Last Update: December 19, 2025

2025年読書記録


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  1. 「源氏物語 全8巻+別冊付録 第二巻」上野榮子訳 日本経済新聞出版社(ISBN978-4-532-17086-8, 2008.10.30 第一刷)
    出版社情報。昨年9月に第一巻を読んでから、第二巻を読み始めるまでにかなりの時間がかかってしまった。その間に、NHK 大河の「光る君へ」も終了。正直にいうと、第一巻を読んで、次々と読む魅力をあまり感じなかった。もしかすると、個人出版であり、注などが充実していないことも関係しているのかもしれないが、正直よくわからない。この第二巻は、読むのに時間もかかってしまった。紅葉賀(もみぢのが)・花宴(はなのえん)・葵(あおい)・賢木(さかき)・花散里(はなちるさと)・須磨(すま)・明石(あかし)。人の死や、最初に逢瀬をもったときや、大きな変化があるときなどの、場面の転換点の記述が非常に簡素で、その前後、とくに後の記述がさまざまに表現されている。当時の出家についての考え方もよくわからなかった。現代語訳とはいえ、馴染みのないことばで描かれている物語が、なかなかスッと入ってこないのは、わたしの側の問題なのかもしれない。また間があくことになるが、ゆっくり、第三巻へと進んでいこうと思う。
    (2025.1.17)

  2. 「ゆとろぎ - イスラームのゆたかな時間」片倉もとこ著 岩波書店(ISBN978-4-00-025406-9, 2008.5.28 第1刷発行)
    出版社情報・目次。ある方が、この本の紹介をしておられ、著者のイスラームへの愛が伝わってくるとあったので、読んでみた。著者は、自分は、イスラームではないと書いておられるが、たしかに、その中に入って行って、生活をともにする、感覚がとてもやさしく、違和感がない。目次は、リンクにあるが、最初の二つの章「ゆとろぎとの出会い」「ラーハの世界」を読むと、これは文化的には、乾燥地における遊牧民についてで、イスラームについてではないようなイメージをもった。しかし、他の章では、アルゼンチンや、中国や、インドネシアも、取り上げられており、興味深い感覚と接することができたことは確かである。このかたの、他の本「イスラームの日常生活」(岩波新書)なども読んでみたい。ただ、ひろくはあるが、やはり、薄い感じもした。長期間、ある地点で、生活をしているというかたではないのだろう。また、子どもについてのことと、詩についてのことは、十分理解できなかった。わたしは、結局、まだ何もわかっていないのかもしれない。以下は備忘録: (2025.1.23)

  3. 「聖母マリアとともに歩む 十字架の道行」彫刻 船越保武 ドン・ボスコ社(ISBN4-88626-394-6, 2003.2.28 初版発行)
    出版社情報内容。熱心なカトリックの方から、いただいた小冊子。船越保武の代表作には長崎の『二十六聖人殉教者像』(1962)などがある。ことばは、引用した「内容」に書かれている。黙想をたいせつにされているのだろう。聖書から、イエスの実像を読み取ろうとする、わたしとは、視点がかなりことなるが、伝わってくるものは十分にある。瞑想を通しての信仰告白であろうか。裏表紙には「尊いあなたの子イエスを旅路の果てに示してください。」サルヴェ・レジーナよりとある。
    (2025.2.4)

  4. 「教皇ヨハネ・パウロ2世の詩 黙想/ローマ三部作 THE POETRY OF JOHN PAUL II」木鎌安雄訳 聖母文庫(ISBN4-88216-252-0, 2004.12.1 初版発行)
    図書情報。熱心なカトリックの方から、いただいた小冊子。タイトルそのままである。I. 小川、II. システナ礼拝堂入り口での創世記の黙想、III. モリアの地の山。最後に解説があり、全71ページ。非常に自然で正直な詩である。やはり黙想的なものなのだろうか。帯にも引用されているものを、一つ記す。「神とは誰か。神は創造主。はじめあるがごとく絶えず無からすべてが実在するように呼びかけ、それを抱きかかえている。」(教皇の詩)システナ礼拝堂は行ったことはないが、最近訪問した、大塚国際美術館に、システィーナ礼拝堂の天井画と正面壁画「最後の審判」を再現したシスティーナ・ホールがある。
    (2025.2.4)

  5. 「アンナ・カレーニナ(上)」トルストイ作 中村融訳 岩波文庫 赤617-1(ISBN4-00-326171-2, 1989.11.16 改訂第1刷発行, 2012.11.5 第21刷発行)
    出版社情報。冒頭の「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。」は、データ・サイエンスの授業などで何回か引用し、アンナ・カレーニナ原理(AKP)と紹介してきたが、今回、初めて読む機会を得た。本書(上)には、第一編と第二編となっており、扉には「復讐は我にあり、我これを酬いん」と書かれている。それぞれの心理が微細に表現されていて、いろいろな思いとその変化を感じながら読むことができる。まさに、これぞ、小説なのだろう。登場人物一覧と解説に、人間関係図がある。最初は少しずつ読んでいたので、この図も参考になった。名前のカタカナ表記は、岩波文庫のものではないが。描かれる中心人物が変化していき、それも興味深い。個人的には、第二編の後半の、キチイの温泉療養の地で、ワーレンカと出会い、そこに、父、シチェルバーツキィが来るあたりが興味深かったが、三冊本の中・下も楽しみである。上だけでも、441ページあるが、あまり長いという感じがなく読めるのも、すごい小説だということだろう。ただ、あまり若い頃に読んで、理解できるのかは不明である。個人的には、徳富蘆花が訪ねて行ったという、ロシアの文豪、レオ・トルストイ自身にも、興味がある。少しずつ、長編も読んでいきたい。多少、備忘録として記す。 (2025.2.4)

  6. 「アンナ・カレーニナ(中)」トルストイ作 中村融訳 岩波文庫 赤617-2(ISBN4-00-326172-0, 1989.11.16 改訂第1刷発行, 2011.7.25 第17刷発行)
    出版社情報。三巻本の二巻目、第三編、第四編、第五編が収められている。580頁あり、三巻本の中でも一番長い。表紙裏には「激しい恋のとりことなったアンナは、夫や子どもを捨て、ウロンスキイとともに外国へと旅だった。帰国後、社交界の花形だったアンナに対する周囲の眼は冷たい。一目愛児に会いたいという願いも退けられ、ひそかに抱くひとときがアンナに与えられるのみだった」とある。心から、すごい小説だとおもうが、それは、非常に多くのひとの人物像や心の動きが丁寧に、緻密に描かれているからであるが、同時に、男性のそれは、すばらしいと思うのと同時に、女性のそれは、ほんとうにそうなのだろうかと、不安も感じる。わたしよりは、トルストイは、十分、深く理解しているのだろうが。描かれている、性差は、当時の社会的役割の違いに由来するものであり、かつ、それが貴族社会という、わたしが想像しにくい社会であるからもあるだろうが、女性のこころを軽く描き過ぎているように、感じてしまう。わたしが、個人的に、女性のこころはなかなか理解し得ないものと思っているからかもしれないが。話が非常に進んでから、アンナとカレーニンが結婚するようになった経緯がかかれていたり、セリョージャ視点の母親のこと、周囲から、母親は死んでしまったとか、とても悪い女だと言われても、母親を信じ続ける子供のきもちなども、描かれている。しばらくしてからになるだろうが、トルストイの他の長編も読んでみたい。ほんのすこしだけ、抜書きを備忘録として記す。 (2025.2.15)

  7. 「アンナ・カレーニナ(下)」トルストイ作 中村融訳 岩波文庫 赤617-3(ISBN4-00-326173-9, 1989.11.16 改訂第1刷発行, 2013.1.25 第17刷発行)
    出版社情報。三巻本の三巻目、第六編、第七編、第八編、および、訳者による解説が収められている。514頁。表紙裏には「アンナは正式な離婚を望む。が、夫は拒否。ウロンスキイはアンナを愛したが、社交界で孤立していく彼女に次第に幻滅を感じる。絶望したアンナはついにホームから身を投げる、『これで誰からも、自分自身からものがれられるのだ』とつぶやきつつ。」とある。正直、このような長編を考え、味わいながら、やっと読めるようになったのかなと、自分に対して思う。離婚や親権についての法律上の違いも背景にあるだろうが、何回か、登場するアヘンにも興味を持った。精神を落ち着かすためにも、また、出産の鎮痛にも使われていたことには驚かされた。フランス語で言ったという表現が本書全体を通して多かった。ロシア貴族にとっては、フランス語を使うことで表現される豊かさが特別な意味を持っていたのだろう。わたしには、そのニュアンスはわからない。最後には、争いに、国家として、宣戦布告をしていないときに、個人でどう対するかという問いまでなされている。解説を読むと、轢死する女性の事件が当時あったことや、それぞれの登場人物にどのような人が投影されているか、また、本書が書かれるに至った経緯や、改訂ごとにどのように変化していったかまで書かれていて、よく研究されているのだなとも思わされた。ロシア文学、他のものも少しずつ読んでみたいと思った。おそらく、現代で読む人は非常に限られているだろうが。以下は備忘録。 (2025.2.25)

  8. 「日本の死角」現代ビジネス編 講談社現代新書2703(ISBN978-4-06-531958-1, 2023.5.20 第一刷発行)
    出版社情報・目次。目次を見るとかなり広範囲にトピックを扱っていることがわかる。図書館で予約したが、かなり時間がかかった。多くの人が読んでいたということだが、正直、内容はあまり濃いとは言えない。社会学的視点が多く、かつ、一つの切り口のみ。それは、紙数の都合かもしれない。いくつか備忘録として記す。 (2025.3.2)

  9. 「白夜」ドストエフスキー著 小沼文彦訳 角川文庫(ISBN4-04-208702, 1958.4.15 初版発行、1987.11.30 56版発行)
    紀伊國屋書店。表紙裏「ドストエフスキーには苛酷な眼で人間性の本性を凝視する一方、感傷的夢想家の一面がある。ペテルブルクに住む貧しいインテリ青年の孤独と空想の生活に、白夜の神秘に包まれたひとりの少女が姿を現わし夢のような淡い恋心が芽生え始める頃、この幻はもろくもくずれ去ってしまう。一八四八年に発表の愛すべき短編である。」とある。ドストエフスキー(1821-1881)が、1848年『祖国雑誌』12月号に発表したと、訳者あとがきにある。また、ドストエフスキーがいかにデリケートな愛情をもった抒情詩人であったかを、われわれに、あますところなく示してくれる愛すべき小品であり、そのテーマは彼が終始愛してやまなかった『空想家』の生活記録であるとも描いている。正直、わたしには、苦手な分野だが、『空想』は、文学の一つのジャンルなのだろう。以下は備忘録: (2025.3.7)

  10. 「創立25周年記念 リベラル・アーツとは何か」山田耕太・八木誠一・阿部謹也・大口邦雄・絹川正吉・北垣宗治著 敬和カレッジ・ブックレット No.21(2015.9.15 発行)
    出版情報・目次。敬和学園大学の金山愛子学長先生からメッセージ付きでいただいた。ICUに勤めたこともあり、長らく考えてきたトピックであり、著者に名を連ねるお二人は、専門も同じ、ICUの学長経験者でよく存じ上げているので、講演内容も知っている内容もあった。また、大学教育についても、学内外で講演してきたこともあり、基礎知識はある程度あったと思う。しかし、これだけの著者のブックレットの存在は知らなかったし、基本的に講演集ではあるが、内容としてもよくまとまっていると思う。リベラル・アーツカレッジについて考える、基礎を与えるものだとも思う。正直にいうと、現在のわたしは、いろいろな意味で、このような内容を語れないが。以下は、備忘録: (2025.3.8)

  11. 「カタツムリの知恵と脱成長 - 貧しさと豊かさについての変奏曲」中野佳裕著 コモンズ(ISBN978-4-86187-142-9, 2017.11.5 初版発行)
    出版社情報・目次。著者からいただいたが、なかなか読む時間がとれなかったが、脱成長は、以前から考えてみたかったので、ちょっと時間があいたときに、手に取った。正直、興味深い記述が多かったが、同時に、実際に脱成長に取り組むには、氏がさけている、マクロ経済学とも取り組まないと、ローカライゼーションと呼ぶものの、ある規模を越さない、かつ時間的にも、比較的短い期間での議論しかできないように感じてしまった。おそらく、だれも解をも、普遍性のある案もまだ知らないのだろう。社会学的な視点と経済学的な視点を融合して考えることは、AI などの発展のなかで、少しずつ可能になっていくのかもしれない。多くの指標を扱うことができるようになっては来ているので。今後の氏の活躍に期待したい。以下は備忘録。 (2025.3.13)

