Last Update : December 10, 1998
ALGEBRA III 代数学 III
この授業について :
受講者の皆さんへのひとこと
- ガロア理論は方程式の解の研究から出発したものです。二つの体の中間にある体を調べるためには、より調べやすい、自己同型群の部分群を調べれば良い、ということを主張しているガロアの理論を中心にしていますが、難しい構造のものを調べる時、調べやすいものとの対応を考え、調べやすいものの方を調べることにより、元のものの構造を考えるという、数学においては非常に大事な手法が、うまく反映されている、数学でももっとも美しい理論の一つです。
- ガロア理論は環論を基礎として、群の構造と、体の拡大を結び付けるわけで、代数学I、IIで学んだことが様々な形で用いられています。この代数学IIIを学ぶことによって、群論、環論についても皆さんの理解が深められることを期待しています。
教科書・参考書
(Algebra (代数学:群、環、体、加群、代数)の教科書)
- 永尾汎 「代数学」 朝倉書店
非常に、よく使われている教科書ですが、自習用としては、難しいと思います。予習復習をしながら理解していって下さい。ALGEBRA I II (代数学 I、II)では教科書としましたが、ここでは、参考書としておきます。議論の運び方などがかなり違うからです。アルチン式に線形代数を中心的な道具として用いることにしました。第4章が範囲ですが、すべてはカバーできません。授業で全てをカバーするわけではありませんが、これ一冊理解すれば、大学院入試、米国大学院の Comprehensive Examination にも大体十分と思います。
- Serge Lang "Undergraduate Algebra" second edition, Springer-Verlag
広く使われている教科書。Lang は、教科書を書くのがとても上手だと評判です。
- Serge Lang "Algebra" third edition, Addison-Wesley
大学院レベルの教科書。勉強するのは、このほんの一部分ですが、レベルとしては、十分読むことができると思います。私(鈴木)は、大学2年生から、4年生まで、自主ゼミで、仲間と、この本をずっと勉強しました。
- 服部昭 「現代代数学」、「現代代数学演習」 朝倉書店
永尾先生の教科書がでるまでは、良く使われていた教科書です。少し、難しいですが、「演習」も良く書かれています。
- van der Waerden "Modern Algebra", Springer
(銀林訳 「現代代数学」、「演習現代代数学」 東京書籍)
古典的名著です。演習書も充実しています。
- 成田正雄 「初等代数学」 共立出版
簡明に、かつ、具体的な例も豊富に書かれている素晴らしい本です。成田先生は、国際基督教大学で長年教えておられた先生です。惜しむらくは絶版なこと。しかし、図書館には2冊入っているようです。
(ガロア理論、体論の参考書)
- スチュアート 「ガロアの理論」共立全書
問題が多く自習にも適する。
- 永田雅宜 「可換体論」裳華房
授業でカバーできない範囲も充実しておりこの本を参照すれば学部レベルの体の問題は大体解決できる。
- アルチン 「ガロア理論入門」東京図書
線形代数を中心的な道具として使い、初等的な証明を与えている。本講義の定理の証明方法は、この本に負うところも多い。