Last Update: June 26, 2018
ALGEBRA I 代数学 I
この授業について, About This Course :
受講者の皆さんへのひとこと, A Message from Instructor
学習目標, Learning Goals
このコースは、以下のことを理解し、習得することを目標としています。履修者のみなさんが目標とすることであると共に、教える側が、以下のことが到達可能であるように授業をすすめていくことが重要です。目標が達せられるかはその意味で、学生と教員両方の責任です。
- 二項演算 (binary operation) の定義された集合が幾つかの条件を満たすとき、半群 (semigroups)、モノイド (monoids)、群 (groups) と呼ばれる。それぞれの条件のもとでどのような基本的な性質が得られるかを理解し、定義だけを用いてそれらの性質が導き出せるようになる。特に、モノイドの可逆元 (invertible elements) 全体は群となることを理解し、これから多くの群の例が得られることを理解する。
- 群の様々な性質、定理を、対称群(symmetirc Groups)Sn、Zn、Zn* = U(n), および GLn(C) の部分群を例として理解する。
- 部分構造としての部分群 (subgroups) とそれより得られる剰余類 (cosets) を理解し、同値関係と同値類の関係がどのように用いられているかを理解する。特に、aH = bH が a-1b∈H と同値であることがどのような意味を持つかを理解し、利用できるようにする。
- 正規部分群 (normal subgroups) という良い性質をもつ部分群により商構造としての剰余群 (factor groups) が定義され、準同型写像により、商構造が、他の群の部分構造と同型になる同型定理 (isomorophism theorem) を理解する。また幾つかの例において、同型定理を利用できるようにし、同時に同型定理に於ける部分群などの対応の様子を理解する。
- 群の作用 (group actions on a set) の幾つかの例と、これらが群の置換表現 (permutation representation) と対応していることを理解し、この応用として、群とその部分群を知ることにより、群の構造がある程度得られることを理解する。
- 小さな位数の群の同型類を決定することにより、群について学習したことの関連を理解する。
- 演習および宿題・小テストに充分な時間をとり、自ら考え証明を書くことに習熟し、代数学を中心に数学の考え方に触れる機会とする。
- Understanding definitions, contents of theorems and proofs of them are essential in studying Mathematics.
Through this course students will learn how to read and write proofs of basic properties of groups by starting from only definitions and/or appropriately quoting theorems.
Students will know several examples of groups and will be able to apply theorem of groups in concrete examples.
Textbook (2015-)
Joseph A. Gallian, "Contemporary Abstract Algebra", Eighth Edition
Textbook (2010-2014)
Joseph A. Gallian, "Contemporary Abstract Algebra", Seventh Edition
Quote from Preface (xi)
Alhough I write the first edition of this book more than twenty years ago, my goals for it remain the same. I want students to receive a solid introduction to the traditional topics. I want readers to come away with the view that abstract algebra is a contemporary subject - that its concepts and methodologies are beging used by working mathematicians, computer scientists, physicists, and chemists. I want students to enjoy reading the book. To this end, I have included lines from popular songs, poems, quotations, biographies, historical notes, dozens of photographs, hundreds of figures, numberous tables and charts, and reproductions of stams and currency that honor mathematicians. I want students to be able to do computations and to write proofs. Accordingly, I have included an abuncance of exercises to develop both skills.
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Textbook (2005-2008)
Derek J.S. Robinson, "An Introduction to Abstract Algebra"
This is a new textbook published in 2003. Quote from the back cover:
This is a high level introduction to abstract algebra which is aimed at readers whose interests lie in mathematics and in the information and physical sciences. In addition to introducing the main concepts of modern algebra, the book contains numerous applications, which are utility and relevance of algebra today.
The importance of proof is stressed and rigorous proofs of almost all results are given. But care has been taken to lead the reader through the proofs by gentle stages. There are nearly 400 problems, of varying degrees of difficulty, to test the reader's skill and progress.
The book should be suitable for students in the third or fourth year of study at a North American university or in the second or third year at a university in Europe.
