Last Update : May 23, 2001
Open Lecture on Math. Education
ICU における数学は何を教えるべきか
特に理学科生以外に対する数学についての学生からの意見
- 高校の時は大学受験という目標があるから、いろんな知識をつめこむのも意味づけできる。
しかし、大学で学ぶ時には、その学問が好きであるかどうかがやはり一番大事だと思った。(S
S1)
- 純粋に数学を学ぶ場合(物理や医学などのように手段としての数学でない時)、どうしても
その目的が具体的にならないのが難しいと思う。「論理的思考を鍛える」ためとは言うものの、
どうしたらその成果が分かるのかもはっきりしないので。
いっそ哲学のように、思考実験の場とした方がすっきりするのではないだろうか?(IS3)
- ICUでの数学教育は何をすればよいか。高校、大学と数学の落ちこぼれだった(今も)私
が初めて数学に感動を覚えたのは一様連続の定義でした。これ程完全なロジックはそれまで見た
ことがありませんでした。ICUではELPにおいて議論の方法を形式的に学びますが、数学の
それに比すれば、議論と称するに値しないものである様に思います。Cal.I~IIIのような計算も、
特定の人にとっては重要ですが、議論とは何ぞやを教えることが先にあるべきだと思います。
(NS2)
- この数学の方法はけっこういいと思う。GEの中でNS6単位というのでなくて、特にM3
単位必修とかにするといい気がする。講義中の話にもあったが、音楽や文学の授業だってなんの
ためと言われると困るし。
数学の授業ももっと、(最近はあるけど)「経済のための数学」とか「心理学のための数学」とか
応用の場面設定が具体的だと入りやすいと思う。その中で数学それ自体のおもしろさがわかるよ
うな配慮がなされていれば。あと私はBasic Concept of Modern Mathematics I~IIIがとってみ
たかったです。
心理学を勉強して、因果関係を説明するのに関数関係がいることがわかって、今まで2次関
数とかf(x)とか何のためにあるんだと思っていたけど、予測性とかのために有用だって実感した。
「言語と数学」とかの授業もおもしろいと思う。ICU生はおもしろそうだったら勝手にとりそ
うだし、楽しそうなコンセプトを設けるといいのでは。(E3)
- 先生が今日話して下さったような数学を学ぶ意義、そういうことを常に授業の中で強調して
いただきたいと思います。数学のテクニック以前にその意義、これを考えることはとても大切だ
と思います。先生の授業を通じて私自身、そのことをよく考えるようになりました。高校までは
よく分かっていませんでした。だから数学はきらいでした。もっと早く気付いていたらよかった
のに、と思います。
大学では、数学以外もそうですが、先生の学問への姿勢、考え、生き方に、学ぶことが多いと思
います。だから先生のように、先生の考えを聞ける、というのは大学では一番大切なことだと思
います。ICUだったら生徒はみんなそれに対して自分でよく考えるだろうし、本当に今日先生
の話をきいて私もいろいろと考えました。ありがとうございました。(3)
- *数学の極、根本的なもの、哲学というか、なんというか...。
* ‘数’の魔法的なおもしろさ、不思議さ。
* もしくは、ひたすら論理的思考力をきたえる。
今日の話の中で、人間のする事、関わる事...?、必ずしも役に立つことばかりではない、むしろ
無駄に思えるような事であることがあるという一言。
今までの私の中のなぞが、ちょっと解けかけたというか、何かが動きました。良かった。(L3)
- NS以外の学生は数学とかけはなれた勉強をしている人がほとんどである。私自身高2の時
点で数学を選択しなかった為、数IIの途中までしか学んでおらず、それ以後はICUの入試対
策で少しやった以外は全く数学にふれていなかった。
大学に入ってから特に数学との遠さを感じていたのでこの授業をとった。文系向けでは難しさは
必要ない。考え方、解き方を丁寧に教え、数学を考える喜び、問題を解く楽しさを感受させても
らいたい。私個人としては頭の普段動かしてない部分を動かせるので数学を楽しんでいます。
- 論理的思考(試行)をするためのプロセスを身につけるための授業。この授業のコンセプト
は文系のための数学というものであったと思うが、ただ行列や微積をやるだけであれば、SSに
経済数学という授業ができたようだし、重複する部分が多くなるのではないだろうか。楽しさを
求める数学Aをめざすのであれば、それと十分に差別化を行った数学Bでなければ、2つに分け
た意味が不明確になる。楽しくやりたいし、数学の方法を身につけてほしいという2つの思いが
あってジレンマを感じるでしょうががんばってください。説明方法(3段法、背理法、帰納法な
ど)を基礎から学んでいくという授業も良いかもしれません。(SS3)