  12. 「知能とはなにかーヒトとAIのあいだ」田口善弘著 講談社現代新書 2763(ISBN978-4-06-538467-1, 2025.1.20 第一刷発行)
    出版社情報・目次。PodCast でこの本のことを聞き、正直、大丈夫かなと思って、最初は手に取らなかったが、著名な学者であることもわかり、自分の理解との比較が必要と考えて手に取った。AI のことをよくご存知で、機械学習なども十分使っておられる物理学者で、現在は、バイオ・インフォマティックスをされているかたが著者である。はっきり言って、強化学習(reinforcement learning)について(ことばは登場するが)ほとんど何も書かれていない。アーキテクチャーと、データと、それを結びつけるソフトウェアとして考えておられるようで、環境から情報を取り込んで、随時学習していくことについては、考えておられないようである。デミス・ハサビスなどの、強化学習は、まさに、決定論ではなく、随時、情報を得て進化させていく、学習をどのように、AI に取り込むかが重要で、だからこそ、完全情報ゲームなどにおいては、データなしでも、十分な振る舞いができるようにしている。さらに、このことによって、AI のパフォーマンスが、予想できない振る舞いをする場面が増えてきて、それが、制御不能になるのではないかと懸念される根拠となっていることも、十分考察されていないように思われる。自律ということをどう定義するかは別として、まさに、自律系であるように、見えてしまう学習が、随時行われるシステムによって、問題が解決していく状態が、もしかしたら人間が制御できなくなるかもしれないと思わされるのであろう。実際には、まだそこには至っていないが。むろん、この方の考え方をわたしが、十分理解できていないことが多々あるのだろうが。Hinton の懸念のもとにあるいくつかの根拠や、Hassabis の、P = NP に関する、制限された条件下での予想などを、深いレベルで理解しないといけないと思わされる。以下は備忘録: (2025.3.16)

  13. 「はじめての機械学習 - 中学数学でわかるAIのエッセンス」田口善弘著 BLUE BACKS B-2177(ISBN978-4-06-523960-5, 2021.7.20 第一刷発行)
    出版社情報・目次。同じ著者のAIの本を読んだので、こちらも読んでみた。いろいろと物足りなかった。中学数学でも、最小二乗法は説明できるだろうし、おはなしで、雰囲気を伝えようとしているが、どの程度の人に伝わるかは不明、かつ、ジェンダー的にも少し問題を感じた。第6章の、正しいって何?は、Sensitivity(感度:真陽性率)と Specifisity (特異度:真陰性率)の Trade Off から、AUC のところを、文化的な違いも用いて説明していて、上手に書かれていると思った。正直にいうと、最後の量子計算機の部分は、さっと読んだだけではよく理解できなかった。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」(p.57)は、そうかなとも思うが、歴史について、語れるかは、難しいなとも感じている。
    (2025.3.22)

  14. 「砂時計の科学」田口善弘著 講談社学術文庫2849(ISBN978-4-06-538267-7, 2025.1.14 第一刷発行)
    出版社情報・目次。『砂時計の七不思議』が原本。田口善弘氏著作で、有名なものが講談社学術文庫として出たということで、読んでみた。著者は、日常現象を6人の物理学者が語り合う名エッセイ集『物理の散歩道』ロゲルギスト著と似ているという。わたしは読んだことがないので、わからないが、ファラデーの『ろうそくの科学』は、著者も引用しているが、雰囲気が似ていると思った。粉粒体という、あまり考えたことがなかったものに焦点をあてて、書かれている。科学と宗教の見方については、さすがに、神について、ほとんど理解がなく、残念だったが、物理学が扱えるものがとても限定的だということを、明快に書いてくださっており、共感を持った。数学はもちろんそうだが、物理学も理解するということに軸足を置くと、ほとんど、先へ進めない。しかし、AI などの発達で数値計算で、現象をある程度特定することはできるということにも、納得がいった。今後、学問は、それぞれどのように進んでいくのだろうか、AI による、研究分野における革命は、正直どのようなものになるのか、予測がつかない。20年後ぐらいには、大きく変わっているのだろう。以下は備忘録: (2025.4.1)

  15. 「今は、つぐないの時 - 日本兵を父に持つ南の島の三万余の子らへの愛の記録」加藤亮一著、聖文舎(1975.12.10 発行、1981.1.20 2版)
    本書を読むのはおそらく三回目だが、若い頃に読んだ時とは印象が全く異なった。恩師とも言うべき、加藤師であるが、周囲から、さまざまな批判も出ていた中、東南アジア文化友好協会の働きのため、政界・財界や海外要人との関係を大切にすることに対する、批判的な目も、私が若い時には、あったのだろう。視点が狭くなってしまっていたことは、ある程度仕方がないとは思うが、高校・大学時代、東京池袋教会と同じ建物の東南アジア学生寮に住んでいた、知っている名前が3分の2ぐらいだろうか、そんな一人一人の背景が書かれているにもかかわらず、積極的に、その一人一人と交流できなかった自分の幼さをかえりみてしまう。少なくとも、信仰の兄とも慕う、現在の、東南アジア文化友好協会の理事長とは、ゆっくり話す時間を作りたいと思う。正直、自分に、何が欠けていたのかよくわからない。以下は備忘録: (2025.4.6)

  16. 「21世紀のリベラル・アーツ」月本昭男、スティーブン・リーパー、山本精一著 敬和カレッジ・ブックレット No.26(2025.4.1 発行)
    出版情報・目次。講演時に、金山学長からいただき、講演後の新幹線の中で読んだ。「旧約聖書の現代的意義『エデンの園の物語』にみる人間観」「第三次世界大戦を回避するために」「リベラル・アーツが目指すもの」の三つが収録されている。それぞれ興味深いトピックではあったが、学生さんには、やはり、難しいのかなと思った。自分も話した後だと、ますます、第三者的に感想を書くことはなかなかできないが、なにを語るのかは本当に難しいとも感じた。同時に、このような冊子が、少しずつ刊行されているのは素晴らしいとは思う。有効に活用されることを祈る。以下は備忘録。 (2025.4.14)

  17. 「あなたもクリスチャンにーもったいない食わず嫌い」矢澤俊彦著 小冊子152頁
    何度もお送りいただいている、鶴岡の荘内教会牧師の著者の私費出版の小冊子。わたしもこのような思いがあるが、こどもたちにすら、直裁には言えない。現在の状態を感謝し喜んですらいる。使命としても書かれているが、やはり難しさも感じる。表題からも、どうしても、上から目線のようなものを感じてしまうからか。イエスはどのような方だったのだろう。大工で、おそらく、中産階級ぐらいだろうか。しかし、かなり幅広く、さまざまな人たちに語り、心を惹きつけてもいるが、やはり、その必要を感じている人に、そのひとの目線にあわせて、メッセージや救いを届けているようにも感じる。社会的地位ではないが、すくなくとも、その痛みや苦しみと共におられたことは確かなのではないだろうか。わたしには、このようなものは、書けない。以下は備忘録: (2025.4.18)

  18. 「ユダヤ人の歴史-古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで」鶴見太郎著 中央新書 2839(ISBN978-4-12-102839-6, 2025.1.25 第一版第一刷発行)
    出版社情報・目次。ユダヤ人の歴史と表題がなっており、興味をもって手にとった。著者の捉え方としては「周囲との差異が目立つ状況で自集団を維持するには、どのような方法があるのだろうか。孤立すると先細りしかねず、周囲に合わせすぎると、そのうち同化して集団が消えてしまうかもしれない。そこで重要なのが、周囲と自集団がお互いの特徴を維持しながら共栄する組み合わせを見つけることである。」(p.57)があるように見える。むろん、非常に複雑である。わたしの学んだことも、さまざまであるとしか言えない。最後には、むすびとして、ヴォロディミル・ゼレンスキー、ベニヤミン・ネタニヤフ、エレナ・ケイガンについて、例のように語られている。今につながるユダヤ人の歴史ということだろう。ただ、ある程度、英文の参考文献が上がっているものの、本文中には、ほとんど引用がなく、日本人のものからの引用に偏っていることが気になった。一般的には、日本人は、ユダヤ人問題に中立といわれるが、掘り下げれば、それほど簡単なものではないだろう。世界の違った立場のひとのものを、整理して、理解することも重要であるように思われるが、それは、ほとんど読み取れなかったのは、残念である。また勉強を続けたい。二度目もある程度読んだが、返却期限もあり、二度目は読み終えることはできなかったので、わたしの理解も浅いことは書き残しておく。 以下備忘録 (2025.4.29)

  19. 「『ひとすじの道』よりー渡邉清の歩み」加藤愛美発行 清游会協力 [非売品](2024.9.25発行)
    遠い親戚すじにあたることもありいただいた。構成的にはむずかしい種類の本だが、出版関係のお仕事をしておられることもあり、文章もよくこなれていて、よくできている。このような書が残されていくことは、親族にとってだけでなく、たいせつなことのように思われる。
    (2025.5.3)

  20. 「『P≠NP』問題ー現代数学の超難問」野﨑昭弘著 講談社 BLUE BACKS B1933 (ISBN978-4-06-257933-9, 2015.9.20 第1刷発行)
    出版社情報。深く関わっているのかは不明だが、Demis Hassabis が Nobel Prize Lecture で話していた 予想 “Any pattern that can be generated or found in nature can be efficiently discovered and modelled by a classical learning algorithm.” を聞いていて、「『P≠NP』問題」についても、理解しておきたいと思い手に取った。野﨑先生は、今年の1月に召された。いままで、何冊か野崎先生の本を読んだことがあったが、そのことも、この本を手に取った理由である。チューリング機械に加えて、非決定性チューリング機械の説明も加えて、P≠NP の問題を解説しており、今回、やっと問題をある程度理解したように思う。 (2025.5.6)

  21. 「イスラエルの起源ーロシア・ユダヤ人が作った国」鶴見太郎著 講談社選書メチェ(ISBN978-4-06-521571-5, 2020.11.10 第一刷発行)
    出版社情報・目次。ロシアユダヤ人のシオニズムをさまざまな形で論じている。1世紀以降、ほとんど、19世紀末まで武器をとって戦うことをしなかった、ユダヤ人が、イスラエル建国で、明らかに、今までとは違う戦い方をしていることについて論じていると言っても良いだろう。建国よりもう少し前に起源があり、そのほとんどが、ロシア・ユダヤ人起源だとして、シベリアから、ポーランドに至る地域の、18世紀後半からの動きを、ヴィナヴェルや、パスマニクなどについて焦点をあてて論じている。序章の最初に引用している、ベギン(1989)は、印象的である。「世界は屠殺される者に同情しない。世界が尊敬するのは、戦うものだけである。諸国民は、この厳しい現実を知っていた。知らなかったのはユダヤ人だけである。我々は甘かった。敵がわれわれを意のままに罠にかけて殺戮できたのは、そのためである。」(p.14)「ベギンに限らず、シオニストは、武力による自衛を次第に重視するようになっていき、建国までに、強固な軍隊を作り上げていった。」(p.18)とし、著者は、武器を手にとったときが、敵を区別する最初としているが、これは日本人てき発想で、世界ではそうではないように思う。また、著者はユダヤ人の宗教観や日常生活には触れない。他の、多国籍にまたがる民族との相違を考えること、長期間ユダヤ人というアイデンティティを維持してきたことについて、むろん、多様ではあっても、他のグループなどと比較しなければ、わからないことが多いが、それはされていない。また、文献は読み込まれているが、日本語以外での論文が見当たらない。焦点を絞れば、国際的な議論もできるはずで、もう少し違った考えかたを考察して欲しかった。情報:現在、イスラエルの全人口約900万人のうちおよそ650万人はユダヤ人(ユダヤ教徒)、世界のユダヤ人はおよそ1500万人、うち、アメリカが600万人。シオニスト運動が始まる直前の1880年の時点で、パレスチナの人口は、324000人ほどで、そのうち、24000人がユダヤ人。正確には、ユダヤ教徒のアラブ人。以下は備忘録: (2025.5.16)