教科書 (1993-2004)
永尾汎 「代数学」 朝倉書店
非常に、よく使われている教科書ですが、自習用としては、難しいと思います。予習復習をしながら理解していって下さい。ALGEBRA II III (代数学 II、III)でも使います。授業で全てをカバーするわけではありませんが、これ一冊理解すれば、大学院入試、米国大学院の Comprehensive Examination にも大体十分と思います。
参考書
(Algebra (代数学:群、環、体、加群、代数)の教科書)
- Serge Lang "Undergraduate Algebra" second edition, Springer-Verlag
広く使われている教科書。Lang は、教科書を書くのがとても上手だと評判です。
- Serge Lang "Algebra" third edition, Addison-Wesley
大学院レベルの教科書。勉強するのは、このほんの一部分ですが、レベルとしては、十分読むことができると思います。私(鈴木)は、大学2年生から、4年生まで、自主ゼミで、仲間と、この本をずっと勉強しました。
- 服部昭 「現代代数学」、「現代代数学演習」 朝倉書店
永尾先生の教科書がでるまでは、良く使われていた教科書です。少し、難しいですが、「演習」も良く書かれています。
- van der Waerden "Modern Algebra", Springer
(銀林訳 「現代代数学」、「演習現代代数学」 東京書籍)
古典的名著です。演習書も充実しています。
- 成田正雄 「初等代数学」 共立出版
簡明に、かつ、具体的な例も豊富に書かれている素晴らしい本です。成田先生は、国際基督教大学で長年教えておられた先生です。惜しむらくは絶版なこと。しかし、図書館には2冊入っているようです。
Group Theory (群論)の参考書
- 鈴木通夫 「群論上、下」 岩波書店 (Springer より英訳有)
日英両方とも、有名で、群論の教科書としては、世界で最も評価の高いものです。1997年、鈴木先生の70歳の誕生日を記念して、ICUで国際シンポジウムが開かれました。詳しくは、ホームページ を見て下さい。
- 浅野啓三、永尾汎 「群論」(岩波全書) 岩波書店
良くまとまっている教科書です。レベルとしても、適当です。
- 近藤武 「群論」(基礎数学講座) 岩波書店
基礎的なことから、高度のことまで良くまとまって書いてあります。最初の3分の1ぐらいでこの授業としては、十分です。
できるだけこの欄を充実させていく予定です。図書館にもたくさん参考書があります。少しずつ紹介していけたらと思っています。
反省点
2003年度
- 今年は、基本的には熱心な学生が多く、わたしもいつも以上にエネルギーを費やしたつもりだが、反省点がとても多い。
- ある先生に「4時限目は学生がよく眠るから他の時間帯に教えたい。」と言われ「では私が4時限目に教えさせていただきます。」と言って教え出したのは何年前だろうか。それ以来つねに4時限目というわけではないが、特に違和感はなくどの時間帯でも教えてきた。しかし、今年の時間割を決める時に始業時間が8時半から9時に変更になったのにともない、1時限目の授業を増やしたいという行政の意向もあり、私はICUに来て始めて1時限目を教える事とした。この授業だけでなく、代数学II、代数学IIIも同様である。他の授業とのコンフリクトは減ったためだろうか、受講学生数は増えたが、9時時点の出席率は非常に悪く、10時10分終了時でも、十分な出席とは言えなかった。今年はFD主任をしているから考えてしまうのかもしれないが、それを単に「もっと質の良い授業をすれば学生は来る」とは言えない気がする。1時限目の有効利用が大切なのは一応理解できるが、単純ではない事がよく分かった。
- 今回は、二つの改善をした。問題に関し少し簡単な問題を配った事。そして、Take-Home QUIZ を宿題と併せ10回行なった事。これらには、答えも作り配った。有効だった面は大きいと思うが、そのため演習がうまくいかなくなった。Quiz 提出が重なると問題をといてくる余裕がなくなる。問題が多過ぎて、集中できないのか、問題を演習の時間でする数が激減してしまった。結局どのような方法であっても、学生がこの時間に投入できるエネルギーはあまり変わらないのかもしれない。
- そうであれば、Quiz を毎週行なうなら、演習の時間を減らして、授業の説明をゆっくりしたり、Quiz の解説を丁寧にすることに時間を使うか、または、曜日をうまく使い、今回のように水・金なら、水曜日演習で、Quiz をその日に配り、金曜日授業、そのあと、考える問題を指定するなどが、一つの方策か。ただ、休日が入る事もあり、スケジュールでうまく運営するのは、つねに困難をともなう。解決策はまだない。
- もう一つの問題は、成績。Quiz をたくさん行なったため、期末試験の配点が減った。これは健全としても、演習をする学生が少なかったため、レポート的に、Quiz をあとから出したもの、演習をあとから提出したものにたくさんの点数をあげることになってしまい、本当に理解したかどうかが、分かりにくくなってしまった。3年生の科目で、あまり、勤勉さばかりで評価するのは良い事とは思えないが、提出期限の遵守で、あとからの提出は、一般教育科目の授業でもしたように、1/5程度に押えるのが適切かも知れない。(今回は1/2。)改善の必要がある。
- 学生の雰囲気は良く、おおむね理解できている受講生と、理解する能力を示した学生がほとんどだった気がする。その中で、本当に時間をさいて、十分自分で考える時間を持つのは今はとても難しい時代なのだろう。問題がとけない状態で数時間考えると言う事は、現代ではとても難しいように思われる。携帯電話や、インターネットにつながったコンピュータにより調べたいものの答がすぐ得られる、それが当然になってしまったからかも知れない。私から見て優秀と思える学生はこれができている気がする。数学の問題を3時間考えて結局分からなかった。それを良いとできる人は幸せだと私は思う。でもこの価値観を強制する事はできないのかもしれない。