- 実のところ、この授業をとろうと思ったのは、「数学の世界」をとった友人のすすめがあっ
たからで、「数学の方法」のクラスは内容が異なることに気付いていませんでした。だから、授
業に期待していたのは、高校までの受験勉強のための数学とは全くちがう、数学の楽しさを知る、
というようなことだったので、正直言って、微分や三角関数などをするとは全く予想外であり、
期待はずれでした。(確認しなかった自分が悪いのですが)。
私自身は、先生もおっしゃっておられたように、数学なんてほとんど役に立たないと思っていま
す。しかし役に立たないからといって否定するのは人間を否定することではないか、と言われる
となるほどなと思いました。役に立つか立たないかという基準を超えたのなら、あとは興味があ
るかどうか、おもしろいと思うかどうか、それだけじゃないでしょうか。(SS3)
- 私は、技術として使われている数学を教えるべきだと思う。そういう数学が余りに高等すぎ
るなら、その基礎を教え、それがどう発展して使われているのか教えてほしい。
数学の、趣味として以外の、純粋な実用性は技術的なことにつきると思いますから、数学的な思
考力が身についても、論理性の訓練になるとはいえないと思う。それも論理というものの中のご
く狭い「数学的論理」だと思うから。すみません。わかりません。(H4)
- 一つの問いに2時間でも3時間でも(何日でも)かけて解いていく楽しさを教えてほしい。
というより自分も体感したい。いつもすぐ解けるようなものばかり解いているので。数学も物理
の問題を解くための手段として学ぶことになりそうで少し残念です。
これは私自身の問題なのでしょうけど。数学を学ぶには多くの時間と労力を必要とします。もっ
とやる気と時間を作る気力があればよいのですが...。(NS2)
- 個人的にこの授業は社会科学を学ぶ上であらわれてくる数学的分析を実際に深く学ぶ前に、
それに必要な基礎知識を得るためにとりました。
lectureの中にもありましたが、今まで受けてきた数学のclass(高校まで)が何に役立つのかが
よくわかりませんでした。大学で経済を学ぶと、はじめてその必要性を感じることがしばしばあ
ります。しかしその反面、将来研究するのでなければ、そこまで深くやらなくてもという思いも
あり、理解できなくても覚えてしまうということがあります。
ICUの数学のclassでは、必要な理解を促してくれるようなclassが必要だと思います。しか
しもし数学自体の意義がより明らかになるのであれば、補助的な数学だけでなく、数学の意義、
本質に関するclassを受けてみたいです。(SS3)
- 高校での数学は専門分野での利用とはかけ離されて知識として教えられます(例えば微分・
積分の経済学での利用)。
僕は経済学を主にやっているのですが、みんな(僕も含め)これを解けといった問題はできるの
ですが、どういったときにこの式になるのかなどが分からないまま参考書に出てくる式を使って
問題を解くといった形になってしまっています。他の分野でも数学についてこういったことが多
いのではないでしょうか。数学をただの知識ではなく活用できる知恵として身につけるような授
業であればよいと思います。(SS3)
- 学生が何を学びたいかを考慮することも大切だと思うが、少なくとも私立大学であるならば
「何を学ばせたいか」を基本に考えるべきだと思う。ICUのうりはLiberal Artsなわけで、
その中に求められる数学の役割は、実用に執着しない、「考える力のある人間」を育てることに
あると思う(この方針は数学に限ったものではない)。だから合理的に考えることの重要性や、
モデルとなる体系の(モデルを使って考えることの)有用性など、数学を通すと比較的理解しや
すいような事柄を教えることを目指すべきではないだろうか。(E4)
- 自分自身は数学が苦手で、今も授業についていけてない状態なのですが、数学をまた勉強し
たいと思ったのは、論理的思考を身につけたいと思ったのと、経済学に必要だったからでした。
就職活動をしている友達が、「『最近の学生は論理的思考能力がない。』と言われる。」と言ってい
ましたが、それは最近の大学生の学力低下と結びついていると思います。人生は、意志決定の連
続だと思いますが、数学から論理的思考能力を学ぶことによって、その助けになると思います。
日本では数学赤点だった私も、高校から行ったカナダでは成績優秀者でした。カナダで習った数
学は、ゆっくりペースでその論理を教えてくれて楽しいものでした。なのでICUでもその論理
を学びたいと思います。(H3)
- ICUにおいて、NSの生徒でなければ、基本的に数学は必要ないとは思う。しかし数学を
とっている生徒がいるということは、その生徒は(私を含めて)数学が好きだから、または、嫌
いではないからとっているのだと思う。ということは、多くの人が、楽しむために数学を学んで
いるはずなので、生徒が楽しい、またはイヤと思わないような授業であればよいのではないか?