  22. 「ベスト&ブライテスト(上)The Best and the Brightest」ハルバースタム,デイヴィッド David Halberstam 著 浅野輔訳 二玄社(ISBN978-4-544-05306-7, 2009.12.05 第一刷発行)
    紀伊国屋書店・目次。1962~1964年志願して、ベトナム特派員となり、その勇気ある報道でピューリッツァー賞を受賞した著者が、アメリカの「最良にして最も聡明な」人びとが、なぜ、ベトナム戦争という非道かつ愚かな泥沼へとアメリカを引きずりこんでいったか膨大なインタビューをもとに描いた作である。ベトナム戦争は、私も学園紛争時代(1969年)重要な要素だったこともあり、仏印インドシナの一部であるベトナムにどのように関与していったかをしっかり考えたいと思い手に取った。特に、J.F.Kenedy の時代。キューバ危機を、既のところで乗り越えるような映画では有名だが、キューバ問題においても、すでに、大きな課題を持っていたこともあり、特に、表題にも惹かれた。アメリカの、Harvard や、Yale などの、秀才たちのおごりについて、気になっていたからでもある。基本的には、大西洋間の問題と似た対応で、まったくことなる文化を育んできた、カリブ海や、アジア問題に傲慢な態度で取り組んでいったということが、当時の批判の種で、それが日米安保の1970年改定にも反対や危惧に結びついていったことだと思うが、それを内部から説き起こしているともいえる。ただ、問題点は指摘しても、今回読んだ上巻だけでは、特別に優秀な人たちであるにも関わらず、単にやり方がお粗末だったという書き方で、中巻・下巻で、どのように描かれるのかはわからないが、著者も Harvard 出身の秀才、結局、一般のひとの心を理解しようとしないという点で、共通するものも感じた。著者もプレーヤーも賢いことは確かで、日本ではこのようなジャーナリズムは残念ながらないのだろうなとも思わされた。ただ、独自のものは、多少あるので、良いのかもしれない。上巻は、「栄光と興奮に憑かれて」と副題にあるが、おそらく、第二次世界大戦で上手くやったということが背景にあるとしているのだろう。ただ、空爆の効果などについても、十分な検証がされておらず、効果があまり認められないなども記述もあり、検証していないことが多いのだろうなとも思った。朝鮮戦争についても、学んでみたい。重要な、Actor が出てきて、一部は、名前を知っているが、わからない人も多く、予備知識不足も感じた。ロバート・ロヴェット、チェスター・ボールズ、マクジョージ・バンティ、アヴェレル・ハリマンなどの復習が必要、関係略年表:1941.5.19 ベトナム独立同盟(ベトミン)創立、1945.2.4 ヤルタ会談、9.2 ホー・チ・ミン主席、ベトナム民主共和国(北ベトナム)の独立宣言、9.23 仏軍、サイゴン制圧、1950.6.29 米、サイゴンに軍事援助顧問団を設置、1954.5.7 ディエンビエンフーで仏軍幸福、7.6 サイゴンに、ゴー・ジン・ジエム政権(南ベトナム)樹立、7.21 ジュネーブ協定調印(カンボジアとラオスの独立、仏軍撤退)、9.8 東南アジア条約機構(SEATO)結成、1955.10.26 ベトナム共和国宣言、ジエム初代大統領就任、1960.11.8 J.F.ケネディ、第35代米大統領戦に当選、12.20 南ベトナム解放戦線(いわゆるベトコン)結成の宣言、1961.1.20 ケネディ就任、2.15 南ベトナム人民解放軍発足、4.17 キューバ信仰作戦失敗(ビッグス湾事件)、1962.2.8 米、南ベトナム援助軍事司令部設置、10.22 キューバミサイル危機、1963.11.1 南ベトナムで軍事クーデター(ズオン・ヴァン・ミン将軍中心)、11.22 ケネディ大統領、ダラスで暗殺される。ジョンソン大統領就任。1964.8.2 米駆逐艦、北ベトナム哨戒艇と交戦(トンキン湾事件)、8.4 ジョンソン、北への報復爆撃命令(米軍のベトナム介入)、1965.1.22 サイゴンで反米デモ、2.7 米機、北ベトナムのドンホイを爆撃(北爆開始)、3.2 米軍の恒常的北爆開始(ローリング・サンダー作戦)、10.15 米国内のベトナム反戦運動はじまる。1966.4.1 南ベトナム各地で反政府でも激化、1967.8.8 東南アジア諸国連合(ASEAN)結成、11.29 マクナマラ国防長官更迭、1968.1.30 北・解放戦線がテト攻撃開始、南部主要都市を一斉攻撃、3.16 南ベトナムのソンミで米軍による村民大虐殺事件起こる(ソンミ事件)、3.31 ジョンソン大統領、テレビ演説で大統領選挙不出馬を表明、11.6 ニクソン、米大統領選挙で当選、1975.4.30 南ベトナム・ミン政権、無条件降伏。北ベトナム軍、サイゴンへ無血入城。ベトナム戦争の終結。 以下は備忘録: (2025.5.27)

  23. 「敬和学園大学創立30周年記念 AI時代のリベラルアーツに向けて」敬和学園大学学長 山田耕太著 敬和カレッジ・ブックレット No.25(2021.4.1 発行)
    敬和学園大学サイト・目次。敬和学園(大学・高等学校)の理事となりその第一回目の理事会でいただき、帰りの新幹線などで読んだ。全139頁。内容はリンク内の目次からだいたいがわかるが、基本的には、敬和学園のリベラル・アーツ大学としての系譜・歴史が書かれている。幕末に開港された港の一つが新潟で、そこに S.R.ブラウンや、M.E. キダーが来て、新潟・古町の不動院で開校した官立新潟英学校の英語の教師として教えたあたりを起源として書かれている。「敬和学園高校は戦後の高度経済成長期の1968年に発足したが、それは、キリスト教愛真高校と共にキリスト教学校教育同盟で最後に発足した小規模な学校で、ミッションの経済的支援から自立した時期に開校した学校である。だが、敬和学園の発足までには新潟のキリスト教学校の長い歴史があった。その教育理念の根底には、明治依頼の『聖書教育』による『心の教育』と『英語教育』などによる『リベラルアーツ教育』があり、大正リベラリズムの『自由教育』による寮教育と労作教育による『人格教育』の影響を受け、戦後の『平和教育』が加わったのものである。敬和学園大学はこのような敬和学園高校の『心の教育』を『キリスト教学』『チャペル・アッセンブリ・アワー』として、また『労作教育』を『ボランティア教育』として受け継ぎ、新たに『寮教育』を加え、人権・共生・平和教育にアクセントを置いたリベラルアーツ教育を展開している。また、次のミッション・ステートメントに基づいて、『キリスト教教育』『国際理解教育』『地域貢献教育』による教育を推し進めている。『敬和学園大学は、キリスト教主義に基づく自由かつ敬虔な学風の中で、リベラル・アーツ教育を行い、グローバルな視点で考え、対話とコミュ二ケーションとボランティア精神を重んじ、隣人に仕える国際的教養人を育成する。』さらに2009年以降は、中期計画のヴィジョン、『隣人に仕えるための地域貢献として、持続可能な社会の担い手を育成する』を掲げ、現在はその実現に力を入れている。こうして、グローバルな視点をもって、地域社会と国際社会で活躍する良心的な人物の育成に励んでいる。」(p.127,128)本文中には、AI のことは書かれていないが、編集後記に関連が書かれているので、その部分を引用する。「現代は、16〜17世紀の科学革命、またその成果を実用化した19世紀の産業革命に続いて、20世紀後半のコンピュータ開発を起点にした情報革命が起こっている。21世紀にはそれがさらに進み、人工知能(AI)の開発に基づいた社会変革があらゆる分野で大きく進展していくことが予想されている。そこで問題になるのは、人間とAIがいかに共存していくのかである。また、そこで重要になるのは、人間とは何か、人間の教育とは何か、その中で高等教育は何を目指していくのかを理解することである。すなわち、今後の高等教育グランドデザインの向かうべき方向性である。本書ではそれを『AI時代のリベラルアーツに向けて』と題して、地方の人文系小規模大学の一つである敬和学園大学の向かうべき方向を示そうとした。本書は主として三部で構成されている。(1) 最初の『人間の教育としてのリベラルアーツ』と『真理はあなたがたを自由にする』でリベラルアーツの歴史と意味を理解して、リベラルアーツ教育について理解を深める。(2) 続く『新潟のキリスト教学校の歩み』『現代キリスト教大学の使命』『まちなかキャンパス化のビジョン』で、新潟のリベラルアーツ教育の歴史と現在敬和学園大学が展開しているリベラルアーツ教育の概要を示す。(3) 敬和学園大学のリベラルアーツ教育の背景を理解するために『メアリー・キダーと新潟・新発田』『T・A・パーム-新潟の医療宣教師』『新潟女学校と北越学館のリベラルアーツ教育』『新発田が生んだダンテ学者山川丙三郎』を挙げ、最後にリベラルアーツ教育を実践している『キリスト教学校教育同盟の中の敬和学園』の位置づけを明らかにする。」(p.134)とある。著者は、1950年東京生まれ、千葉大学卒業、国際基督教大学大学院修了、英国ダラム大学大学院修了(Ph.D.)で、新約学が専門。最新の出版書籍は「Q文書 -訳文とテキスト・注解・修辞学的研究-」。いずれ手にとって読んでみたい。
    (2025.5.31)

  24. 「エミリ・ディキンスン ー アメジストの記憶 Emily Dickinson: An Amethyst Remembrance」大西直樹著 彩流社(ISBN978-4-7791-7098-0, 2017.8.30 初版第一刷)
    出版社情報紀伊國屋書店・目次情報。エミリ・ディキンスンがどのぐらい有名な詩人なのかよくわからないが、アーマストという、アーマスト・カレッジもあり、クラーク博士や、内村鑑三など、さらに内村鑑三奨学金で、留学したわたしの周囲の方々も何人もいる、その街の方である。お父様や、お兄様も、このリベラル・アーツカレッジに関係したようである。宗教的にも特徴のある街のようである。エミリについては、少しずつ研究が進んでいるようで、本書でも、すこしずつそれが明かされている。本書に二度登場するエミリのことば「もし、本を読んで、身体全体が冷たくなって、どんな火でも温められないなら、それは詩だとわかる。もし、頭のてっぺんが吹き飛ぶような体感が感じられれば、それが詩だと思う。これしか判断できません。ほかの方法ってありますか。(L342a)」(p.55 & p.139)著者も書いているが、エミリの詩を、和訳して、縦書きにしたのでは、よくわからないのではないだろうか。すくなくとも、英語も一緒に添えてほしかった。私には賞味できないように思うが、少しは味わってみたいと思う。Poetry Foundation:Emily DickinsonAMBLESIDE: Poems of Emily Dickinson, 1830-1886。以下は備忘録: (2025.6.4)

  25. 「ベスト&ブライテスト(中)The Best and the Brightest」ハルバースタム,デイヴィッド David Halberstam 著 浅野輔訳 二玄社(ISBN978-4-544-05307-4, 2009.12.05 第一刷発行)
    紀伊国屋書店・目次。中巻は、第11章から第19章で、主として、マクナマラとジョンソンに焦点が置かれている。Wikipedia ベスト・アンド・ブライテストWikipediA: The Best and the Brightest (E) に、主要人物とその役職のリストと、概要(Factors examined)がある。Review がたくさん出ているので、それも参考になる。一つだけリンクをつける。THE BEST AND THE BRIGHTEST: A CRITIQUE。アメリカのアジアへの関与を非難することはできる。そして、優秀な人たちがどのような間違いを起こすのかも、丁寧に、書かれている。しかし、基本的には、どうにかできると考えているところにやはり問題があるように思われる。傲慢である。同時に、その地域に住む人々にとって何がよいのかは、正直、わたしには、わからないし、単に、地域に任せればよいのかも、わからない。自分がどう生きるか、それも、戦争や紛争に苦しむひとたちのことを覚えつつ生きていくことをしたいと願うが、それも、どうしたら良いのか正直迷っているのが現状である。以下は、備忘録: (2025.6.7)

  26. 「つながるビルマ、つなげるビルマ - 光と影と幻と」根本敬著 彩流社(ISBN978-4-7791-2877-6, 2023.3.21 初版第一刷発行)
    出版社情報・目次。講演は聞けなかったが、レジュメを送っていただき、近いウチにお会いしたいと思い、婦人の友2021-9「クーデター後のミャンマーーZ世代による未来志向の抵抗」・世界2021-8「危機の中のミャンマー:機能しない仲裁外交から標的制裁へ」・週刊東洋経済2021-5/29「日本政府は国軍偏重外交を改めよ」を読んでから、読みやすそうなので本書を手にとった。エッセイ集。すでに読んだ文章もふくまれていたし、エッセイ集ということで、この本の中にも重複があるが、基本的なことを理解するのには良かったと思う。最後は、エピローグとして、上智大学のインタビュー記事が入っており、根本氏についても、研究以外についても多少知ることができて興味深かった。以下は、備忘録: (2025.6.8)

  27. 「アジアの独裁と『建国の父』ー 英雄像の形成とゆらぎ」根本敬・粕谷祐子編 彩流社(ISBN978-4-7791-2954-4, 2024.2.16 第一版第一刷発行)
    出版社情報・目次。根本敬氏が研究代表者である、科学研究費補助金の基盤研究(B)による研究「権威主義体制の正統性としての「建国の父」-その継承と変容の比較研究-」の成果の一つとして出版されたものである。個人的に、アジア諸国の戦後の歴史に興味を持っていたので、根本氏との交流が始まったことを期に手に取った。非常に興味深く読ませていただいた。自分があまり知らない国もあるが、ある程度知識のあるひとたちを中心とした歴史であることも影響しただろう。ただ、私の場合には、日本の戦争責任という視点もあり、公平に関わることができない国々でもある。それを日本の研究者が研究し、このような本ができていることにも少し驚かされた。同時に、日本で、このような国々の歴史を学ぶことは、非常に重要だと感じた。これは、答えのない問いを追うことでもある。何がよいのかは、良かったのかは言えないことでもある。素人がコメントすることは、注意が必要だが、独立戦争など、どうしても、軍事的な活動が重要な背景としてあるにも関わらず、政治的な面だけから取り扱っている。そして、おそらく、軍事的なことを軍人の目もふくめて描くことは日本人には、そもそも不可能なのかもしれないとも思った。「ベスト&ブライテスト」を読んでいて交錯する課題でもある。もう少し、そして少しずつ深く、学んでいきたい。問を持ちながら。以下は備忘録: (2025.6.13)