2004年度
- 今年は、総じて熱心な学生が多く、わたしもいつも以上にエネルギーを費やしたつもりだが、反省点がとても多い。
- 1時限目の問題は、依然として大きいが、今年の受講生は、それでも熱心に始業時には約半分が集まっていた。2人ほどほとんど出席しなかった学生、あと何人か出席できなかったり、遅刻が多い学生がいたが、昨年度と比べると状況は良かった。最終的な受講生は14人。クラスのサイズとしてもベストに近い人数だった。
- Take-Home Quiz は出張などの関係で8回となったが、基本的に、このスタイルはいいと思う。これからも続けたい。演習との関係も、改善されたと思う。現在は、授業を二回、演習を二回と交代で続けていく形式をとっている。そこで、なるべく、演習問題を解くエネルギーを割かないように、授業の1回目、演習の2回目に宿題として小テストを配ることにしている。これで、演習の前にはすでに、宿題を提出してしまっている状態にしている。
- 演習は必ずしもうまくいったとはいえない。昨年度よりは、指名しなくても問題を積極的に解いてくれたがどうしも、問題を解く学生が偏ってしまう。結局演習があと3回という段階で割り振ったが、基本的な問題は割り振り、そうでない問題を自発的に解いてもらうなど工夫が必要。時間配分も難しく、受講生みなにとって、分かりやすい説明をもう少し、考えないと、解いた学生との対話が大きな割合になってしまう。Exercise のような簡単な問題を宿題とするなども必要かも知れないが、このあたりが教員、学生双方にとって限界かも知れない。
- 読みものの配布物はどの程度読まれているか分からないが、もう少し準備してもいいかも知れない。ネット上の情報も、ある程度はリンクするといいかも知れない。ただ、それが単にコンピュータに向かう時間の増加になるのであれば、問題。
- 内容として、群の作用が本の少ししかできず、アーベル群の基本定理や、シローの定理までいけないのは非常に残念。数学通論I と同時に受講している学生も多く、スピードをあげられないのはし方がないとして、演習と、講義の時間の割り振りはもう少し考えてもいいかも知れない。
2005年度
- 今年から、教科書と講義を英語に変えた。現在、数学の専門の講義が英語で開講されていないこともあり、英語で学ぶ機会の必要性を強く感じたからである。演習は日本語でも良いとし、質問も日本語でも英語でも受け付けたので、あまり言語に関する違和感は無かったように思われる。英語の教科書を用いることは、その背景となるコース内容もそれに準じることになる。例が多くなり、理論は多少少なくなっているが、これで十分であろう。
- 1時限目の問題は、依然として大きい。小テストを宿題形式ではなく、クラスの中でする事で、出席率を高めたいと思ったが、十分成功したとは言い難い。小テストの内容とそのシステムがよく伝わらなかった面があると思う。講義や、教科書の演習問題から出していることが殆どなので、それほど難しくは無いはずである。このテストを受けるかどうか出、かなりの差ができてしまった。
- 演習の時間に、小テストをするので、演習の時間が減ることとなった。もう少し、演習問題に時間ととりたい。このジレンマはいかんともしがたい。宿題などを、クラスの状況を見ながら、出していくのが良いかも知れない。
2007年度
- 教科書と講義を英語に変えてからこれで3年目。現在、数学の専門の講義が英語で開講されていないこともあり、ICUで学ぶメリットを生かすためには、英語で学ぶ機会を増やす必要性を強く感じている。演習は日本語でも良いとし、質問も日本語でも英語でも受け付けたので、あまり言語に関する違和感は無かったように思われる。ただ、英語の教科書だけで学ぶのにはやはり困難が伴うようである。もう少し、日本語の参考書を薦めるなり、部分的に補う資料を配るなりしたほうが良いように思う。
- 教科書のレベル自体は問題は無いと思うが、質はかならずしもベストとは言えない。記述が洗練されていない部分があるのと、演習問題が充分ではないことがあげられる。
- 1時限目の問題は、依然として大きい。しかし、小テスト、宿題、演習のサイクルは、学生にとって大変だったかも知れないが、それによって、勉強のサイクルを確立したとは思う。時間割は1時限目に固執する必要はないとおもう。学生の履修状況をよく見て、時間割を検討することも必要。1時限目と、毎回の宿題のサイクルに乗れないと、単位はとれない。特に、就職活動と重なった学生には、非常に困難だったろう。コースワークと考えると仕方がないが。
- 演習に問題がある。Easy Exercise を宿題とし、Hint もだし、次のレベルと問題を、演習で解き、次のレベルを Hint を出しながら Quiz としたい。それには、演習問題の準備が必要。いずれ演習が2時間になることを考えると、その準備は必要。ひとりひとりにあてられるぐらいの数の問題が必要である。日本語ではすでに作ってあるが少し難しいかも知れない。
- 基本的な論理を追うことが中心となり、面白いところまで到達することができなかった。やはりシローの定理や、有限生成アーベル群の定理までは到達し、それを使いながら理解するぐらいはしないと楽しめないと思う。最初をもう少し速くし、後半をゆっくりできないものか。
- 今年はとてもよい学生に恵まれたと思う。そのことを考えるとクラスの運営に問題があったと思われる。来年はどうなるだろうか。
- まったくの私の不注意で、最後の授業と、期末試験と2回チャンスがあったにもかかわらず授業効果調査ができなかった。少人数での調査では、特に書いたものがそのまま教員に戻されるのであれば、率直なコメントを得ることが難しい。すると、殆どが統計的数値の集計が中心の調査となるが、少人数の授業ではこの必要性は薄い。もう少し、学生からのフィードバックを有効に得る必要があったと思う。
(2007年6月23日)
2008年度