例外の人もいるとは思うが...。(L5)
- ICUには文系の学生が多いけれど、文系だから数学に触れないのではなく、一度は数学の
授業をとってみるべきだと思う。又、そこでは計算の技術をみがくものではなくて、論理のくみ
立て方や、いろいろな方向から答えをさがす姿勢を身につけられたらいいと思う。(SS3)
- 私はSSの1年生で今のところ経済学を専攻するつもりでいます。4月の初めのオリエンテ
ーションの時、今まで必修科目であった「初等会計学」...ではなくて名前を忘れてしまったので
すが、それが自由選択になったと聞きました。「何故?」と思います。先生方の説明によれば「数
学の苦手な学生が多いから」とのことですが、たとえそうだとしても、将来学んでいくに当たっ
て必要である以上、しっかり必修にしておくべきだと思います。
上手く表現できませんが、ICUにおける数学教育(特にNS以外の生徒において)...それは専
攻分野における必要な知識を与える場であって欲しいと思います。(SS1)
- 数学といっても私は数学には2種類の数学があると思う。1つは、この授業の最初の方でや
っていた、数学的思考を学ぶ数学。もう1つは、公式や方程式を使って、3次元、4次元の世界
を取り扱う数学。ICUでの数学では両方とも必要であると思う。
しかし、重要なのは、その区別をしっかりとして、授業を行う事ではないだろうか。そうでない
と、2つとも中途半端になってしまって、高校以上の数学をやっているのか、それ以下の物をや
っているのかわからなくなってしまう。現在の授業がその方向に進んでいるように思えるのです
が、もっとわりきって、どちらかに集中して授業をやるべきではないでしょうか?(SS3)
- 扱う単元よりも、やり方で数学のおもしろさは決まると思います。数学が直結する職業はお
もいのほか少ないと思います(教師くらい?)。数学なしでやれる仕事も少ないと思います。だ
からICUでの数学は数学の感触を忘れずに、しかし、必要以上の負担にならない授業がいいで
す。私にとって数学は、小学生のころから、おもしろいと思うけど、負担の大きすぎる科目でし
た。もう、やりたくないと思いつつ、一瞬でもおもしろいと感じさせてしまうのが数学の憎いと
ころです。この感触をもちつづけられるような数学教育をのぞみます。(SS1)
- 私は数学を学ぶ一つの理由として、論理的思考というものを思います。ただ、公式etc.を与
えられて問題をとく、といったものではなくて、どういう道筋を通って結論を導きだしたのか、
ということを伝えることができたらよいと思う。
又、数学の問題というのが、数学の世界の中だけでおわるものだけでなく、実際の世の中(働く
仕事の中、研究の中etc.)ではどのような所で応用されて使われているかを知らせることができ
たらもっとおもしろいと思います。(ある程度専門的になってしまっても、実際に役立っている
ということを知る楽しさのほうがまさると思います。(IS3)
- “ICUでやってることはみんな役にたたない
だけど人は役に立たないことにばっか熱中する
それが人間の営み”っていう先生の言葉に感動しました。
だから数学的には結果オーライはダメだそうですが、私は結果オーライで、私は今、先生の授業
をとっていて、正直まったくさっぱりなのですが、先生が数学に熱中していらっしゃることは伝
わってくるので、その先生の姿をみていることがもしかしたら大切なことかもしれないと思いま
した。
私も役に立たないことばっか熱中しているなあと思ったら、すごくうれしかった。今まで“数学
をやっときゃ、役に立つ”と思って授業ずっと12年間うけて、今もうけてきたけど、はじめっ
から“何の役にもたたないけど好きでやっているのよ”と思って数学もやれば、もしかしたら何
かが変わるかも?!(IS1)
- 1.特定の目的のための数学
eg.統計のためのもの、意味論のためのもの
2.中学から高校までの数学の再検討
数学とは何であるのかetc.