  28. 「ベスト&ブライテスト(下)The Best and the Brightest」ハルバースタム,デイヴィッド David Halberstam 著 浅野輔訳 二玄社(ISBN978-4-544-05308-1, 2009.12.05 第一刷発行)
    紀伊国屋書店・目次。下巻は、20章〜29章で、そのあとに、著者ノートと、訳者あとがきがついている。おそらく、一回読んだだけでは、名前も混乱し、十分理解できていない部分もあり、もう一度、今後は英語版で読み直したいと思う。訳者あとがきに、「娘への手紙」についても書かれており、著者自身の後悔についても書かれている。この本のことも含めて、朝日新聞の天声人語2025年4月30日に引用されている。優秀なスタッフがそろっていて、泥沼に入っていった背景として、ハルバースタムは、冷戦の構造が呪のようにしてあったとしているが、それだけだろうか。アジア人を尊厳を持った一人の人間としてみていないことが背後にあるように思う。アジア人だからそう思うのか。これは、同時に、戦時中の日本人にもおなじようにアジア人を見下す心がなかったとはいえないことをも考えさせられる。人間とはどれほど愚かなものかについて考えさせられる本でもある。2年半以上の期間のインタビュー、びっしりと書き込まれた2000頁もの取材ノート、何人かには、10回以上も話を聞いたとある(p.330)から、大作であることは確か。簡単な地図と、年表がついているが、出てくる事件について簡単な説明は欲しかった。年を経ても読んでほしいからである。以下は備忘録: (2025.6.23)

  29. 「神へのかけ橋 B.L.ヒンチマン牧師説教集」B.L.ヒンチマン著 キリスト新聞社(ISBN4-87395-233-6, 1993.1.8 ©東京平和教会 1993)
    著者の息子さん、Mark Hinchman さんからお借りした。ネット上の情報は限られていて、目次情報も載っていないので、簡単に記す。目次:まえがき、説教:神へのかけ橋、真理と自由、生命への道、わたしは道である、神の愛されし世界、暗黒の三時間、我は罪の赦しを信ず、バプテスマの意義、仙波正荘さんを天に送ってー葬儀式辞より、あなたにとって十字架とは?、バプテスト信仰の真髄、イエスはどこに?、子どものゲーム、決断の力、信仰・希望・愛、生命ー神の賜物、見よすべてが新しい、二度の召命、寄稿11編、自伝:ただ主の恵みによって、略年譜、あとがき、英文説教:Where Does Your Help Come From?, When Little Is Big, Shall We Go Fishing, Climbing God's Ladder。正直、すばらしい、説教者だと感じた。そして、愛の方、戦争中から、日本を愛し、日本の人々を愛し、日本の宣教に、人生を捧げられたかたである。途中帰国期間があるが、1921年12月1日、アメリカ合衆国ウエスト・ヴァージニア州ロガン市近郊の町マン(Hinchman から取られた名前)で生まれる。1949年、貨物船「Flying Scnd」にて横浜に上陸。1992年4月、早稲田奉仕園会館内の東京平和教会名誉牧師となる。備忘録として、ダビデ・シュウブの「レーニン」を読んでみたいと思った。(p.164)証:「かつて私は、自分の全生活の中にイエスをお迎えし、イエスはその招きに応じてくださいました。私を以前から知っていた人たちは私の変わりようを見て驚きましたが、それでも私自身が一番自分の変化に驚かされたのは事実でした。イエスを心の中に迎えて、まず私はすべての人を愛することができるようになり、苦しんでいる人を助けたいと切に思うようになりました。また、当時のアメリカでは黒人差別が激しかったのですが、それらの人々を何のためらいもなく愛することができるようになりました。さらに、自分の国の人々だけでなく、他の国の人々のことにも関心を持つに至りました。当時若者であった私が兵士として他の国に行き、敵を殺すようにと国から命令を受けたとき、『イエス・キリストは、銃を持って人を殺すようなことはなされなかった』と、私の中の『新しい人』が叫ぶのを聞きました。しかし、一方『古い私』は、『行って、憎い敵を殺せ。日本の町や家々を破壊するがよい。自分の国のことではないのだから心配することはない』と私に語りかけました。このとき、わたしの中の『新しい人』は断固として答えたのでした。『私は、イエスがなされたこと以外は、何もしてはならない。イエスは私の心の中に生きておられるのだから、イエスが日本人を愛される限り、私もまた日本人を愛することができるはずだ』と。そして、その時、私の心のうちに生き給うキリストが私を勝利に導かれたことを神に感謝したのでした。さもなければ、私は広島か長崎に原子爆弾を落としていたかもしれません。」(p.181)最初のメッセージのみ記す。

    神へのかけ橋
    コリント人への第二の手紙五章 再び愛する新生教会で、皆さんと共に礼拝を守ることのできることをとても嬉しく思います。 一九四八年十二月十九日、一人の日本人女性がサンフランシスコから日本に向かう小さな貨物船に乗っていました。彼女は黒布で包んだものを大事そうに抱えていました。私が彼女とその船で会ったとき、彼女はそれが父親の骨であると説明しました。それは私ども夫婦が最初に日本に赴任する時のことでした。その女性は私に悲しい話を聞かせて下さいました。 彼女のお父さんは若いとき、アメリカに渡り、ケンタッキー州のルイベル市のバプテスト神学校で勉強して、牧師になってカルフォルニア州の日本人教会で働いていました。やがて、日本とアメリカの関係が悪化し、その後起こった太平洋戦争によって、彼女の父親の苦悩は増して来ました。彼は自分の国、日本を愛していましたが、アメリカも同じように愛するようになっていましたので、心痛の余り病気になり、ついにアメリカの地で亡くなりました。死に臨んで彼は、「自分の遺骨はアメリカでもなく、日本でもない、二つの国の中央の海に葬って欲しい」と言ったのでした。 私はその女性に自己紹介をしました。私もまた彼女の父親と同じバプテストの牧師、偶然にも同じ神学校の卒業生であり、宣教師として日本へ行くところであると聞いて、彼女は非常に驚いたようで、私の話を聞き終わって、「これこそ神のご摂理です」と叫びました。彼女の依頼によっ て、私は彼女の父親の遺骨を海に流す葬りの儀式を執り行いました。 クリスチャンであったその船の老船長は、太平洋の中央の一八〇度線、東でもなく西でもない ところで船のエンジンを止め、乗船していたすべての人に、デッギに出てこの葬送の式に加わるように伝えました。それはまだ完全に夜の明けきらないときでしたので、そこにしつらえられた葬壇の上の白い十字架もほとんど見えないほどでした。私がその遺骨を太平洋の海に流したとき、 私は彼と一体感というか、何か不思議な運命的結びつきを感じました。彼は二つの国を心から愛した人でした。世界でもそのような人は少ないと思います。彼こそは日本とアメリカの仲立ちとなる永遠のかけ橋になった人です。その瞬間、「私もあの人のように、日本とアメリカのかけ橋になりたい」と深く感じたのです。 私は子供の時から、「橋」というものが好きでした。美しいサンフランシスコのゴールデンゲイトブリッジや横浜に最近できたベイブリッジ、四国の瀬戸大橋のような橋、また小さくて何の特徴のない橋まで、すべて橋は二つのものをーつに結び合わせる役を持っています。 キリスト教の信仰の真髄はイエス・キリストがその十字架上の死によって、神と、神に背く人間の、更に人と人とを結ぶ大きなかけ橋になられたことであります。 今日、私たちはコリント人への第二の手紙五章から読みましたが、その一五節が今日のテキス トの鍵となるものです。パウロは「一人の方がすべての人の為に死んでくださった」(一四節)と言っています。私のために、あなたのために、イエス・キリストは十字架の上に死んで下さいました。これはパウロの伝える福音の中心をなすものであります。そして、これこそ新約聖書の、 また聖書全体を貫く真理である、と言えます。 十字架におけるイエスの死によって、私たちは、私たちが信じる神とは、どのような方であるかを、知らされました。それは、神がどれほど、私たちを愛して下さっているか、また、どれほど私たちの罪のために苦しまれたか、ということにつきます。 十字架につけられるすぐ前、イエスさまは十二人の弟子に「これから私は父のもとに行かなければならない」と言われました。しかし、弟子たちはまだ、イエスの死ぬこと、また、復活のこと、ペンテコステのことなど、そのような素晴らしいことは全然知りませんでした。 イエスさまが殺されることを知って非常に寂しく思い、その時、弟子の一人が「主よ、私たちに父を示してください。そうしてくだされば、私たちは満足します」と言いました。それに対して主は、「ピリポよ、こんなに長くあなた方と一緒にいるのに、私がまだ分からないのですか。私を見た者は父を見たのだ」と答えられました。 「父を示してください」という叫びは、全人類の心からの大きな願いであると私は思います。「私を見た者は父を見たのである」と言われたこのイエスは、父なる神、私たちの創り主である本当の神様の独り子であります。私たちの救い主である神様が、本当に私たちのところまで来て下さるために、肉体の形になって、その独り子イエス・キリストとして世に来られました。そして、その愛を知らせるために十字架にまでかかり、苦しんで下さいました。あの十字架は人間であるイエスさまの十字架であり、父なる神の十字架であります。その十字架の愛は父なる神の愛です。父なる神の永遠の十字架である、と私は信じております。私たちの罪の赦しは、イエスさまによる赦しですし、またそれを通して父なる神の赦しであります。イエスは父を示して下さいました。 また同時に、私たちはその十字架の出来事によって、人間の罪がいかに恐ろしいものであるかを示されたのでした。 旧約聖書の最初のところに「人間は神の形に造られた」ということがありますが、神の形に造られた人間は悪と善の区別ができるものとしての責任を持っています。もし悪を選ぶ可能性もなければ、善を選ぶ可能性もないでしょう。善悪を選ぶことができないのであるなら、それはただのロボットのようなものです。人間は良いことと悪いことを選ぶことができます。それは必要です。神の形である人間は神を愛するため、人を愛するために造られました。神のようなものとして造られました。しかし、残念にも人間は神のみ言葉を疑い、その不信仰によって神から離れ、神を知らなくなってきました。神から離れた人間は人を愛することもできなくなります。最初人間の家族はみな「兄弟」として造られました。しかしお互いに兄弟として認めることができなく なりました。あの人、あの国の人、あの人種の人は私とは何の関係もない者だ、と多くの人は考 えています。だから平気で人を殺したり、戦争をしたりするようなこともできるようになりました。 カインという人は象徴的な人だと私は解釈しますが、自分の兄弟アベルを殺してしまいました。「兄弟殺し」ということが、人間家族の最初のところであったわけです。神との関係を破って人との関係を破ってしまったのす。人を愛することのできない状態になった訳です。しかし、神は罪に満ちた私たちを少しだけ赦して下さったのではなくて、溢れる愛をもって、完全に赦して下さったのです。神は私たちの罪をご自分の御子イエス・キリストのものとされ、どんな言葉をも っても表現できないような恐ろしい人間のあらゆる罪のために、苦しみを味わわれました。その十字架のいちばん大変なところで、罪のないイエスさまは私たちの罪を負って、良い人間としてではなく、一番悪い者として呪われて、「わが神、わが神、どうして私をお見捨てになったのですか」と言われたのです。詩編の言葉を引用して心からそのように言われました。 「その一人の方はすべての人のために死んでくださった。その目的は生きている人たちが、もはや自分自身のために生きるのではなく、自分たちのために死んで復活してくださった方のために生きることなのです」(コリントの信徒への手紙二五・一五)とパウロは言っています。 このキリストの死は、イエスを信じる者たちに、何をもたらしたのでしょうか。これに対して、パウロは「このイエスの死によって、信じる者は新しく造り変えられる」と答えています。その人たちはもはや以前の人ではなく、また、普通の人たちが見る目で人を見るのではなく、キリストが私たちを見る目をもって、人に接するのです。これは言いかえれば、キリストが人々を愛し、神との和解を果たして下さったように私たちもまた人々を愛し、人々と和解するように努めることです。新しく造り変えられた者は、キリストに遣わされた使者です。キリストが罪人のためにされたことを引き継ぎ、神と人、また、人と人との和解のために努力しなければなりません。 イエスは神と人間の関係を正しいものにするためにかけ橋になられたのですから、イエスに従う者もまた、イエスの愛に満たされて、イエスのために生き、神と人の和解のために労さなけれ ばなりません。新共同訳では、「キリストの愛がわたしたちを駆り立てている」(コリントの信徒への手紙二五・一四)とパウロは言っています。また二一節には「キリストが人間の罪を一身に受けられたので、その代償として人間は神の義を受けることができた」と記されています。これこそ、神と人との和解です。私たち人間の罪のための「キリストの死」という全き愛の行為によって私たちは赦され、神との関係を正しいものとされたのです。罪に満ちた人間と正義の神とが、再び正しい関係に戻ることができたのです。イエスこそ、私たちと神をつなぐ、かけ橋となられた方です。 皆さん、アメリカのアブラハム・リンカーン大統領のことをよくご存知と思いますが、アメリカの大きい問題は白人と黒人の関係のことだと思います。最近その問題はまたとても大きくなりました。お互いに完全に兄弟として認めることはできませんので、問題はまだ大きいのです。 昔は奴隷制度があって、アフリカの人々は動物のように船にいっぱい積み込まれ、アメリカに連れて来られました。自分たちの意志は完全に無視されて、白人の奴隷という生活を長くして来たのです。アブラハム・リンカーンのお母さんはバプテスト教会の熱心な信者でした。自分の子供に「この奴隷制度はアメリカの呪いであり、大変な罪である」ということを教えました。リンカーンはお母さんから教えられたことを心から信じ、「大きくなって、できれば大統領になり、そのときには奴隷制度を廃止する」という決心をしました。リンカーンは神に導かれた非常に析り 深い人でした。アメリカの有名な神学者は、「アメリカのいちばん優れた神学者はアブラハム・リ ンカーンであった」と言っています。 リンカーンは大統領に選ばれた時、すぐ奴隷制度を廃止したのです。しかし残念なことに、それに偏見のある古い考えの白人の一人がワシントンDCの劇場のところで、リンカーン大統領を銃で撃って殺してしまったのです。暗殺されたリンカーン大統領の遺体は汽車で彼の生まれたイリノイ州の町に運ばれました。ワゴンの上に棺が乗せられており、その町の人々は、愛するリンカーンの顔をもう一回見ることができるようになりました。そのとき、一人の黒人が赤ちゃんを抱いて、その大勢の中に立って待っていたんです。リンカーン大統領の棺が見えたとき、その子供を高く持ち上げて大勢の人の前で子供にこう言いました。「子どもよ、 よくよく見てください。この人はあなたのために死んで下さったのです」 本当のことです。よくよく見てください。この人(キリスト)は、 あなたのために死んでくださったのです。だから、キリストと結ばれる人は誰でも新しく創造された者なのです。古いものは過ぎ去り、新しいものが生じた。これらはすべて神から出ることであった、神はキリストを通して私たちをご自分と和解させ、また和解のために奉仕する任務を私たちにお授けになりました。つまり神はキリストによって世をご自分と和解させ、また、和解のために奉仕する任務をわたしたちにお授けになりました。つまり神はキリストによって世をご自分と和解させ、人々の責任を問うことなく、和解の言葉を私たちに委ねられたのです。 一人の方が、すべての人のために死んで下さいました。イギリスのロンドン市の街の真ん中に世界一優れた美術館があります。その美術館に私は入ったことがありますが、ヨーロッパなどの有名な画家の良い絵がたくさん並んでいます。それらの絵は聖書をテーマにしたえが多いのですが、特にイエス・キリストの十字架の絵がたくさんあります。 こういう話があります。ある時、一人のおじいさんがその美術館に入ってきて、あるイエス・キリストの十字架の絵の前に立って、長い間動かないでじっとその十字架上のイエスの苦しみの姿を見ていたのです。周りの人々は、本当に心からイエスの十字架のことを考えて、じっと長く動かないでいるおじいさんに気がつきました。そして、おじいさんの唇が少し動いているようでした。おじいさんは何と言っていたのでしょうか。その大勢の人の中の一人がおじいさんに近づいて、その言葉を聞きました。何だったのでしょう。 「私は彼を愛しています…。十字架のイエス…」 その言葉を聞いた一人の人はおじいさんと同じようにその絵を見て、イエスが私のために死んで下さったことを深く思うことができました。そして、その人も「私も彼を信じています。私も 彼を愛しています」と言いました。そしてもう一人、またもう一人、またもう一人と、だんだん 多くの人がそのおじいさんの周りに立って、同じ言葉を言いました。 「私も彼を信とています。私も彼を愛しています」 私もそう言いたい。皆さんはそう言えますか。どうぞ、心からそう言ってください。イエスは すべての人々のために死んで下さいました。 「私も彼を愛しています」 もう一回大きな声を出して、心からイエスの十字架をおぼえ、神がそれほど私たちを愛して下さることを信じて、心から感謝して言いましょう。 「私も彼を愛しています」 祈りましょう。 父なる神様、独り子イエス・キリストを賜わり、私たちここに集まっている一人一人のために 死んで下さいましたことを、また、世界のすべての人のために死んで下さいましたことを信じて感謝します。どうか私たちもその愛によって救われ、世界の人々も本当に兄弟になって和解され、 共に主に仕えることができますように、本当の平和をつくることができますよう導いて下さい。 この教会がますますこの場所で主のかけ橋になれますように強めて導いて下さい。まだ、イエス を信じていない人、一人でもいらっしゃるなら、その人に特別に主の愛と恵みがありますように導いて下さい。この足りない感謝と願いを、愛する主イエス・キリストの御名によって、み前に おささげします。アーメン (一九九二年六月十四日大師新生教会にて)