- 教科書と講義を英語に変えてからこれで4年目。現在、数学の専門の講義が英語で開講されていないこともあり、ICUで学ぶメリットを生かすためには、英語で学ぶ機会を増やす必要性を強く感じている。演習は日本語でも良いとし、質問も日本語でも英語でも受け付けたので、あまり言語に関する違和感は無かったように思われる。ただ、英語の教科書だけで学ぶのにはやはり困難が伴うようである。もう少し、日本語の参考書を薦めるなり、部分的に補う資料を配るなりしたほうが良いように思うが、同時に、学習方法が散漫になってもいけないので、このあたりは難しい。人数が多くないので、一人一人にあった適切な指導と言うことになるだろう。
- 教科書のレベル自体は問題は無いと思うが、質はかならずしもベストとは言えない。記述が洗練されていない部分があるのと、演習問題が充分ではないことがあげられる。演習問題は追加問題として配付したが、有効には用いられなかった様だ。復習のシートは、有効だと思われる。例題を丁寧に解説したものを作って配るのは有効かも知れない。小テストの過去問がその役割を果たしてはいるが、まとまったものを作る時期かも知れない。
- 今年度から2時限目に変更。人数が多くなかったこともあるが、みな殆ど時間には来ていた。これは、授業を運営する上で非常に楽。
- 演習には改善の余地がある。実際に解く問題数は多くはない。ただ、授業時間が少ないので、この時間をつかって説明することを考えると仕方がないかも知れない。適切なのは、2回授業、1回演習程度の割合のような気がする。2010年度から3コマになる予定なので、そのときのことも考えながら改善したいものである。Easy Exercise を宿題とし、Hint もだし、次のレベルと問題を、演習で解き、次のレベルを Hint を出しながら Quiz としたい。
- 今年は昨年度の反省から、シローの定理とその応用を入れてみた。さすがに、その部分まで理解できたとは言えないと思うが、やはり、そこまでする事で、それまでの事をどのように利用するかもわかり、有効であるように思われる。定理としては有限生成アーベル群の分類を加えたいが、それよりは、シローの定理とその応用の方が、応用力が高まるかも知れない。定理は使ってみないと理解できないので。
- 今年もよい学生に恵まれたと思う。少しずつ改善していきたい。
(2008年7月25日)
2010年度
- 今年度からカリキュラム改訂、この授業に関する限り要点は三つ。理学科生ではなく、アーツサイエンス学科という一学部・一学科の数学メジャーの学生が中心の授業となることと、授業時間を3時限(1時限=70分)とし、演習の時間をより増やしたこと、時間数が増えた分、Algebra I, II までで III をなくすことになったこと。学生は変化し、やはり III までにした方がよいとの考えも強いが、基本的には演習の時間を増やし、理解度を高めることにある。Algebra III を無くしたことで、ガロア理論を十分に扱うことができない年も出てくるが数学特論(Topics)で扱うことになってはいる。
- カリキュラム変更を受けて、教科書を変えることにした。いままで使っていた教科書に満足できなかったこともあったが、2009年度一年間、特別研究期間で、多くの特にアメリカの教員と話す機会があり、教科書を紹介してもらったが、今回採用した、Gallian の本の人気が高かったため、採用することにした。International Version があったことも幸いしたが、入手に時間がかかる状況は変わらず、それなりに大変。教科書は、注文はあるものの、わたしが今まで見た中で最高。わたしが教科書を書くなら、このようなものを書きたいという種類の本で、かつ第7版となっているだけのことはあり、非常に洗練されている。Algebra II で環論を中心に教えることになるが、この教科書を使うのが楽しみである。学生が学んでいく過程、難しさの克服などに、配慮が行き届いた教科書である。ラグランジュの定理を12回目まで出さないのには、感心した。その背景を十分に味わい、当然予測できるものとして、出してきている。日本の教科書には無い形である。
- Part I Integers and Equivalence Relations, Part II Groups, Part III Rings, Part IV Fields, Part V Special Topics となっており、Part I は、数学通論 I でカバーする範囲、Part II が今回の Algebra I の範囲で、Part 5, Chapter 24 Sylow Theorems だけ最後に付け加えた。詳しくは、予定表にあるシラバス参照。
- 今年度のみの特殊事情。特別研究期間をとっている教員に代わって、ギリシャ人の先生に非常勤講師として幾何学を英語で担当して頂いているため、講義の主要言語は日本語とした。
- 今回は、自作の Take-home Quiz 形式をやめ、なるべく、教科書を利用することとした。しかし、内容も豊富で、読むのにも、演習問題を解くのにも時間がかかったようで、学生達は、平均でも、15時間程度、毎週勉強したようである。「このぐらい勉強しないと理解できないことはわかる」と積極的なコメントが多かったが、やはり他の授業に差し障りがあるレベルで、修正が必要。予測は、6時間から9時間だったが、みなが、そのレベルを超えて、熱心に取り組んでくれたことは確か。
- 基本的に前半と後半二種類のサイクルとし、前半は、授業+演習の二時間の組合せ、後半は、授業+演習+演習で三時間の組合せとし、授業の後の宿題は、指定の2問+自由に3問、演習で説明をしてからは、指定5問としたが、指定5問が難しかったようである。どうしても、通常の日本の教科書にあるレベルの問題を解けるところまでと欲張ってしまい、スタンダードな問題を指定してしまった。これらについては、あとから、解答を公開したが、やはり自分で解くのは難しかったようである。この教科書は、計算問題が多く、内容を理解していれば解ける問題がいくつもあることは確か。