以上の2点について、学べたらと思います。1.については、数学を道具としての有用性から、
2.では数学自体についての考え直しという点から(大学での科目では、数学をやりなおす、と
いう事が今の状態ではできないので)必要であると思います。
第3として、大学で初めて学ぶことがらがあると思いますが、それはすでに大学科目としてある
ので、ことさら取り上げたりはしませんでした。
- ICUの数学は、神を知るための、有機的総体的な学問のつながり(リベラルアーツ)の一
環として存在すべき。その意味で、学問=趣味論には賛成。趣味とは、自分の周囲の事象を楽し
むことであり、それを創られたのは神だから。
少なくとも「科学における有用性」、「論理的思考力」の二つは高校以下での内容であり、大学、
特にICUには「趣味」と「正直な真理探究」に徹してほしい。(E3)
- 今日のLectureの中の引用で、イギリスにいた時に論理的な考え方、解き方を教わって数学
が好きになった人の話があったがこのように数学を教えてもらえることが理想だと思う。私は数
学の中で、黒板やノートに書かれている目に見えることよりも思考のprocessを学びたいと思う
ので、今のNSIBのようなclassが良いと思う。ただ速くてついていけないから目的達成以前
のところで足踏みしているのが今の状態だけれども...。高校の時から、何かの問に対して考えて、
書いて、という、解いていく過程を楽しいと感じていた。Lectureの中であったような「論理的
思考力を育てる」という意味を重要と感じていたのだと思う。
他、知識として頭に入れたものは音楽分析に利用したいなあーという希望が。(H1)
- NSの人にとっては数学は必要だが、それ以外の生徒にとって実際に必要なのは小・中学生
レベルの数学だろう。しかし、経済系にすすむなら少なからず、高校生以上のレベルの数学も必
要になってくる。したがって、実際に生活の中で使う分野、必要になる分野をやってほしい(高
校生レベル内で)。(SS)
- 非常に難しい質問ですね。僕は数学をこの授業をとる前に学んでいたのは、高2が最後でし
た。ただ「おもしろそう」と思ったから、この授業をとりました。数学が社会にどうつながって
おり、どのように使われ役立っているのか、具体的な例を出しながら、進めていくのはどうでし
ょうか。微分・積分はどのように応用され、どのような分野で使われているとか。
この授業はとても好きです。僕にとっては先生のやり方でOKなのでは?(SS4)
- 私はNSの授業をとったことがないので現状がよくわかりません。1回だけ、“線形代数I
(E)”に出ましたが、その時は20人も学生がおらず、アットホームでよかったです。
私はSSで経済専攻です。よく教授は“ICUの数学はすごくいい。文系にも開かれている”と
いいます。大学の数学というと、高校の時にできた人たちが続けるというイメージがあります。
でも、ICUでは実はそんなことがないらしく、それをもっと1年生の時から知りたかったです。
(SS3)
- やはり数学は専門的にNSの人に教えるべきだ。その他の、数学を専門としていない人々は
数学の構造や問題などを学ぶのではなく、日常生活において必要である基本の数学、又は変わっ
たクイズのような問題を学びたい。例えば昔TVでやっていた「平成教育委員会」ビートたけし
と逸見さんがやっていた番組のような問題はやっていておもしろいし、役に立ってた気がした。
生活に必要な数学を学びたい。(L2)
- 哲学専攻なので、哲学と数学との関係をしりたいです。哲学の科目の中にそういう科目が全
くないので。あと、論理学(思考についての数学といってもいいのでしょうか?)についての科
目を増やしてほしいと思います。
数学自体については、この授業のようなもので、私は満足しています。しかし、もっと「数学と
は何か」といった問いに答えるようなことを教えてほしいと思います。(H3)
- 数学の基礎となっている物事のとらえ方を吟味する。
例えば、抽象化。現実の物や人を数学に還元するとはどういう事か。本当に可能なのか。日常の
物の見方にどの様な影響を与えているのか、等。(H3)
- このGEのように、文系の生徒に対して、大学数学の初歩的スキル(行列、微積、集合論な
ど)を教えることで、数学によって得ることのできる論理的思考、また数学の素晴らしさ(授業
中立ち上がって拍手してしまいたくなるような感動!)を教えてもらいたい。より多くのICU
