Last Update : April 27, 2003
Mathematics General
数学一般参考書 :
数学一般
- 「算額道場」佐藤健一編、佐藤健一、伊藤洋美、牧下英世著、研成社(ISBN4-87639-623-X, 2002.7.15, pp.165)
目次:はじめに、第1章 算額よもやま話、第2章 算額小手調べ(入門編)、第3章 算額道場の入門(初級編)、第4章 昇段問題(中級編)、第5章 算額師範への道。なかなかよく書かれている。しかし、ネットワーク上にも算額関連のホームページでかなり整っているところがいくつかある。文化として理解するのはとても興味がある。
[2003.4.27]
- 「頭脳の数的リストラクション 思考力をつける数学」深川和久(ふかがわ やすひさ)著、永岡書店 (ISBN4-522-42098-6, 2002.11.10)
「『数学は苦手だ、数学は嫌いだ、数学なんて縁がない。でも、数学がわかれば痛快だろうなあ』この本は、そういう人たちに、数学ってへそをつかめば案外簡単で『わかる』ものなんだ、ということを納得してもらいたくて書いたものです。」とまえがきにある。1章 まず形から入りたい(図形の世界) 2章 ときには賭けに出てみたい(確率の世界) 3章 こわ〜い!破滅への落し穴(指数・対数の世界) 4章 細かく分けると見えてくる(微分・積分の世界)巻末付録 これで今日から数学通 となっている。三角定規で円を書く方法、指数・対数の項での例など、おもしろい話題をいくつも含むが、突っ込み不足の部分もあり、もうすこし、じっくり楽しめるものも含め他方が良かったのではないか。フリーのライターとのこと。大学や、高校の先生ももっともっと子のような人から学ぶべきだと感じる。
[January 28, 2003]
- 「論理思考力トレーニング法ーThe Power of Logical Thinkingー気がつかなかった数字の罠」M. サヴァント著、東方雅美訳、中央経済社 (ISBN4-502-36500-9, 2002.10.1)
訳者あとがきより「著者のマリリン・ヴォス・サヴァントは、IQ(知能指数)の高さでギネスブックにも掲載されるほど聰明な女性で、全米で最高の発行部数を誇るパレード誌に毎週コラムを執筆している。本書に掲載されている問題も、最初にパレード誌で扱われたものが多い。原著の語り口は軽妙で、それに載せられて読んでいるうちに、楽しみながら論理的思考力をみにつける訓練ができる。日本語版でもその楽しさが伝われば幸いである。」とある。全てを読んではいないが、スタンダードで知られた問題が多く含まれている。しかし、その語り口、裏に秘められた知の高さは、あらゆる場面で感じさせられる。この一番の面白さは、モンティ・ホール・ジレンマと言われている問題だろう。コラムに彼女が書いてから、それは、間違いだと沢山の投書が来る。それも沢山の数学者から。それに反論しても、まだまだ来る。しかし、何回かの説明の後で、みなが、マリリンが正しい事を認めることになる問題である。この問題のみここに記す。
マリリンへ:あなたがゲーム番組に出ていて、3つのドアのうち1つを選ぶとします。1つのドアの後ろには車があって、あとの2つのドアの後ろにはヤギがいます。あなたはドアを一つ、たとえば1番のドアを選んだとします。番組の司会者は、残った2つのドアのうち1つ、たとえば3番のドアを開けます。司会者は、それぞれのドアの後ろに何があるのか知っています。3番のドアには山羊がいました。ここで司会者があなたに、「2番のドアに変えますか?」と聞きます。さて、2番のドアに変えた方が良いでしょうか。クレイグより
クレイグヘ:はい。変えるべきです。最初に選んだドアで車に当たる確率は1/3ですが、2番目のドアで当たる確率は2/3です。次のように考えるとわかりやすいでしょう。たとえば、100万のドアがあったとします。あなたは、その中から1番のドアを選びました。司会者はドアの後ろになにがあるか知っていて、賞品の入っているドアはあけません。司会者は77万7777番のドアをのぞいて、残りのすべてのドアを開けました。あなただったら、すぐに77万7777番に変えるでしょう?