    (2025.6.28)

  30. 「NEXUS 情報の人類史 上 人間のネットワーク A Brief History of Information Network from the Stone Age to AI」ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)著 柴田裕之訳 河出書房新社(ISBN978-4-309-22943-0, 2025.3.30 初版発行)
    出版社情報・目次。「NEXUS は、つながり、結びつき、絆、中心、中枢などの意」と訳注にある。まだ上が読み終わったところなので、全体としては、評価できないが、AI 人工知能に関する評価、懸念などを、情報という切り口で書いている本のようである。「情報」から読み解くのは興味深いが、著者は、正しさを中心に据えていること、また、人間の認知範囲についての議論がないことなど、考える基盤がわたしとは、異なっていることを感じる。途中で、独裁と民主主義について考察する箇所があるが、独裁は、ある程度定義できても、民主主義については、定義しないで議論しているようで、例示はいくつもあるが、単に、民主主義を、独裁ではないものとしてしか、捉えられていないようで、これについても不満が残る。おそらく、人工知能について、書きたいことがあるのだろうから、下巻を読んでから、また考えてみたい。著者は、YouTube などでも、語っているが、聞き手が十分本書を理解しているようには見えず、前提などを問わずに質問しているようには見える。単に有名な著者といった印象で、もう少し、正面から議論しないと明らかにならないことが多いように思う。以下は備忘録: (2025.7.1)

  31. 「Q資料注解」D.ツェラー著 今井誠二訳 教文館(ISBN4-7642-8057-4, 2000.4.10 初版発行)
    出版社情報・目次。Kommentar zur Logienquvelle von Dieter Zeller (1984) の翻訳である。カトリックの研究者の著作であるが、備忘録にある編集者による序文にもあるように、研究者だけでなく、一般の信徒も読者に想定されており、ていねいに平易に書かれている。ただ、聖書などの引用が章節だけで、確認しながら読まないと理解できないのは、すこし残念である。最後の書かれている、Q 資料から見える、まとめた人たちの背景のようなことは、興味深い。「地上のイエスの活動についてはほとんど何も報告していない。」「受難物語を含んでいない」ことである。本書では、Q 共同体ということばが、使われているが、その人達が、特に重要視したこと、または、その人達の希望のもとでのみ言葉の受け取り方などが、透けてみえるようで、興味深い。それぞれの箇所について、丁寧に、もう一度学びながら、確認していきたいと思う。以下は備忘録。 (2025.7.9)

  32. 「平和と和解の継承 関田寛雄先生・雨宮剛先生追悼記念集」「英連邦戦没捕虜追悼礼拝」実行委員会 [編] 「英連邦戦没捕虜追悼礼拝」実行委員会 [発行]
    私も、過去に数回、保土ヶ谷の英連邦墓地で、8月第一土曜日に行われている「英連邦戦没捕虜追悼礼拝」に出席したことがあり、本書は、この中にも一文を寄稿しておられる方からいただいた。英連邦戦没者追悼礼拝は、雨宮剛(1934年10月6日-2023年1月12日)、永瀬隆(1918年2月20日-2011年6月21日)、斎藤和明(1935年3月31日 - 2008年6月21日)三氏が呼びかけ人代表となって始まり、第一回目(1995年)から関田寛雄氏(1928年8月18日 - 2022年12月14日)が追悼メッセージを語られていた礼拝である。斎藤和明氏起草による「英連邦戦没者追悼礼拝の趣旨」という趣旨文が掲載されている。(p.12)全てかどうかは確認していないが、ほとんどが、第二次世界大戦中に捕虜となった英連邦の兵で日本でなくなった方の墓であり、その中には、泰緬鉄道(タイとミャンマーの国境の鉄道)建設のための強制労働をさせられ、さらに、日本に連行され死亡した人たちも含まれる。英連邦とあり、インド兵なども含まれる。参考(英連邦戦没捕虜追悼礼拝 POW Memorial Service)・POW研究会:英連邦戦死者墓地。「はじめに」には、関連する、カウラ事件 [参考:カウラは忘れない]、バターン死の行軍 [参考:バタアン半島敵軍降伏]、泰緬鉄道 [参考:俘虜数万を虐殺泰緬鉄道の悲劇-東京裁判] についての注が付属している。(趣旨文参照。参考につけたものはネット上で見つけたもの)単に、正しさでのみ考えると、日本だけでなく、英連邦も東南アジアを植民地とし、現地の人たちに対する残虐行為は多くあり、人間として扱っていなかった点については、共通点もあると思われる。また、実際泰緬鉄道の工事などで死んでいった現地の人の数は、膨大な数になっており、現地の方々への謝罪行為のほうがさらに重要に思われる。しかし、日本軍の英連邦捕虜に対する残虐行為は、斎藤和明氏が訳した、「クワイ河収容所」 (ちくま学芸文庫 コ 5-1) にも詳しく、そこで、通訳をしていた永瀬隆氏が現地を訪ねて、贖罪の働きをはじめたことが起源であり、実際多くの英連邦の人たちがこの残虐行為のゆえに、日本人を赦せないと現在にいたるまで考えている人が多くいることからすると、まさに、このような謝罪の行為、そのことを覚える礼拝は、今後も永遠に続けられるべきことだと思う。関田寛雄先生・雨宮剛先生というお二人の青山学院大学の先生方の働きが、多くの方々にこのバトンを引き継いでおられることが本書から伝わってくる。以下は備忘録: (2025.7.12)

  33. 「世界の壁・移民・紛争の全記録 国境アトラス」デルフィヌ・パパン、ブルーノ・テルトレ共著、グゼマルタン・ラボルド 地図 岩田佳代子、エラリー・ジャンクリストフ訳、井田仁康日本語監修 日経ナショナル・ジオグラフィック(ISBN978-4-86313-642-7, 2025.3.24 第1版第1刷)
    出版社情報・目次。興味深い本である。フランスのル・モンド紙が背景にあり、L'ATLAS DES FRONTIERES, MURS, MIGRATION, CONFLICTS という書名で出版され翻訳されたものである。最近の出版で、ウクライナや、ガザの問題や、コロナによる国境の閉鎖などにも詳しく言及されている。このような情報は、ネット上で確認でき、変化をうけて、情報が追加されていくべきだと思うが、ここまでのレベルの情報が、どこかに公開されているのか私は知らない。印象としては、国際問題を、あまく考えてはいけないこと。歴史もあり、国境の背後には、西洋の価値観と政治や歴史もあることなど、国家というものをどう考え、そこに住む人をどう考えるか、States(国家)、Countries(土地としての国)、Nations(民族・人の集合体)を一つの基準で考えられるのか、平和裏に、国境が画定することは、良いこととも言えるが、ヨーロッパのシェンゲン同盟国、ヨーロッパ共同体、アフリカ連合、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)など、様々な広がりのなかで、国境によらない、大きな枠組みが、帝国主義とは別に発展するとよいとも思うが、そのボーダーは、新たなさらに難しい問題も作り出すことを考えると、本当に難しいということが分かるとしか言えない。アメリカ、ロシア、中国、トルコなどの大国、これに、インドも加わるかもしれないが、これらの動向は、やはり無視できず、平和な状態に行き着くのは、難しいようにも見えてしまう。少しずつ丁寧に学んでいきたい。以下は備忘録。 (2025.7.24)