生に、数学で興奮してもらいたい。また、理系のBioやケミの生徒で数学を不得手としている生
徒にもこのようなクラスに出てもらいたい。数学や物理の生徒、経済の生徒はほっといても自分
でやれるのでは、と思います。鈴木先生のレクチャー久し振りにきけて楽しかったです。(NS
4)
- 人間の知のひとつとしての数学とは何かを考えたい。ひとつの科目として閉じられている数
学だけれど、もともと人間の営みの中で、どう成り立っているか、どう固まってきているのか考
えたい。
一般教育科目でも、先生方の専門分野について学ぶことが多いけれど、それ以前にひとりの人間
として、どう考え・生き方を構築するか、そしてそれに、専門領域がどうかかわっているか見つ
めたい。
芸術の分野でも、それぞれがそれぞれの専門を追求しているのでは、と思うことがある。それ以
前に、人間とは何かということを、これからも考えていきたい。
数学以外の先生に、その人なりの数学観をきいてみたいと思う。(NS4)
- 数学を教える立場の先生が「数学」や「数学教育」をどう考えられているのかについて聞く
ことができたのは今日がはじめてです。受験期に数学の勉強に行きづまると、友達の間でも「何
の為にするのかよく分からないのにね」といった話がでることもしばしばありました。中学に入
ってから突然日常とかけ離れた公式を暗記させられ、機械的に問題を解いていた私達にとって数
学の意味を考える余地はありませんでした。しかし、今回のように、先生やいろんな人と一緒に
考え、基本的には「役に立たない」なりに、数学が与えてくれる恩恵に目を向けることは、とて
も大事だと思います。コースの始めに、今日のようなレクチャーをいつも設けられてはいかがで
すか?
- 今日の話を聞くと、論理的思考など数学を通して人生を豊かにするskillを身につけるもの
と、数学を使って何かをしようとするものとを明確に分けて講座を設けたほうがいいような気が
しました。そして、それぞれが明確にその目標を意識して、授業を行うべきだと思いました。高
校まではそのskillだけを教えて、大学から2つに分かれるというのはどう?(SS1)
- 「数学の方法」の授業を取っていますが、数学の意義がいまいちよくわからない。あまり理
解できないうちにどんどん授業が進むので、結局数学は難しいものだという結論になってしまう。
純粋に数学の理論を追求するよりも、もっと日常生活にdirectに結びつくような、身近な数学
を期待しています。
- 大学での数学を考えるとき、数学を専門に学ぶ学生と、物理・化学の人たちが学ぶ数学の間
にも更にギャップがあるように思います。勿論、NSと他のDivisionとのギャップもあります。
僕自身が考える数学の意義の一つは、「感覚的には明らかだろうと思っている事柄を言語で一分
のスキもなく、徹底的に表現すること」にあると思います。その訓練のためには、やはり証明の
作法(or証明の精神)を、一度(一学期)は、徹底的に仕込むべきではないでしょうか?
+αとして、数学史はICUで教えるべきです。僕は哲学の授業もかなりとっていますが、数学
が哲学に与えたインパクトは各時代を通じて非常に大きいです。村上先生の科学史でも数学の話
がほとんど出てこないのは不満です。(NS3)
- 自分は今、物理学専攻の3年なのですが、大学へ入って今までとってきた数学は技術の領域
を出ないと思います。つまり我々が必修とされている微積分の単位のことです。先生のおっしゃ
った「真理の追求」という数学の味は、自然科学専攻であれば味わうべきだと思います。そのう
えで、工学にしようか化学にしようか、などを迷うのだと思います。僕としては工学だろうが化
学だろうが、数学程の「真理探究」度、一分のスキもないのが好みではあります。(NS3)
- 自分自身、数学は言語としても有効なものだと思う。なぜなら今使われているアラビア数字
というのは、世界共通のもので、たとえ英語がわからなかったとしても、数字をしらない人はい
ないから。それと同時に最近数学をやってて楽しいと感じるようになった。正しいプロセスから
正しい答えが導かれているというのは、やってみるとかなり気分がいい。(SS1)
- 数学特有の(でしか味わえない)楽しみを知りたい。どこかに、楽しさがなければだめだと
思う。
- 数学の歴史はやってみたい。世の中のどんな良い事、悪い事に貢献してきたのかを学ぶのは
おもしろいと思う。
‘役に立たないことこそ夢中になる’とか‘大学で教えることで役に立つことってあんまりな