[December 19, 2002]
- 「超々難問数理パズル(解けるものなら解いてごらん)」芦ヶ原伸之著、講談社 ブルーバックス (B1377 ISBN4-06-257377-6, 2002.7.20)
この一冊でたっぷり10年は楽しめます!と裏表紙に書かれている。確かに難問もかなり入っているようだ。このような問題にどんどん挑戦したり、このような問題をお互いに出し合うことは、非常に素晴らしい事と思うが、「はじめに」に、著者のオリジナル問題が盗まれていると書かれそれがこの書の動機と書かれているのには、いささかがっかりした。問題がオリジナルかどうかその著作権のようなものを問うのは私には理解できない。その解答に含まれる数学的本質は、すでにさまざまな所で知られている事が多い。皆が興味をもつような言い回しにして提示する部分に著作権があるのだろうか。著書としてはあるだろうが、問題一つ一つにそれがあるとは正直わたしには、思わない。そのような事を主張する事は、パズルを楽しむ文化にとって、負の影響しかないのではないだろうか。ちょっと書きすぎたかも知れない。[December 19, 2002]
- 「ルイス・キャロルの知的ゲーム」鈴木瑠璃子・長島富太郎編訳、大修館書店 (ISBN 4-468-21136-2, 1987.2.1)
本書は『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』の作者ルイス・キャロル (Lewis Carroll, 1832-98) (本名チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン:オックスフォード大学クライスト・チャーチ・カレッジ数学講師) の記号論理学についての著作 Symbolic Logic (Part I) と Game of Logic をあわせ、再構成したものである。記号論理学についての著作というと学術的専門書を連想させるが、キャロルは読者たちの健全な楽しみ、いうならば自作のアリスの物語を楽しんでくれる読者たちの、知的なレクレーションのためにこの本を書いたのだと言っている。(編訳者のことばより)
- 算数オリンピック委員会編「算数オリンピックに挑戦 '95〜'99年度版」講談社 ブルーバックス ISBN4-06-257288-5
最近一般の人向けの数学・算数の本で面白いものがたくさん出て来ていますね。色々な人が数学・算数の魅力を伝えたい、と思うようになって来たと言うことでしょう。もしかすると数学離れに危機を感じている人も多いのかも知れませんが。最近では、1991年から「算数オリンピック委員会」(広中平祐会長)もでき、ピーター・フランクルが専務理事で「算数・数学アカデミー」を組織して、英才教育をしているようです。ぱらぱらとめくってみましたが、ちょっとつまってしまうものや、軟らかい頭の子供の方が得意かなと思う問題など面白い問題も幾つかありました。小学生が対象で、5年生以下のジュニア大会というものも行っているようです。中学ごろまでは、算数・数学好きだった。というひともたくさんいますよね。ちょっと、チャレンジしてみてはどうでしょうか[November 10, 2000]
- 木村良夫著「数学パズルで遊ぼう」日本評論社 ISBN4-535-78250-4
1 頭の体操、2 切手バズル、3 引き算遊びの数学、4 ぶどうの房パズル、5 反魔方陣、6 ネットワーク、7 パイプ並べの数学、8 ありの問題、9 三山くずし、10 クロスクラム、11 パズルの王様ペントミノ、12 ソリティアの必勝法、13 アフリカの石とりゲーム、14 解答編
小学校高学年以上。「数学は嫌いじゃないけど苦手」と言う人、「中・高で数学は嫌いになった」と言う人にはお薦め。面白く、かつ、ある程度突っ込んで書かれてあり、読んでいてだれでも楽しめると思います。著者が実際に、一般の学生向けに何回か話した話だと思いますが、良く練れていて、著者の人柄も現れているのではないかとおもいます。著者は、大学院の先輩で、個人的にお世話になった経験もあります。[August 30, 2000]
- 渡部勝「折る紙の数学 (辺の 1/7、面積 1/7 はどう折るのか)」講談社 ブルーバックス ISBN4-06-257303-2
「一枚の正方形紙から、楽しい数学が始まる」と、著者の考えたものやアイディアが沢山書かれている。私も、以前同じ種類の問題を考え、学生にも問題として出したことがあるので、興味を持った。身近な題材でいろいろと考えてみる楽しさは面白いですね。私は、子どもの頃、母が、定規である紙を何等分して線を引くとき、例えば、一辺が20センチのものを7等分すると言ったとき、定規の21センチを斜めにとって、3センチきざみで印をつけ線を引いているのをみて感心した記憶がある。母がどの程度平行線の理論を知って使っていたか知らないが、私も小学校低学年ですでに、こんなことをしていたことを思い出す。中学で、中線定理をならって、これで、紙を3等分することもできるなと思い付いたときは嬉しかった。そんな事を思い出させてくれるなんとなく懐かしい、そして、著者に親近感を感じる本だ。[January, 2001]
- 仲田紀夫原作・佐々木ケン漫画「マンガ おはなし数学史 (これなら読める! これならわかる」講談社 ブルーバックス ISBN4-06-257312-1