  34. 「ユダヤ人の起源 歴史はどのように創作されたのか The Invention of the Jewish People」シェロモー・サンド(Shlomo Sand)著 高橋武智監訳 佐々木康之・木村高子訳 ちくま学芸文庫(ISBN978-4-480-09799-6, 2017.7.10 第一刷発行)
    出版社情報・目次。正直、すばらしい本である。個人的には、このようなものを読みたかったと思えるような本である。それは、ここに書かれていることを全面的に正しいとする訳では無いが、ここに書かれていることこそが、学問的に検討してほしいと望んでいたという意味である。最初の、「移住した二人の祖父」からはじめ、著者の出自から書かれているのも示唆的で素晴らしい。シオニズムの背景として、ヨーロッパで大きな流れとなっていた、ダウイニズム、優生学がどのように関係してきたか、そして、ユダヤ民族において、ヨーロッパ中心主義がどのように、埋め込まれていったかについても、書かれている。アシュケナージ(ヘブライ語でドイツを意味する)と呼ばれる、主としてイディッシュ語を話す東ヨーロッパに定住した人々、またはその子孫と、セファルディ(セファルディームともいう)と呼ばれる、スペインやポルトガルに移住したラディノ語を話すユダヤ教徒、また、アラブ世界のユダヤ人などについての、検証もされている。1950 ユネスコ憲章 [Link, 日本語リンク] の背後にある、差別を排除する思想とは、食い違うイスラエル国家の問題性についても述べられている。第二章と第五章に書かれている、著者と文献について、リストのみ追記する。 第二章「神話=史」ーはじめに、神がその民を創った 1. フラウイス・ヨセフス(p.140) 2. ジャック・バナージュ(p.153)『イエス・キリストから現代までのユダヤ人の宗教の歴史』 3. イーザーク・マルクス・ヨースト(p.154)『マカバイ家から現代にいたるイスラエル教徒の歴史』(p.154)(『イスラエル教徒の歴史 p.164) 4. レオポルト・ツンツ(p.158) 5. ハインリヒ・グレーツ(p.164)『古代から現在までのユダヤ人の歴史』 『ユダヤ人の通俗的な歴史』(p.195) 6. モーゼス・ヘス(p.175)『ローマとエルサレム』 7. ハインリヒ・フォン・トライチュケ p.182 『わが国のユダヤ人について一言』  8. エルンスト・ルナン(p.195)『イスラエルの民の歴史』 9. シモン・ドゥブノフ(p.195)『世界=民族の歴史』(p.457) 10. ゼエーブ・ヤベツ 『イスラエルの史書』(p.208) 11. サロー・ヴィットマイエル・バロン 『イスラエル史』(p.209) 12. ユリウス・ヴェルハウゼン(p.222) 13. イツハク・ベーア(p.216)『追放 最初のパレスチナ人=シオニスト』(p.223) 14. ベンツィオン・ディヌール(p.221)(p.223) 『イスラエル史 追放下のイスラエル』 15. ダヴィド・ベングリオン(p.228) 16. モシェ・ダヤン(p.235)『聖書と共に生きる』 17. イーガル・ヤディン(p.238) 18. ウィリアム・F・オルブライト(p.238)『パレスチナの考古学』 第五章 区別 1. ナタン・ビルンバウム(p.504) 2. テオドール・ヘルツル(p.506) 3. マックス・ノルダウ(p.507)メイール・シムチハ・ジュードフェルト 『南の野原』 4. ブーバー(p.510)バル・コホバ・サークルの始祖 5. ウラジミール・ゼエーヴ・ジャボティンスキー(p.511) 6. アルトゥール・ルビン(p.514)『ユダヤ人の社会学』(p.517) 7. ラファエル・ファルク(p.521)『シオニズムと生物学的ユダヤ人』 8. カール・カウツキー(p.526)『ユダヤ人共同体と人種』 ユダヤ人は一つの人種か 9. フランツ・ボアズ(p.530)『原始人の精神』 10. モーリス・フィシュバーグ(p.530)『ユダヤ人その人種と環境』 11. アーサー・ムーラント(p.534)『ユダヤ人の遺伝学』 12. アリエラ・オッペンハイム(p.537)
    Medieval Kingdom of Khazaria, 652-969 についてのサイト。Kevin A.the Jews of Khazaria。以下は備忘録。 (2025.8.7)

  35. 「なぜ「同意に基づく武力行使」が正当化されるのか〜理論と実行からの探究」村角愛佳著 京都大学出版会(ISBN978-4-400-11908-1, 2022.3.25 第一版第一刷発行)
    出版社情報・目次。著者を我が家にお泊めしたときに献本としていただいた。すぐ序章を読んだが、むずかしすぎて、しばらくして時間ができてから、最初から読んだ。国際法の知識などがほとんどなかったので、AI で、基本的なことを学んでから読んだので、ある程度問いをもち、能動的に読むことができた。終章には、理論と実践とあり、表題には、理論と実行とあるが、国際法の立場からの、実際の事例に対する評価と適用ということなのだろう。立法の精神と、司法のよる適用ということだろうか。本書では、国際法における人間的視座ということばも使って、議論されているが、もっと根本的な問題が気になった。あまりに理解が浅い段階ではあるが、いずれ著者に伺ってみたい。第2章III.武力行使禁止原則の二元的理解の基礎は、重要だと思われるが、日本人の引用が多くなるのが気になった。基本的な国際憲章など。「国連憲章第2条4項 すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」(p.18)「国家責任条文20条 他の国の特定の行為に対する国有効な同意は、その行為が当該同意の範囲内にある限り、同意を与える国との関係でその行為の違法性そ阻却する。」(p.36)「第29条(同意)1. ある国家に対し他の国家の有する義務に一致しない、後者の国家による特定の行為に依然として止まる限りにおいて、前者の国家が有効に与えた同意は、当該行為がこのような同意の範囲内に依然としてとどまる限りにおいて、前者の国家との関係で、当該行為の違法性を阻却する。2. 第1項は、当該義務が一般国際法の強行規範より生ずるものである場合には、適用あされない。この条文草案の適用上、一般国際法の強行規範とは、いかなる逸脱をもゆるされない規範として、また後に成立する同一の性質を有する一般国際法の規範によってのみ変更することのできる規範として、国により構成されている国際社会全体が受け入れ、かつ認める規範をいう。(第1読で採択された草案)」(p.38)「憲章第53条1項 いかなる強制行動も、安保理の許可がなければ、地域的取極に基づいてまたは地域的国際機関によってとられてはならない。」(p.203)以下は備忘録。 (2025.8.14)

  36. 「語り伝えるアジア・太平洋戦争 第1巻 開戦への道のり」文・監修 吉田裕 新日本出版社(ISBN978-4-406-055020-8, 2011.12.25 初版)
    出版社情報・目次。全5巻の第1巻である。第2巻は、早乙女勝元が書いているが、それ以外は、吉田裕氏の監修である。わたしの一学年下で、東京教育大学文学部が廃校になる最後の年の学生だったようだ。たくさん著書のある、歴史学者である。アジア・太平洋戦争についての全体像を把握するために、借りた。小学生用と思われるが、写真などの資料は細かく、小学生だけで理解するのは少し難しいように思う。資料もしっかりしており、良い資料だと思う。第1巻は、柳条湖事件から、満州国の建国、満州事変から、その後の、日中戦争のことが書かれている。柳条湖事件は、陸軍の暴走と言われているが、この事態に至り、かつ、そのあと路線変更できなかったことを考えると、問題の根幹は、この時期より前にあるのだろう。細かいことで、整理できたことはたくさんあるが、いずれ、もう少し深くまなぼうとおもうので、ここでは、あとがきの部分を抜書きする。年代的にも、わたしと近く、わたしの感覚と非常に近いものがある。「みなさんの家庭や学校には、戦争を体験した人は、もうほとんどいないと思います。2008年10月の人口で見てみると、1945年8月15日以降に生まれた人が、全人口の75.5%にも達しているからです。わたし自身は、1954年生まれですから、戦争を直接体験した世代ではありません。ただそれでも、両親はもちろん、小学校時代の先生もすべて戦争体験世代でした。戦争の話を直接聞くこともできましたし、彼らを通じて戦争の時代の空気のようなものを、少しは肌で感じたこともあったように思います。そうした時代がおわろうとしている今、わたしたちに求められているのは、直接には体験していない戦争に対する想像力です。そして、わたしたちとは直接には関わりのない遠い国で、今もおこっている戦争に対する想像力です。その想像力をとぎすますためには、やはり歴史から学ばなければならないでしょう。この本が、そのために少しでも役に立つことができれば、著者として、これ以上の喜びはありません。」以下は備忘録。 (2025.8.14)

  37. 「語り伝える東京大空襲 第2巻 ビジュアルブック はじめて米軍機が頭上に」早乙女勝元/監修 新日本出版社(ISBN978-4-406-05419-5, 2011.1.30 第一版)
    出版社情報・目次。誤って違うシリーズの第二巻を借りてしまった。アジア・太平洋戦争の関するビジュアルブックを読みたいが、これも学ぶことはあった。1942年(昭和17)4月18日のお昼過ぎ(12時15分)、米軍の中型爆撃機B25によるはじめての東京への空襲から書かれている。死傷者346人(そのうち死者39人)、焼失破損家屋251戸とのこと。機銃掃射に殺された葛飾の少年の記録も書かれている。最後に東京にある平和を考える博物館のリストがついている。東京都江戸東京博物館すみだ郷土文化資料館豊島区郷土資料館八王子郷土資料館(閉館)・東大和市立郷土博物館福生市郷土資料室昭和のくらし博物館町田市立自由民権資料館。以下は備忘録。 (2025.8.14)

  38. 「語り伝えるアジア・太平洋戦争 第2巻 アジア・太平洋戦争の開戦」文・監修 吉田裕 新日本出版社(ISBN978-4-406-055021-5, 2012.1.30 初版)
    出版社情報・目次。第二巻は、日米交渉と開戦決定から始まる。日本の対米英宣戦布告についても、戦争をはじめる天皇の言葉(詔書)として実物の写真が含まれている。以下は備忘録。 (2025.8.15)

  39. 「語り伝えるアジア・太平洋戦争 第3巻 戦時下、銃後の国民生活」文・監修 吉田裕 新日本出版社(ISBN978-4-406-055022-2, 2012.1.30 初版)
    出版社情報・目次。第3巻、ホームページは、サブタイトルに「熱狂と統制、総力戦の実態」とある。以下は備忘録。 (2025.8.15)

  40. 「語り伝えるアジア・太平洋戦争 第4巻 空襲、疎開、日本の敗戦」文・監修 吉田裕 新日本出版社(ISBN978-4-406-055023-9, 2012.2.25 初版)
    出版社情報・目次終戦の詔書も実物の写真が含まれている。参考:終戦の日(8月15日)に読みたい 玉音放送(終戦の詔書)の原文と現代語訳。以下は備忘録。 (2025.8.15)

  41. 「語り伝えるアジア・太平洋戦争 第5巻 おわらない戦後と平和への道」文・監修 吉田裕 新日本出版社(ISBN978-4-406-055024-6, 2012.3.25 初版)
    出版社情報・目次。「あとがき」は、わたしが、高校生のときから考えていた問で、このように素直に書ける著者は素晴らしいと思った。「一人娘が中学生だったころ『なぜ、日本と中国はなかがわるいの?』と聞かれて、戦争の時代の歴史を説明したことがあります。それに対する彼女の反応は『でもわたしたちが戦争をしたわけではないのだから、わたしたちに責任はないでしょう?』というものでした。日本史の専門家であるはずのわたしは、その疑問に正面からこたえることができず、しどろもどろの説明をしたことを、おぼえています。この本の読者であるあなたたちは、歴史の専門家ではありません。それでも、あなたたちが感じる素朴な疑問は、歴史を考えるうえで、とても重要な問題につながっていることが多いのです。ですから、毎日の生活の中で感じる、『なぜ?』、『どうして?』という疑問を、そのままにせず、先生にぶつけてみたり、自分で調べてみたりしてください。時代にながされない自分自身の足場をかためるためにも、『歴史とむきあう』という姿勢を大切にしてほしいと思います。」以下、備忘録。 (2025.8.18)

  42. 「アジア・太平洋戦争 シリーズ日本近現代史⑥」吉田裕著 岩波新書 1047(ISBN978-4-00-431047-1, 2007.8.21 第一刷発行)
    出版社情報紀伊国屋書店・目次情報。著者は、わたしのひとつ下、同じ年代に属する、一橋大学名誉教授で、この分野の中心的研究者といってもよいと思われる方である。本書は、アジア・太平洋戦争に関しては、まとまっている新書である。ただし、最初に書かれているように、ここでは、一部集計は、満州事変あたりからを想定している部分もあるが、基本的に、アジア・太平洋戦争を、満州事変からではなく、1941年12月から1945年9月としている。著者自身も最後に、「本書の執筆を終えた今の私の中には、果たすべき責務を自分なりに果たしたという満足感(自己満足感?)がある。」と書いている。それだけ、さまざまなものが詰め込まれている。戦後社会とのつながりについても述べていることも興味深い。しかし、参考文献を見ると、基本的には、すべて日本のもののようである。アメリカ公文書館の公開資料なども、調べてみたい。また、この方などの、他の本も少しずつ読んでいきたい。そして、できれば、著者と会って話すことができればとも願っている。同じ問を追いかけつつ、全く異なる道を歩んできたとも思うからである。以下は備忘録。 (2025.8.29)