い’には共感しました。とくに私はICUに「将来役に立つ事を身につけよう」と思って来たわ
けでは全くないし。働かないで、役にも立たない勉強をあきるほどできるなんて学生ってなんて
ぜいたく!と思います。(H3)
- 私は、“ICUでの数学で何を教えるべきか”という事に関して答えがでません。理想を求
める上で、「...のようなことを教えてほしい。」と考えても、実際に授業を受けると、その理想が
実現されることはあまりないから。
私は数学が本当に苦手なタイプの人間だから、大学に入ったら別に数学はしなくてもいいと思い
ます(こういう狭い考え方はいけないと思いますが...。)。結局は、専門的にやりたい人以外(私
のような人間)にとっては、“数学の楽しみ”みたいなものが見つけだせたらよいのではないか
と思います。(L2)
- 数学をとっていますが、それは単位を取るためです。楽しめそうというのもありました。し
かし、あまり楽しくありません。高校までとあまり変わらない気がします。先生が黒板に向かっ
て計算している時間が長すぎてけっこう退屈です。(IS1)
- よく分からないけど、経済などに使える数学があればそれを学べばいいと思う。あと、違う
授業でしているのかもしれませんが、数学にまつわる話とか歴史とかも知りたいです。
プラス、せっかく高校までがんばってきた数学を忘れるのはくやしいから復習もかねて。(IS
1)
- やはり、先生のお話にあったように「どうしてこうなるのか」の部分をもっと教えるべきで
す。ICUにはGEがあるので私のように数学が苦手な生徒がGEをうめるためにとることがあ
ります。そのような生徒にむずかしい問題をいきなりやらせてもむりです。「どうしてこうなる
の?」というのがわからないとその公式なども使い方がわからなくなるし、ましてや「証明しろ」
といわれてもできません。もっと問題をとくことよりも説明に力を入れてほしいです。(IS
3)
- 必要な人だけ学べば良い。もう少しNS向けでない数学であれば良いのだが、あきらかにあ
る程度の数学的思考をそなえている事を前提に授業が進んでいる。(SS3)
- ICUでの数学は、思想、思考回路(logicalに、ということ)をきたえていくために必要な
ものをものとして教えられていくべきだと思う。現在それが実現されているかどうかはよくわか
らないけれども、そのような目標、そしてある意味前提として、数学が必要とされてこそICU
なのではないかと思う。
円周率3というのはどうかと思います。中学でπを習うにあたって、混乱すると思う。
3.14というあいまいな数→π、3という明確(整数、きれいな数)な数→πではgapの大きさ
がちがうと思う。(SS1)
- 中学、高校の延長ではなく、よりcreateな内容の授業があればよいと思う。数学的な思考
を身につけるといっても、それが公式の暗記などでは思考が限定されると思う。文系の学生にあ
まりレベルの高い授業はできないので可能かはわかりませんが。抽象的ですみません。(IS3
(transfer))
- 数学の方法の授業は正直難しく論理的な思考についていけない。しかし数学の世界には興味
があるので数学とはどういう世界なのか知りたい。授業ではなぜ数学が必要なのかということに
ついて話をしてほしい。(SS1)
- 数学の授業の中で、実生活や他の分野への応用方法を少しずつ紹介していっても良いと思う。
ただ、このようなことは本来なら学生自身が見つけていくものであるべきだとは思うが、このく
らいしないと、数学嫌いな人は、どんどん数学から遠ざかってしまうだろう。数学を知っている
(使える)のと知らないのとでは、他の分野の勉強をする上でも大きく違ってくると思う。ゆえ
に、数学の有用性を、ほとんどが文系のICU生に伝えられるクラスが望ましいと思う。(IS
3)
- 公式や解法の丸暗記ではなく、なぜそうなるのかという問いへの納得のいく説明。そのため
には基礎的な理解だけに終ってしまうものでもしかたがないと思う。(IS2)
- GEとしての数学では学問っぽいものではなく、頭の体操というか、まるでパズルを解くよ
うな、考えている過程がおもしろいものをやってほしい。線形代数とかは数学ばかりでおもしろ
みが全く感じられなかった。確率や場合の数は逆におもしろそうである。ピーターフランクル氏
の出版しているような、パズルを解くというか、じっくり考えていくようなものをやってみたい。
(IS2)