- 後半の理論的なところでは、教科書の主要部分すらカバーできないので、別証明を使ったが、証明が複雑で難易度が増してしまった。技術的な問題としては、群の作用はもう少し早い時点で紹介しておいても良いように思う。
- 今回は、教科書を読むだけでなく、ノートも作り、練習問題もすべて解いて準備したので、わたしも忙しかったが、次回は、もう少し余裕をもって、この授業を運営していきたい。
- 受講生7人。途中で一人脱落。5人は、宿題も演習も授業出席もほぼ完璧。数学メジャーの3年生は5人のうち3人。1人は数学マイナー。1人は数学専修の上級生。1人は経済の大学院生。新しいシステムでの最初の年だが、今年は特別に受講生が少ないと思いたい。
(2010年6月25日)
2011年度
- カリキュラム改訂で代数学I, II のみで、 III が無くなってから二年目。しかし、実際には、昨年度、数学特論で、ガロア理論を扱っており、実質的には時間数が増えたことになっている。今年度もその予定である。受講生が多くないこともあり、これで定着するかは、不明。学生の理解度とあわせて、注意深く見まもり、評価する必要もあろう。
- 教科書として Gallian の "Contemporary Abstract Algebra - Seventh Edition" に 変えてから二年目。今年から学内の三省堂書店が、安価で入手販売してくれることになり、学生も殆ど最初の時間から、教科書を入手しており、教科書の入手に関する問題は飛躍的に改善した。教科書は日本の代数学の教科書とはかなり趣が異なるが、学生が学んでいく過程、難しさの克服などに、配慮が行き届いており、無論細かい点において、不満もあるが、十分コース内で対応できる程度であり、満足している。ただし、本年は秋学期代数学 II は他の教員が担当するので、その方の評価もしっかり受け止めたいと思う。
- 扱ったトピックは昨年度と同じく、Part II Groups, および、Part V, Chapter 24 Sylow Theorems。詳しくは、予定表にあるシラバス参照。昨年度より一回分授業が多かったので、Sylow Theorems についてある程度の時間をかけることができたため、期末試験の範囲にも加えることが出来た。Sylow Theorems を用いると群の構造に関する問題を幾つでも出すことができ、それまでの内容を確認するにも非常に良いが、難しくなりすぎる傾向もあるので、学生の理解を確かめながら出題のレベルを考える必要がある。約半分の学生は、このレベルを理解するレベルに到達していたが、残りの半分にとっては、要求度が高くなりすぎたかも知れない。
- 講義は日本語としたが、数学は英語開講科目が少ないことを考えると、英語で講義することも検討する必要があるだろう。時間内で基本的な部分を終わる努力は必要。現在は、演習を増やすために、授業が少なく、どうしてもあとは教科書を読んでおいて下さいとなってしまい、重要な部分も演習の空き時間をみつけて説明することになっている。ある程度は仕方がないとしても、もう少し整理したい。
- 今年は、本部棟での仕事も多く、昨年度の遺産に頼った面が多かった。基本的には、宿題や演習の方式はまったく昨年度と同じにした。基本的に前半と後半二種類のサイクル、前半は、授業+演習の二時間の組合せ、後半は、授業+演習+演習で三時間の組合せ。授業の後の宿題は、指定の2問+自由に3問、演習で説明をしてからは、指定5問とし、その問題については、解答を返却と同時に配布。総計で120問宿題として解くこととなり「ひきずられていく感じで頑張りました。」と学生が言っていたが、やはり少し、大変すぎるのだろう。しかし、講義後一回目の宿題は、演習をした日の夜までの提出とし、黒板に発表されたものを提出してもよいとし、また、演習の最初には、リクエストを取り、わたしも2、3問解いたので、手がつかなかった回も、演習に来ればどうにかなるようなサポートは出来たと思う。
- 昨年度にも同じ反省点があるが、有限アーベル群の基本定理と、シローの定理の証明は、時間の具合で、教科書とは異なるコンパクトな証明をして、それでも終わらない部分をノートを配布したが、群の作用をもっと早い時点で紹介するか、教科書の証明で満足するか、来年度はもう少し改善したい。
- 受講生7人。一人は一回しか授業に出席せず、期末試験も受けず。一人は自学自習をして宿題も提出してくれていたが、遅れ気味になり、少し話して途中から、授業にも出席するようになった。残りの5人の内一人は、宿題を全部は出せなかったが、演習も授業もついてきてくれた。基本的には、新課程の学生は理学科内でのあまえがなく、課題への取り組みは熱心であるように思われる。
(2011年6月26日)
2012年度
- 教科書として Gallian の "Contemporary Abstract Algebra - Seventh Edition" に 変えてから三年目。Example および Excercise がとくに適切だと思う。Excercise は簡単なものから、難しいものまで分類されていないが、それも一つの教育的要素でもあろう。熱心な学生は問題全体をそれなりに見ているようだった。演習で、リクエストによってわたしが問題を解くことで、扱う問題の幅を広げられるのも適切だと思われる。毎回、平均で3問から4問解いていた。
- 扱ったトピックは昨年度までと同じく、Part II Groups, および、Part V, Chapter 24 Sylow Theorems。詳しくは、予定表にあるシラバス参照。Part II の最後の有限アーベル群の基本定理、および、Sylow Theorems を用いると群の構造に関する問題を幾つでも出すことができ、それまでの内容を確認するにも非常に良いが、難しくなりすぎる傾向もあるので、学生の理解を確かめながら出題のレベルを考える必要がある。要求度が高くなりすぎたかも知れない。
- 教科書と少し異なる進行にしたのは、(a) isomorphism で homomorphism を定義しておき、homomorophism で言える性質についてはそこで示しておいた事。(b) 有限アーベル群の基本定理は、有限生成のレベルで、他の短い証明としたこと。(c) シローの定理も異なる証明をしたことであろう。(b), (c) は教科書通りで証明することを次回は挑戦したい。時間内にどのように組み込むかが課題であるが。
