に関わる事であるという普遍的真理を、教員と学生が共有できるかどうか、非常に難しい課題だと再認識した。
- なぜ、オープンブックにするのですか。
- おぼえさせない。覚えることにエネルギーをつかうと、考えられないから。
- 極力、恐怖心を緩和することにも頭を働かせることに繋がると思うから。
- 似た問題を考えることで、自分で考える経験をつけさすため。
- 教科書のようなものが適切に整えられていて、なにが中心的に学ぶことなのかが整理されていれば、ことさら オープンブックにしなくてもよいのかもしれない。オープンブックにすることで、問題が少しずつ難しくなっていく弊害が出始めていると感じる。印刷物をたくさん持って、小テストや試験に臨むことから生じる資源の無駄遣いもあり、不適切なのかも知れない。改善を考えたい。
- なぜ、部分点を与えるのですか。
- 答えがすべてではなく、考えるプロセスが大切だから。
- 基準を明確に説明することで、自分の解答の問題点を冷静に見、単なる不注意ではなく、どこが理解不足かを理解させる。
- 部分点の説明を英語で書いたからかも知れないが、あまり学生は読んでいなかった。部分点のつけかたまで理解してもらうのは、無理なのかも知れない。
- なぜ、細かい議論をするのか。
- 似て非なるなるものがあるから。
- 他の人にも明確にわかるように
- 自分で考えるときは、経験からかなりの部分を細かい議論をせずにとばしてしまっている
- 難しさだけがのこり、このメッセージは伝わらないかも知れない。しかし、より深く理解しようと注意深く聞くようになった学生がある程度いることも確かである。
- なぜ、正解の文章は、自分で書かせる練習をさせるのですか。
- 数学の証明の厳格さまでは要求しない
- 例示は過去問の解答などである程度提供する
- 教科書をつくるデメリットでもあり、難しい。しかし、問題を考えることと、理解することと、説明をすることが違うこと、そして理解してもらうように説明することはとても難しい事は、かなりメッセージとして伝わったように感じる。
- どのようにしたら、恐怖心を和らげることができるのですか。
- 学力調査の結果を見せる
- 再提出などで、努力すれば、最低線はクリアできるように設定する
- 実際には、最後まで恐怖心を持ち続けた学生がある程度いた。ICUでは、成績自体も重要で、これだけの努力をした科目に対して、ある成績を期待するのは当然である。そう考えると、不可になるのではとの恐怖だけではなく、期末試験で十分な成績が得られないのではないかと恐怖を抱くことを解消することはできないのかも知れない。
- なぜ音声付き画面収録ビデオを公開しているのですか。
- 理解のスピードはどうしても差があるので、ビデオを公開
- 他の資料もそうだが、理解できなかったとき、勉強するためのものを提供するため。
- OCW (OpenCourseWare) として公開することで、なんらかの貢献ができると考えた。次に受講する学生への情報提供、他の教員へのコース紹介、さらに、練習問題などを共有することは、有効だと考えたから。むろん、まず Moodle で公開することは、復習のためである。
- どうしてレポートを Moodle 内で公開して、学生の投票で点数をつけるのですか。
- 学生に他の学生のレポートから学んで欲しいから。
- 公開することで、学生もあまり酷いレポートは出せない。質の向上が図れるから。
- 他の学生のレポートを読むインセンティブをあげるため、投票をしてもらい、投票も微々たるものだが点数を与えることにしている。読んでもらうために、読んでもらうための表題をつけることも、学生の工夫を促せ、ゲーム的な要素もいれられる。
- レポートの評価は教員も難しい。
- あまりに手間がかかり、継続していくか検討する必要がある。また上記のようなよい点があるにもかかわらず、ある部分、学生の人気投票のようになることに、学生から不満がでる。実際、それなりによいレポートでも、票がえられないものがある。
- レポート自体の価値は十分あると思う。テーマは検討が必要かも知れない。
- どうしたらそれだけエネルギーをかけられるのですか。
- 非常に価値があることと言い聞かせて、大変なことに取り組むことにしている。
- これがわたしが貢献できることだと考えているから。
このようなコラムももう少し整備したい。