数学教育・数学史にかかわるたくさんの著書を書かれている著者の作で、マンガが用いられていることは、興味深い。読みものとは、違った感覚に訴える意味では、よいと思うが、あまりにも情報量が少ない感じがする。内容も、確率・統計など、数学史では、あるていど脇に追いやられる傾向のあるものが丁寧に扱われているのは興味深いが、全体としては、内容が薄いように感ぜられる。原作者は、これを「数学基礎」でとりあげる数学史の副読本にでもなればと書いておられるが、このような数学史が「数学基礎」で取り上げられる内容なら、それは、「数学」の時間に取り扱われるべきではなく、歴史または、思想史のようなところで取り扱われるべきものではないだろうか。「数学」の時間では、「数学史」に焦点をあてつつも、その中の数学を教えなければ、ただでさえ短くなっている時間が無駄に費されるのではないだろうか。危惧を覚える。[February 5, 2001]
- Y. ペレルマン著、金沢養訳「パズルで鍛える数学力 (Figures for Fun : Stories and Conundrums)」白揚社 (ISBN4-8269-5104-3, 2000.10.5)
原著は、ロシア語。英語版の翻訳。様々なジャンルの問題を扱っているが、この本の特長は、レトリックであろう。お話のなかに、非常に上手に、数学の問題を含ませる「謎」である。この手のものは、'Lady's Almanac' の様に長く続いた雑誌にも特長的なヨーロッパにはやった一つの形式なのであろう。問題だけでなく、言葉に興味を持つ人におすすめ。ロシア詩人ベネディクトフ (1807-1873) が数学パズルの収集に熱を上げていて、その中の一つとして、書かれている、「三日月形と等しい面積の十字のマークを描け」などは、有名なのかもしれないが良くできている。すべて解いて見たわけではないが、難問は無く、それなりに、中学生ぐらいから楽しんで読めるのではないだろうか。このような謎を出し合うなどなかなか良い雰囲気だが、今の日本の中では、想像ができない。論理を楽しめる雰囲気がもっと一般化すると良いですね。
[February 25, 2001]
- ドナルド・コーエン著、新井紀子訳「アメリカ流7歳からの微分積分 (こんな学び方があったのか!)」講談社 ブルーバックス ISBN4-06-257224-9
米国イリノイ州での小人数の課外活動の記録である。英才教育といっても良いだろう。様々な問から発して、発見的に学んで行く姿には、驚かされる。どのような問いをだし、子どもからの応答にどう答えて行くかには、教員の資質に負う部分が大きい。子どもの能力にも大いに関係するが、子どもとともに感動を共有できるのはすばらしい。私も、いつかこのようなクラブができたらとも思う反面、現在いる、自分のこどもたちに興味を持つような接し方ができないなら、結局成功はしないだろうとも思ってします。まだ、私には、本質がよくわかっていないようだ。興味深い本として、特に、教育にたずさわる人には、よい刺激を与えてくれるものを思う。
[March 9, 2001]
- 「みえる数学の世界3 数学の基礎・人間活動と数学」山崎昇監訳、大竹出版 (ISBN4-87186-093-0, 2001.3.7)
高校で「数学基礎」を何を教えるかが議論される中、なかなか良く書けている本である。充実した内容に驚かされたがロシアの「子供のための百科事典 (第11巻)」の翻訳とのこと。このレベルのものが日本で独自につくれるようになればすばらしいのだが。遠山啓氏の遺産が多少あるのみではないだろうか。
- 「数学っておもしろい」原岡喜重編著、日本評論社 (ISBN4-535-78330-6, 2001.3.20)
熊本大学の数学の先生たちが高校生・社会人むけにした講義の記録。
- 「好きになる数学入門6 微分法を応用する 解析」宇沢弘文著、岩波書店 (ISBN4-00-006676-5, 2001.3.28)
- 「スマリヤンの究極の論理パズル」レイモンド・スマリヤン著、長尾確・長尾加寿恵訳、株式会社 白揚社 (ISBN4-8269-0099-6, 2001.3.30)
大学教科書
- 「一般数学」新濃清志著、小松勇作編集 大学の教養数学3、森北出版株式会社 (1978.10.1)
序章 基本事項、第一章 線形代数、第二章 微積分、第三章 確率と統計
- 「数学概論 -- 微分積分と線形代数」南部徳盛著 現代数学ゼミナール9、近代科学社 (ISBN4-7649-1011-X, 1989.5.10)
南部徳盛氏は富山医科薬科大学教授。1 基礎編、2 微分と積分、3 線形代数、4 微分方程式。まえがきに「大学初年級の文化系、生物・化学・農学系および短大の学生諸氏を対称にして、高等数学における数学I、基礎解析、代数・幾何の知識を前提とした延長線上での微分・積分と線形代数に関する基礎的な事柄をまとめたもの。」とある。内容的には「数学の方法」に近いが、量および目的が違うのかも知れない。
その他
- 「マイ数学 -- 教養数学の要点と考え方 (改訂版)」岡田恒治・栗田稔・四方義啓・野崎昭弘・服部晶・前原昭二共著、遊星社 (ISBN4-7952-6861-4, 1989.5.24, 1984.4.15)
これから数学を学ばれる方に、微積分の舞台裏、線形代数のチェック・ポイント、課外読みもの
- 「大学で学ぶ数学 -- 慶応義塾大学 SFC での実践テキスト」河添建編、慶応義塾大学出版会株式会社 (2000.10.31)
第0章 記号と演算、第1章 集合、第2章 関数と写像、第3章 グラフと方程式、第4章 関係、第5章 命題論理、第6章 順序と束、第7章 代数系、第8章 行列、第9章 連続性、第10章 可微分性、第11章 積分、第12章 微分方程式、第13章 グラフ理論 コラム1ー17、推薦図書