- 講義は日本語としたが、数学は英語開講科目が少ないことを考えると、英語で講義することも検討する必要があるだろう。
- 今年度の正式な受講生は、5人。一人聴講していた学生がいたが、その出席回数はそう多くなかった。三人は基本的な事項はよく理解しており、かなりの訓練ができたと思うが、期末試験で、授業を取り扱わない範囲を出したが、それに対応するのは難しかったようである。基本的には、新課程の学生は人数は少ない(少ないからかもしれない)が、課題への取り組みは熱心であるように思われる。
(2012年6月23日)
2013年度
- 時間割:今年は、1時限目の月水金、休日の関係で、26日しか授業日数がなかった。日数が少なくとも1日は少ないにもかかわらず、同じ範囲としたのには、問題があったように思われる。
- 教科書: Gallian の "Contemporary Abstract Algebra - Seventh Edition" に 変えてから四年目。特に今年は、ドイツからの交換留学生も受講者におり、講義は、主として英語で行った。すでに第8版がでているので、来年には、International Edition にも Eighth Edition が出るのではないかと思われる。しかし、現時点で中身を確認する限りにおいて、殆ど差異はないように思われる。値段が高騰するのが心配。英語であることのメリットは十分にあるが、英語故に苦労している学生もいるとは思われる。難易度は適切だが、急ぎすぎるのは問題。
- 演習問題・宿題:すべての日にほぼ5問ずつ宿題に出しているが、全体で 26回の宿題が学生に負担であることは確か。宿題の問題数は少し減らした方が良いかも知れない。演習で、リクエストによってわたしが問題を解くことで、扱う問題の幅を広げられるのは適切だと思われる。しかし、後半で演習を2回ずつ続けてするときは、もう少し工夫ができるように思われる。
- 扱ったトピックは昨年度までと同じく、Part II Groups, および、Part V, Chapter 24 Sylow Theorems。3学期続けて教えるときは、Sylow の定理は、冬学期に回す事で、基本的な部分、特に、Isomorphism Theorem の応用や、Permutation Groups を中心にし、定着させる方が良いかも知れない。Sylow の定理の応用まで、要求するのは消化不良に陥る可能性が大。
- 期末試験:Sylow の定理の問題など、難しかったように思われる。このレベルをするのであれば、もう少し時間が必要。
- 受講生:7人。ただし今年はとても変則的。2年生2人、3年生2人(内、一人は留学生)、4年生二人(一人は編入生、もう一人は再履修生)、上級生1人。これだけ、幅が広いにもかかわらず、とても熱心で驚いた。余計にレベルのことなど、上に書いたことへの反省がある。
(2013年6月29日)
2014年度
- 時間割:今年は、2時限目の月水金、休日の関係で、27日しか授業日数がなかった。昨年度よりは良かったがやはり時間数が少ないことは問題である。今回は、最後の4回、理学館の教室の天井に問題があるかも知れないと言うことでs、本館に移動することになった。演習のために可動式の黒板を入れて頂いたが、やはり黒板スページは重要だと感じた。
- 教科書: Gallian の "Contemporary Abstract Algebra - Seventh Edition" に 変えてから五年目。講義は、主として英語で行った。すでに第8版がでており、第8版を持っている学生もおり、三省堂で販売されている第7版に合わせたが、多少の混乱が生じ、受講生には申し訳なかった。来年には、International Edition にも Eighth Edition が出るのではないかと思われる。値段が高騰するのが心配。英語であることのメリットは十分にあるが、英語故に苦労している学生もいるとは思われる。難易度は適切。演習問題も非常に適切であると思う。
- 演習問題・宿題:今回、昨年度と比較して、宿題を8回分減らし、18回(毎回5問)とした。宿題の量は適切になったと思うが、いくつかの章のまとめの問題は演習としてクラスでも取り扱った方がよいと感じた。奇数番、偶数番に分ける回数を減らしてでも、演習をしたほうがよいと思われる。演習で、リクエストによってわたしが問題を解くことで、扱う問題の幅を広げられるのは適切だと思われる。
- 扱ったトピックは昨年度までと同じく、Part II Groups, および、Part V, Chapter 24 Sylow Theorems。3学期続けて教えるときは、Sylow の定理は、冬学期に回す事で、基本的な部分、特に、Isomorphism Theorem の応用や、Permutation Groups を中心にし、定着させる方が良いかも知れない。Sylow の定理の応用まで、要求するのは消化不良に陥る可能性が大。今回は、多少の反省から、期末試験の Sylow の定理の問題を多少簡単にした。
- 期末試験:適切なレベルになったように思われる。苦労した学生も半分程度いたが。
- 受講生:7人。2年生1人、3年生6人(内、一人は殆ど出席せず)、みな、とても熱心だった、
- OCW:講義のビデオ撮影を行った。黒板の撮影は、現状の機材できれいにとることは難しいので、改善を必要とする。反転授業の要領で、核となるもののみ、Screen-Capture Video を作成して、それを使って復習してもらう方が効率が良いかも知れない。実は、毎回内容が十分消化できなかったことも生じている。少し全体構成に工夫が必要。Later Specialization で、ICUでは、数学は学修背景も考慮に入れ、1年生の基礎科目、2年生の200番台の科目は、ゆっくりスタートするが、大学を目指す学生も多く、3年生の授業ではあるレベルに達することも重要だと感じている。内容が多くなりすぎないよう、注意して、全体を構成していきたい。改善点は尽きない。