  43. 「BC級戦犯裁判」林博史著 岩波新書952(ISBN4-00-430952-2, 2005.6.21 第一刷発行)
    出版社情報紀伊国屋書店・目次情報。素晴らしい本である。下にも引用しているように、著者がマレー半島などに行き、被害者の声を聞き取っている体験が大きいと思う。わたしが、高校生のときから、感じてきた感覚と非常に近いものを感じることができた。中華人民共和国における裁判の際に、「認罪学習」がおこなわれたことも書かれているが、私はそのビデオでの証言もみており、様々な意図も背景にあったかもしれないが、必要不可欠なステップだと思う。フィリピンや、スガモプリズンでもあったように、ある程度の戦犯が、公平かつ冷静に自分の過ちを見つめている。一兵卒として上官の命令に従って行った場合であったとしても、自分がしたことを、被害者目線から見直さなければ、本当の改悛には、達することができないことも、よく分かる。本書を批判するひともいるのだろうが、学者として、非常に公平な多角的な視点から、検証されており、好感を持った。表も多く、資料としての価値も高い。正直にいうと、このようなものが、ネットでより多くの人に読まれ、中学・高校などでの学習に用いられ、AIが利用するデータにも含まれることが望ましいと思う。以下は備忘録。 (2025.9.6)

  44. 「写真でつづる『敬和学園大学 15年のあゆみ』」敬和学園大学 2005年10月
    出版元情報・目次。新潟市の、生涯活動センター図書館の地域のコーナーで読んだ。敬和学園大学十五周年に合わせて、当時の学長の、新井明氏の発案からできたもの。それまでの写真はたくさん残っていたが、整理が十分されておらず、保存状態もまちまちだったものが整理されたとあり、本書に含まれていないものの記録も、よいものができたのではないかと思われる。
    (2025.9.13)

  45. 「敬和学園創立15周年記念講演会 あなたは戦争を知っているか - イメージが語る忘却された過去 戦争の真実を知るために- 」若桑みどり著 敬和学園大学人文社会科学研究所 2006年4月1日発行
    新潟市の、生涯活動センター図書館の地域のコーナーで読んだ。2015年11月12日14時から16時半におこなわれた講演の内容をまとめたもの。画像を多く含む。「1億人の昭和史 不許可写真史」・映画「ハワイ・マレー沖海戦」映画「南京一九三七月」ジョン・ウー監督作品・映画「ナヌムの家」など、見てみたいと思うものがいくつもあった。 (2025.9.13)

  46. 「日本の軍隊 ー兵士たちの近代史ー」吉田裕著 岩波新書816(ISBN4-00-430816-X, 2002.12.20 第一刷発行)
    出版社情報・目次情報。表紙裏にあるように「一八七三年の徴兵令制定以来、文明開化の推進力となり、 全国に近代秩序を浸透させる役割を果たした日本の軍隊。それが、十五年戦争期のような反近代的で精神主義的な軍隊になってしまったのは、なぜか。日本の民衆にとって、 軍隊経験とは、どんな意味があったのか。豊富な史料をもとに「天皇の軍隊」の内実を解明する。」良書である。背景に近代化があり、軍隊が、近代化を推し進めていった面と、日露戦争後、独自の、軍の規律を求めていく中で、反近代的な精神主義的軍隊になったという著者の考察が丁寧に書かれている。戦争を戦った人々、それも、さまざまなグループに分かれるが、そのひとたちに、少しは思いを致すことができるようになったと思う。戦争についての学びは、果てしなく、かつ、現代日本の問題にもつながる、重要なものであるとも感じた。最初の方には、髷(まげ)・衣服・靴・米食・それによっておこる満州などでの脚気克服・肉食・椅子・ベッドの生活などなど、生活様式の近代化が、軍隊を通して、広がっていったことから説き起こしている。以下は備忘録。 (2025.9.16)

  47. 「戦争の日本史23 アジア・太平洋戦争」吉田裕・森茂樹 共著 吉川弘文館(ISBN978-4-642-06333-3, 2007.8.1 第一刷発行)
    出版社情報・目次。目次:日本人の戦争認識―プロローグ/Ⅰ=アジア・太平洋戦争の開幕(アジア・太平洋戦争を俯瞰する/開戦決定と日本の戦争指導体制/交渉打ち切りと開戦にともなう混乱)/Ⅱ=日本軍の特質(開戦時の日本の戦力/陸軍の作戦思想/海軍の作戦思想/軍事官僚機構の特質)以下細目略/Ⅲ=緒戦の勝利と蹉跌/Ⅳ=戦局の転換/Ⅴ=アジアの戦線と「大東亜共栄圏」/Ⅵ=銃後の諸相/Ⅶ=絶対国防圏の崩壊から絶望的抗戦へ/Ⅷ=降伏とその後/「記憶」の時代へ―エピローグ。執筆分担についてはあとがきに次のようにある。プロローグ・II・VI・VII・エピローグが吉田裕、I・III・IV・V・VIII が森茂樹。同名の岩波新書で、同年に出版された、吉田裕単著があるが、こちらは、戦争の推移、日本の軍および政治家の中での動きが詳細に書かれている。それが、森茂樹が執筆した部分ということになる。しかし、吉田裕執筆の部分も、おそらく意識的に、重複を避けているように見える。むろん、共通の部分もあるが。ただ、戦争の推移など、ほとんど、日本の中の資料によっており、やはりしばらく、ときがたったことを考えると、アメリカや、中国、イギリス、そして何よりも、中国の次に、多くの人が亡くなった東南アジアの人々の側からの証言・考察が必須であると感じる。どのような作戦や決定が、どのような人々に影響を及ぼしたかは、少なくとも、多くの犠牲を生んだ戦争であることを考えると、避けて通れない問題である。むろん、戦後の中国での国民党軍と共産党軍との内戦、東南アジアの各国の独立戦闘などがあり、確かな情報を得ることが困難であることはあるが、そこにエネルギーを割かなければ、理解できたことにはならないだろう。さらに、戦争責任をどう考えれば良いかも、これを読んでいては、まったくわからない。今後の研究が待たれる。軍の活動の問題点としては、74頁冒頭に「短期決戦主義、精神主義、軍近代化への関心の低さ、補給・衛生・情報千の著しい軽視。このことは、陸軍の作戦至上主義、攻勢第一主義と盾の両面の関係にあった。」と書かれているが、基本的に、戦争は、国家間の紛争であったとしても、国民をどう捉えるか、おなじ人間と見ているかという基本的な視点が、完全に欠如している点が問題である。日本では、現代まで続く視点の欠如のように見える。アメリカなどは、十分ではないものの、その視点は、ある程度あり、それをもとに、軍の近代化が築かれていることは、確かなのだろう。国家間の紛争を武力行使によって解決するという事、さらに、どの程度の犠牲が生じるかを考えることなど、根本的な問題は、いずれにしても、完全に不足しているが。以下は備忘録。 (2025.9.17)

  48. 「NEXUS 情報の人類史 下 AI革命 A Brief History of Information Network from the Stone Age to AI」ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)著 柴田裕之訳 河出書房新社(ISBN978-4-309-22943-0, 2025.3.30 初版発行)
    出版社情報・目次。以前、「NUXUS 情報の人類史 上」を読んでからしばらく経ったが、下巻を借りられたので読んだ。エピローグの最初に、なぜ、著者がこのトピックについて考え始めたかが書かれている。「AlphaGo が李世乭を打ち負かしてから数か月後、フェイスブックがミャンマーで危険な人種主義的感情を煽っていた二〇一六年後半に、私は『ホモ・デウス』を刊行した。専門的に学んだのは中世と近世の軍事史だったのにもかかわらず、そしてまた、コンピューター科学の専門的な面では何の経験もなかったにもかかわらず、その著書の刊行後、突如として、私はAIの専門家だという世評が立った。おかげで、AIに関心がある科学者や起業家や世界の指導者のオフィスのドアが開かれ、AI革命の複雑でダイナミックな動きをつぶさに調べるという、胸の躍るような特権的機会が得られた。」(p.262)正直、歴史学者である著者がAIのことを理解できているようには思えない箇所もあった。しかし、世界の同種の変化の中で、どのようなことが起こるかを予測する目は、的を得ている面が多いと感じた。実際、現在は、どのように世界が動いていくのか理解している人はいない。ある、注意点、視点を与えていることは確かなのだろう。私自身、著者が書いている視点とは、違うが、ヒントを得たことも確かである。以下は備忘録。 (2025.9.23)

  49. 「最初からそう教えてくれらばいいのに! 図解! Git&GitHubのツボとコツがゼッタイにわかる本 第2版」株式会社ストーンシステム著 秀和システム(ISBN978-4-7980-7347-7, 2024.10.04 第1版第1刷発行)
    出版社情報・目次。2018年ごろからずっと、Git&GitHub を使ってホームページを管理し、2019年ごろからは、RStudio でも、Git&GitHub を使い、デジタルブックの編集をしたり、他の先生と共同で、編集をするようなことも試したが、共同作業まではいけなかった。ときどき、merge できないようなエラーが起こり、そのたびに、危機は脱しても、十分理解できていなかったので、借りて読んでみた。基本概念に絞って書いてある、1章が知識の整理に役立ったが、技術的なことは、このレベルの本では、書けることが限られているのだろう。完全に理解しているかと言われれば、そうは言えない部分もあったが、役に立つとまでは言えなかった。基本的には、知っていることが多かったので。あとは、もう少し、詳しい Reference サイトで学ぶしかないのだろう。英語版日本語版が結局、いつもたどり着くところではある。
    (2025.9.29)

  50. 「私は貝になりたい あるBC級戦犯の叫び」加藤哲太郎著 春秋社(ISBN4-393-44161-3, 1994.10.25 初版第一刷発行、2005.8.15 新装版第一刷発行)
    紀伊国屋書店出版情報・目次最新版 出版社情報。迫力のあるすごい本である。初稿の写真からは『貝』ではなく『カキ』となっていたこともわかる。最初は「兄哲太郎とともに」加藤不二子著から始まる。次に、本人の匿名などの文章、獄中から家族に宛てた手紙、嘆願書関連、年譜、著作権に関する文書、解説となっている。父親は加藤一夫、この本の出版元である、春秋社の設立メンバーでもある。明星学園から、関東学院高等学校、そして、慶應義塾大学を卒業、中国で働き、応召。後半は、俘虜(捕虜のこと)収容所で働き、最後は、新潟の収容所所長に任ぜられ、かなりの努力をするが、脱走兵殺害の嫌疑で絞首刑判決をうけ、妹の不二子のGHQのマッカーサーに宛てた嘆願書で、再審となり、減刑、刑期もその後短くなり、1958年に釈放となる。判決後、再審となったのは、加藤哲太郎のみとのこと、周囲の人物もかなり動いたようだが、決定的なのは、妹の嘆願書と、本人の嘆願書だと思われる。本人のものは、残っていない。最後に、内海愛子さんの解説が載っているが、最初の不二子さんの文章の最後には、住所に内海宅とある。直接関係があったのだろう。スガモプリズンには、平和グループがあったようで、加藤はその中心メンバーでもあったようだ。匿名のものもあり、解説まで読まないとよくわからないものもあるが、考察の深さに驚かされる。少し長いが、不二子さんの、嘆願書も最後に引用しておいた。以下は備忘録。 (2025.10.01)

  51. 「朝鮮戦争とスガモプリズン〜BC級戦犯の平和運動」内海愛子著 雑誌『思想』1985年8月号 No.734 140頁〜159頁
    論文は通常は、この読書記録に含めないが、備忘録として記録に残す。『思想』は、杉並区中央図書館の保管庫に、いくつかまとめて製本され残されているので、それを借りてスキャンして読んだ。スガモプリズンにBC級戦犯として囚われていた人たちが、自分たちの罪を認めつつ、職業軍人の上官たちで起訴されず、または、釈放されている現状を問い、さらに、朝鮮戦争が起こる頃からは、正義のなのもとに、戦争犯罪を裁いたアメリカが、結局同様のことをしているとして、平和運動をしていった人たちについて語られている。死刑囚は別として、朝鮮戦争に使うものの作成も労働作業として強制されそれに反発して拒否した人たちもいる。捕虜に労働を強いたことを裁かれた者たちにとって、同じく戦争に加担するこのような行為は許しがたいものだったのだろう。スガモプリズンという隔離された場にいる囚人として、平和について考えた貴重な記録でもある。同時に、他国の脅威のもとでの自衛までは、語られていないようにも見える。
    (2025.10.03)

  52. 「スガモプリズン --- 占領下の『異空間』」内海愛子著 岩波新書2077(ISBN978-4-00-432077−7, 2025.8.20 第一刷発行)
    出版社情報・目次。内海愛子さんの最新刊である。もう少し早く読んでいたら、講演会などにも参加できたかもしれない。いつかお会いできれば嬉しい。長く、BC級戦犯、特に、朝鮮人戦犯のことを書いておられる。歴史社会学だろうか、社会学的な視点が強いように思う。実際の戦犯の様子が少しずつ浮かび上がってくるようで、考えることは多い。むろん、これだけで、わかったと言ったら非常に失礼だろうが。少し短いようにも思うが、簡潔にまとまっているともいえる。以下は備忘録。 (2025.10.07)