- ただ公式を暗記するのではなく、本質をしっかりと学びたい。たとえば、なぜ円の面積はπ
r_なのかなどなど...。(SS1)
- 数学は使えるもの、道具としての部分を知りたい。教えてほしい。もう1つ数学は遊びとし
て知りたい。実際数学とは何かということが分からないのでそこのところが分かるといいなと思
う。数学が何か分かっていないので、本当は何のためかなどということは言うことができない気
がする。(IS1)
- 私は経済を勉強しはじめているのですが、言葉で説明したらA41ページになるものを数式
3行であらわせたりすることに最近きづきおどろいています。私は高1で数学がおわり受験にも
使わなかったので3年間まったく使っていません。友人とごはんをたべててもわりかんの計算が
頭でできないくらい...。でもまた数学を学びなおしたいと思っています。デルタのいみがわから
ないで経済のグラフとかくとうしていた所で、のびなやんでいます。なのでサポートの授業があ
るといいと思います。(IS2)
- ICUに限らず。
理系 → 専門分野に必要な知識獲得。
文系 → 数学を解くことによってわかる(得ることのできる)楽しみを知るための授業。論理
的に物事を考えるための導入部分。
全体として言えば、高校時代(中学でもいいけど)の知識のみで数学の楽しさがわかるようにし
てほしい。そうでないものは必要ないと思う。(H1)
- 実用性のある数学を学びたい。教わるからにはちゃんと学びたいので、GEだからといって
手抜きはしてほしくないです。(IS2)
- リベラルアーツの一環として。どんな学問を学ぶにあたっても、幅広い知識があるに越した
ことはないと思う。直接数学とは関わりのない分野においても、少しでも知識があると見解が変
わるのではないでしょうか?
私は数学を学ぶことで論理的思考が身につくと思っているので、そういう意味でも、教養として
も数学教育があればいいと思います。NSの学生にとってはまた別問題でしょうが...。(SS
1)
- 単に「微分」「積分」「ベクトル」「数列」と問題をやっていくのではなくて、その考え方が
どうやって生まれたのか、その考え方がどんなことに使われているかなど具体的に事を知りたい。
ただ漠然とマシンのように問題を解くのでは、高校までとかわらないから。(L1)
- せっかくHumanityの教授陣がいらっしゃるのだから、数学のbackgroundとなった哲学や
考え方を紹介してほしい。数学が発展したのは必要にせまられてなのだから、昔の人の切実な思
いを感じればもっと身に染みて理解できるのではないか。(IS2)
- 先ほどのLectureで言われた「数学を学ぶ意義」の何たるか、「何故数学が必要か」が身を
もって理解できるような授業です。このNSIBもhigh levelの授業とは違いますが、「実生活」
というSS的なものとのつながりをもっと見えるようにしていただきたいです。(SS4)
- 今まで教えてもらったものをさらに広げられるようなことを教えてもらいたい。(L1)
- 今から数学の解法を習っても、それを活用する機会は大変少ないと思います。私はこの授業
を通して数学を勉強することによって、何を得ることができるかに期待しています。(L1)
- ここは基本的に文系の大学だし、世の中はICUの卒業生が数学ができることを期待してい
ないので、特に何をすべきだということはないと思う。ただ個人的に数学がおもしろいからやる
だけで良いと思う。(SS1)
- 私が数学と出会ったのは、ICU high schoolの入試問題です。多分一生のうちで、なかな
か出会うことのできない貴重な出会いだったと思います。それまで大嫌いだった数学がはじめて
おもしろいと思いました。
大学での数学は(私にとっては)未知の世界との出会いというもので実用的である必要はないと
思います。もし、自分の分野で(SS)、数学が必要となったとき、それは手段であって、数学
であるとは思わないのです。
むしろ、実用的でない方が純粋に数学をたのしむことができるように思います。(SS1)
学生へのメッセージ
- 正直、こんな授業でよいのかな、申し訳ない、と思いながら話していましたので、皆さんが真剣に受け止めてくださったことがうかがえるメッセージはとても嬉しかったです。授業は、教師の技量によって価値が計られるのではなく、受講生が何を学ぶかによって価値が問われるべきもの、その意味でもすばらしい学生がこの授業の受講生であると言うことを心から感謝したいと思います。
-