(2014年6月25日)
2015年度
- 教授言語:今年度の大きな変化は、大学が英語の授業を増やしたと言うこともあり、また、昨年度の、スーパーグローバル大学創成支援の補助金申請に関わったこともあり、教授言語を今までの、J/E から E/J に変更したことである。つまり主たる教授言語を英語とした。実は、J/E でも最近は、講義は英語で行っていたため、実質的には、非常に大きな変化ではないが、極力、わたしの説明は英語を使うようにした。英語が母語の学生は1人、日本語が母語の学生7人であった。演習での発表も英語で努力しようとした学生もいたが、まだこの訓練は、大きな困難が伴う。今年は、わたしの側だけ、英語を増やしたが、学生には、強要しなかった。ただ、宿題は、学生も殆ど英語で書いてあった。これは、ある程度の訓練になっていると思われる。この授業終了後、4年生を主たる対象として TeX 講座を行ったが、そこにも3年生が何人が来ていた。英語で数学の証明などを書くことが少しずつ早く訓練できるようになると良いと思う。自分の英語での説明は、まだ上手だとは到底言えない。十分準備すれば、かなり改善することからも、準備の大切さを痛感した。今までは、授業ノートも、概要だけだったが、説明の言い回しなどを考えると、もう少し、きちんとしたノートを作成することのメリットも感じた。退職まで年数が多くないが、できるだけ改善したい。
- 時間割:今年は、2時限目の月水金、休日の関係で、今年度も27日しか授業日数がなかった。大学としてこれで良いのだろうか。以前は、毎年、教授会で発言していたが、最近はそれもやめている。やはり時間数が少ないことは問題である。あと3回授業があれば、かなり充実できると思う。
- 教科書:今年から、 Gallian の "Contemporary Abstract Algebra - Eighth Edition" に 変更となった。特に、前半の練習問題の数が増えた。練習問題になっていたものが、本文に入るなど、多少変更があったが、それらを十分把握できるところまでは、今回できなかった。しかし、練習問題は、教えている範囲は、殆ど全問解くことができたので、次回は本文を読み込んで対応したい。いずれにしても、8版までなっているこの教科書への信頼度は高いということだろう。三省堂での販売価格もあまり上がらなかったことはよかった。
- 演習問題・宿題:昨年度同じく、18回(毎回5問)とし、問題指定もなくした。宿題の量は適切になったと思うが、いくつかの章のまとめの問題は演習としてクラスでも取り扱った方がよいと感じた。奇数番、偶数番に分ける回数を減らしてでも、演習をしたほうがよいと思われる。これは、昨年の反省にも書いてあったにもかかわらず、実行できなかった。版が変わり、教科書を入手したのが、授業の開始と殆ど同時であったことがその原因である。教科書の入荷がばらばらで、学生の分を確保すると、自分で購入できない状況もあった。図書館にもっと早く、発注すべきであった。演習で、リクエストによってわたしが問題を解くことで、扱う問題の幅を広げられるのは適切だと思われる。このスタイルは、むろん、忙しいが、このレベルで、このサイズのクラスでは適切だと思われる。学生も難しい問題ばかりと感じても、投げ出さないですむメリットもある。
- 扱ったトピックは昨年度までと同じく、Part II Groups, および、Part V, Chapter 24 Sylow Theorems。3学期続けて教えるときは、Sylow の定理は、冬学期に回す事で、基本的な部分、特に、Isomorphism Theorem の応用や、Permutation Groups を中心にし、定着させる方が良いかも知れない。Sylow の定理の応用まで、要求するのは消化不良に陥る可能性が大。今回は、多少の反省から、期末試験の Sylow の定理の問題を昨年度と比較しても、多少簡単にした。
- 期末試験:適切なレベルになったように思われる。しかし、しっかり理解するのは難しい。もうすこし復習に時間を使えると良いのかも知れない。
- 受講生:8人。全員が3年生。
- OCW:講義のビデオ撮影を行った。黒板の撮影は、現状の機材できれいにとることは難しいが、途中から解像度を上げたのである程度見ることができるレベルになった。昨年も書いているように、反転授業の要領で、核となるもののみ、Screen-Capture Video を作成して、それを使って復習してもらう方が効率が良いかも知れない。実は、毎回内容が十分消化できなかったことも生じている。少し全体構成に工夫が必要。Later Specialization で、ICUでは、数学は学修背景も考慮に入れ、1年生の基礎科目、2年生の200番台の科目は、ゆっくりスタートするが、大学を目指す学生も多く、3年生の授業ではあるレベルに達することも重要だと感じている。内容が多くなりすぎないよう、注意して、全体を構成していきたい。改善点は尽きない。
(2015年6月27日)
2017年度
- 教授言語:2016年度は、特別研究期間で授業担当はなかった。非常勤講師の方に担当をお願いしたが、教授言語の E/J, J/E というカテゴリーがなくなったため、英語となった。そこで、今年度も教授言語(Language of Instruction)は英語とした。講義だけでなく、演習も英語で殆ど説明した。演習の時間の、学生の説明は、なかなか英語にならなかったが、強制はしなかった。受講生に、英語で説明できるようにしようとする意思があるかどうかは重要であると思う。
- 時間割:2時限目の月水金。今年度から、サービス・ラーニング・センター長を二年間の任期で務めており、5月末に、Asia-Pacific Regional Conferece on Service-Learning at Petra Christian University, Surabaya, Indonesia があり、一週間出張で不在であったため、三回通常の時間に授業ができなかった。一回は、中間試験とし、あとは補講とした。補講は適切な時間にできないこともあり、全体としては、一回分程度、減ることとなってしまった。
- 教科書:Gallian の "Contemporary Abstract Algebra - Eighth Edition" を2015年に引き続き利用した。ある程度、練習問題の解答も作ってあったので、ある程度安心して進めることができた。しかし、十分利用できているとはいえない。学生も余裕がないことがあり、Additional Reading として、引用されている論文を配ったこともあるが、利用はされなかった。GAP も、Moodle リンクはしておいたが、利用はされなかったと思われる。
- 演習問題・宿題:17回(毎回5問)とし、問題指定もなくした。2015年度と比較すると一回分減らしたが、中間試験をしたので、ある程度問題数としては補っているとも言える。奇数番、偶数番に分ける回数を一回分減らしたが、まだ、Normal Subgroups and Factor Groups の章と、Homomorphisms の章は二回の演習をしている。これらも一回に減らし、いくつかの章のまとめの問題を演習としてクラスで扱うように変更したい。一つの問題は、簡単な問題が前半にたくさんあるために、学生が油断して、途中から理解できなくなってしまうことである。そのために、後半では、演習を増やしているが、Supplements of Exercises には、良い問題もあるので、演習で扱いたい。教科書は、正直値段が高いが、このレベルの教科書は他に見つけられないので、あと一回、来年も利用したい。
- 扱ったトピックは、Part II Groups, および、Part V, Chapter 24 Sylow Theorems。Sylow の定理は、簡単に扱うだけとしたが、やはり、まったく説明しないことには抵抗感がある。
- 期末試験:適切なレベルになったように思われる。しかし、殆ど満点の学生から、中間テストに出した問題以外は、できなかった学生まで、かなりの差が出てしまった。しっかり理解するのは難しい。また、きちんとした証明を書く練習でもあるが、演習の時間、全員が出席したわけではなく、証明の書き方の詳細の指導ができなかったことも、問題だったと思われる。
- 受講生:5人。3人が3年生、2人が4年生以上。
- 今回は、正直、学生の出席率が低く、遅刻も多く、正直やりにくかった。自分で勉強する学生であったことは、確かだが、期末試験での、成績のばらつきをみると、やはり、問題だったと思う。次回がおそらく、ICUで担当する最後となる。正直、改善はありすぎて、力不足を感じる。
(2017年6月27日)
2018年度
- 教授言語:2017年度に引き続き、今年度も教授言語(Language of Instruction)は英語とした。今回は、海外で高校までの教育を受けた学生、アメリカの大学から転校してきた学生も居たため、演習も基本的にすべて英語で進めることができた。英語での、証明の書き方や、式の読み方など、ある程度説明した。
- 時間割:2時限目の月水金。今年度から、サービス・ラーニング・センター長を二年間の任期で務めており、6月はじめに、Service-Learning Asia Network Meeting at De La Salle University, Manila, Philippines があり、木曜日から日曜日まで4日間出張で不在であったため、一回通常の時間に授業ができなかった。演習時間は十分あったこともあり、Special Office Hour として、講義自体は、一回減らした。
- 教科書:Gallian の "Contemporary Abstract Algebra - Eighth Edition" を2015年に引き続き利用した。ある程度、練習問題の解答も作ってあったので、安心して進めることができた。しかし、教科書を、十分利用できているとはいえない。学生も余裕がないことがあり、Additional Reading として、引用されている論文を紹介したが、利用はされなかった。GAP も、Moodle リンクはしておいたが、利用はされなかったと思われる。
- 演習問題・宿題:15回(毎回5問)とし、問題指定もなくした。2017年度と比較すると二回分減らしたが、宿題の問題をSupplementary Exercises(まとめ)も含めて、すべて演習でも取り扱った。
- 扱ったトピックは、Part II Groups, および、Part V, Chapter 24 Sylow Theorems。Sylow の定理は、簡単に扱うだけとしたが、やはり、まったく説明しないことには抵抗感がある。
- 期末試験:適切なレベルになったように思われる。しっかり理解するのは難しい。また、きちんとした証明を書く練習でもあるが、演習の時間、全員が出席したわけではなく、証明の書き方の詳細の指導ができなかったことも、問題だったと思われる。
- 受講生:5人。3人が3年生、2人が4年生以上。
- 今回は、定年前の最後の年だったこともあり、OCW の撮影をお願いして、授業終了後、ほどなく公開してもらった。Digital Media Support Office は、自分で立ち上げたこともあり、勝手をしっていたこともあるが、講義をすべて残すことができたのは、良かった。教科書があることから、定義・定理の文章は、教科書からとったものが多く、演習問題も、教科書からとっているが、証明や、解答はすべて、書き下ろしたので、それも公開しておきたいと思う。これができるのは、最後の年だからでもある。しかし、はっきり言って、すぐに、講義ビデオを公開するので、授業への出席率が減ったことも確かである。本来は、Flipped Classroom で良いのかもしれない。コース運営は本当に難しいが、最後の授業をこのように終えることができて幸せである。
(2018年6月26日)