  53. 「朝鮮人BC級戦犯の記録」内海愛子著 岩波現代文庫/学術329、岩波書店(ISBN978-4-00-600329-6, 2015.7.16 第一刷発行)
    出版社情報紀伊国屋書店・目次情報。構成もふくめて非常に良く書かれていると思う。やっと、本質的な問題がよく現れているところに行き着いたように感じる。しかし、それは、アジア・太平洋戦争について、何冊か読み、学んできたからそう感じるのかもしれない。この一冊だけを読んで、理解するのは難しいかもしれない。そうであっても、本書からいくつかの重要な問かけをそれぞれの読者が得るのではないだろうか。下の引用にも、著者がどのようにしてこの問題と出会ったかが書かれている。わたしには、わたしの背景があるわけだが、何もしないでいて、ここで問われている問題と出会うことができるわけではないのかもしれない。国家間、国家と個人、個人同士の問題がある。そのなかで、自分の責任を回避しようとしたり、安全なところに置こうとすることが、常にあるのだろう。それぞれの視点を一つ一つ丁寧に見ながら、自分の責任について、問わなければいけないのだろう。戦争責任についても、いくつもの視点が与えられたと思う。著者は「戦争とは、人を殺し貶めることだ」(xii) と書いているが、戦争とは、国家の大事という文脈で、個人の尊厳を貶めるということなのだろう。個人の尊厳を貶めていることは、あらゆるところで見られ、第一に考えることは、まったくされていないようにみえるということだろうか。 以下は備忘録。 (2025.10.16)

  54. 「おはなしチャイルド 第20号 ハンメルンのふえふき ドイツのむかしばなし」伊藤悌夫絵 チャイルド本社(昭和51年10月25日印刷/昭和51年11月1日発行)
    両親の家を片付けていて、東京池袋教会付属すみれ幼稚園時代の本がとってあった。話は何回か読んだことがあった。お話の最後は次のようになっている。「コッペンベルグの やまの なかへ きえていった こどもたちは、それから どうなったか それは だれにも わかりません。むかしむかしードイツのハンメルンというまちに おこった これは ほんとうの おはなしです。」最後の頁には「ハンメルンの まちから とおく はなれた トランスシルバニアという ところに、ふしぎな はなしが つたわって います。その まちの ひとたちは、ずっと ずっと むかし、まっくらな じめんの そこを くぐって、はるか とおい くにから やっってきたと いうのです。」また、その前の頁に、出版社によると思われる「“ハンメルンの笛吹”について」という文章が含まれている。それを記す。「■このお話は、もともとグリム兄弟の伝説集に納められたのが最初で、後にイギリスの詩人ブラウニングが少年少女のための物語詩にしたり、ラングが『世界童話集』に入れたことで世界中に広められました。私達が子どもの頃読んだのはどれであったのか、このお話のなかに、幻想的なメルヘンとは違った何かしら不気味なものを感じた記憶を、みなおもちではないでしょうか。13世紀にドイツのハンメルンという町で実際に起きた、笛吹き男と130人の子どもの失踪事件が伝説化したことを知れば、まったくのフィクションとは考えられない迫力と伝説のもつ不可思議な魅力もうなずけます。■この奇蹟ともいえる失踪事件のあらましは、中世資料にも歴史的な事実として記録されていますし、またハンメルン最古の教会のガラス絵にも描かれていたそうです。こうした記録がひとつの事実を伝えている反面、どうして子ども達がいなくなったのかということ、子どもたちは果たしてどこへいってしまったのか、このふたつの問題に関しては謎のままなのが興味深く思われます。その謎の部分が、想像性豊かな詩人たちの手で幻想的な物語に書きかえられていき、事実と想像がおりなすもうひとつの世界が、私達の感動を呼ぶのではないでしょうか。■絵本化にあたっては、ブラウニングの詩『ハンメルンの笛吹き』(訳/野上彰)を中心にしましたが、伊藤先生の絵本画の魅力はむろん、一枚一枚のタブローとしての真の絵画の味わいを活かすために、その他数篇のお話をもとに多少のアレンジをしました。また内容面からも、おもしろいと思われる部分を挿入するなどの構成方法を取りました。このお話の真の魅力をそこなわないようにこころがけたつもりです。■伊藤先生が本格的な油絵で取り組んでくださったことは何よりでした。一画面ごとに先生の絵が語りかけてくれるものは、幼児にわかるかわからないという問題をこえた、絵画のもつ本当の感銘ではないでしょうか。じっくり味あわせてください。■さて、このお話を読んだあと、幼児はどんなことを考えるでしょうか。謎を秘めた笛吹き男のこと、不思議な笛のこと、幼児の想像力は大きな羽を広げることでしょう。伊藤先生との話し合いでも、この笛吹き男の風貌が一番話題となりました。その結果生まれたのがご覧の通りの笛吹きです。幼児はこの姿から笛吹き男の正体を、いったいどんなふうに想像するのでしょうか。また、お話の結末も、ここではブラウニングの詩に従いましたが、幼児はここに止まらず、この先をさまざまに思い浮かべるでしょう。ひとりひとりの意見を大切にしながら、ゆっくり話し合ってみてはいかがでしょうか。なお、この物語は、いろいろな題名がつけられていますが、ここでは前述の野上彰訳のものに依りました。」
    (2025.10.25)

  55. 「AI共創シリーズ Easy Prompts for ChatGPT かんたん プロンプト ChatGPT を便利ツールから共創パートナーに変える技術」AI共創イノベーション主宰 佐藤源彦著 芸術新聞社(ISBN978-4-87586-732-6, 2025.7.30 初版第1刷発行)
    出版社情報・目次。最後の頁に YouTube AI共創イノベーションへのリンクが有り、また、購読者特典 ウェブサイトの案内があり、パスワードで様々な情報にアクセスできるようになっている。生成AI について、和書を読むのはこれがはじめてである。最後に特別付録として「プロンプト集」がついており、日本語での講演を準備していることもあり、図書館で借りて読んだ。通常、Prompt Engineering と呼ばれる、プロンプトの書き方についての基本編、設計編、実践編と三部にわけて解説している。対応する英語も知りたいと思ったが、それは、経験しながら確かめていくのが良いのだろう。三段落程度に分けて指示すること、分岐は5つぐらいが適切、深さは3段階ぐらいが適切など、実用的なアドバイスも多い。ただ理論やChatGPTでしていることまで掘り下げて解説されているわけではないので、実際には、自分で慣れていかなければいけないように思う。Best practices for prompt engineering with the OpenAI APIからの引用などもあり、YouTube などの解説では、十分、背後にあるAIの原理を理解できていないと思われるものが多いが、本書は、それなりに理解されているように見える。ただ、日本語と英語の対応は気になる。本当に、このように日本語でも正確な動作が得られるのであろうか。Open AI の Help は日本語でも公開されているので、丁寧に読んでみたい。
    (2025.10.27)

  56. 「六つの童話選」アンデルセン著 大畑末吉訳 挿絵:オリジナル・イラストレーション Hans Reitzel 出版 ウィルヘルム・ピーターセン 挿し絵 Hans Christian Andersen: Six Fairy Tales, Translated into Japanese by Suekichi Ohata(ISBN978-4-400-11908-1, 2022.3.25 第一版第一刷発行)
    Amazon 情報・目次。本書も両親の家を片付けていて見つけた本である。マッチ売の少女(The Little Match-Seller)、皇帝の新しい着物(The Emperor's New Clothes)、おやゆび姫(Thumbelina)、モミの木(The Fir Tree)、空とぶトランク(The Flying Trunk)、とうさんのすることはいつもよし(Dad's Always Right)の六つの童話が含まれている。マッチ売の少女と、皇帝の新しい着物(はだかの王様)は、ほぼわたしが知っている物語だったが、他は、はじめて読むものだった。童話とは、子供向けということだろうが、こどもは、どのように受け取るのだろうか。どれも、おとな向けの物語のようにみえる。以下は備忘録。
    (2025.10.28)

  57. 「希望の旅 大宮溥・チエ子説教集」教文館(ISBN4-7642-6532-X, 1997.2.10 初版発行)
    出版社情報・目次。お二人は、阿佐ヶ谷教会名誉牧師、大宮溥さんは、敬和学園の6代目理事長を2011年から2015年まで努めておられることもあり、チエ子さんの葬儀の連絡が来て、阿佐ヶ谷教会で、(ご自由にお持ちくださいということで)この本を頂いた。前半は、27の大宮溥さんの教会暦に合わせた説教を書き起こしたもの、後半は、5つ、大宮チエ子さんの説教が含まれている。こちらは、本人の原稿とのことである。それぞれに特色があるが、大宮溥さんのものは、学識も高く、特に立派なものだと感じた。以下は備忘録。 (2025.11.14)

  58. 「戦後六十年【私たちの経験したこと そして、今、思うこと】」交わりの会だより 百号記念特集 復刻版:2011年8月発行 東京池袋教会
    わたしの母教会のもので、母の遺品を整理していて、みつけ、殆ど全員を知っていることもあり、読んだ。わたしは、大学院に行くときにこの教会を離れたが、このような話はおひとりお一人から聞いたことはなかった。よい、記録だと思う。一人の視点ではあるが、それをあとから、見直している記述もあった。目次だけ記す。十五歳の八月十五日(工藤玲子)・我、谷の底をあゆんだが(林衛)・父を憶う(鈴木和子)・戦時下のクリスチャン(中野博能)・戦争中の思い出(上村巳代子)・敗戦日誌(高橋百合子)・学童集団疎開の始末記(藤原位憲)・戦争中の思い出二つ(武田清子)・広島回顧(石川昌次)・「無言館」への旅(藤原秀)・疎開地・松代のこと(益田公子)
    (2025.11.14)

  59. 「養育家庭(里親)体験発表会(令和6年度)」東京都福祉局子供・子育て支援部(令和7年(2025年)9月発行)
    [PDF版] 児童養護施設に関わっていることもあり、里親に関心があり、事情が許せば里親にもなりたかったと思っていたが、おそらく、もうそれは、できない。しかし、何らかの形で、様々な事情で親と暮らすことのできない子供(都内に4000人)と関わることができればと願っている。図書館で、その案内があったので、二冊冊子をもらって来た。その一冊がこれである。光ケーブルが鼠に齧られて不通となっていたときに、コンピュータを使った作業ができなかったので、一気に読んだ。たくさんの苦労もあるが、感動の体験記である。リンクをつけた PDFから読めるが、巻末には、Q&A アンケート結果がついている。14人の体験記がのっており、その中には、里子一人と、委託児童一人の体験記も掲載されている。預かった時が0歳だと思って、すこしずつ関係を気づいていくというのは、こころに残った。日本では、なかなか広がらない、里親・里子制度、海外では、友人もふくめて、普通にたくさんいたので、この制度が、広がりを持っていくことを願う。
    (2025.11.14)

  60. 「養育家庭(里親)体験発表会(令和2年度)」東京都福祉局子供・子育て支援部(令和3年(2021年)9月発行)
    [PDF版] 令和6年度版と、令和2年度版のみ、図書館にあったので、印刷媒体のものを手にした。他に、2014年からの体験発表会記録がある。[リンク]。東京都の里親制度全体については [リンク] を参照。令和2年度版は、最初に里子養育体験記〜太郎君と私の家族のお話〜という漫画(作:奥山一郎、イラスト:AiLeeN)がついていた。漫画をふくめて、全部で13件、元里子が2,それ以外に、里親の実子が1あった。わたしは、特に、里子のものを読んで、目頭が熱くなってしまった。より多くのひとたちに関わっていただきたいと思う。
    (2025.11.16)

  61. 「自由(上)FREIHEIT」アンゲラ・メルケル Angela Merkel著 長谷川圭・柴田さとみ訳 KADOKAWA(ISBN978-4-04-113632-4, 2025.5.28 初版発行)
    出版社情報・目次。人気の本で、だいぶん待ってから、図書館で借りた。下巻は、上巻を借りてから、予約したので、しばらくは読めないだろう。読みやすいとは言えないし、もうすこし、注などでの、説明があったほうが良いとは思ったが、生き生きとアンゲラ自身が正直に、反省の部分も多く、そして、強く自分を表現する部分も書かれており、日本の政治家にもぜひ読んでもらいたいと思った。CDU(ドイツキリスト教民主同盟)とキリスト教という名が入っているのも、日本では馴染みあ薄いだろうが、リーダーに神学者や、科学者が多いのには驚かされる。日本で、一番政治から遠いひとだと感じるからだ。アンゲラは、牧師の娘として生まれ、共産党支配の東ドイツでは、非常に苦しい時代を過ごしている。メルケルは、最初の夫の名で、彼女は最初は、物理でスタートしているが、仕事は、量子化学のようだ。しかし、計算物理のようなことをしているように見える。科学者的な側面と、工学者的な側面と持っているのは、その学問背景にもあるように見える。いずれにしても、統一ドイツに向かう、世界史的にも、非常に特殊なとき、難しいときでもあるが、科学者から、政治家に自然に移行していることは、興味深い。党のためと言うより、すべえてのドイツ人のため、それも、世界の人たちのことを考えながら、日本の政治家とは、だいぶ異なるものを感じた。16年間、ドイツの首相を務めたが、上巻は、ドイツの首相となるまでと、その後のいくつかのエピソードが書かれている。一回では、読みきれないのかも知れない。以下は備忘録。 (2025.12.02)

  62. 「あなたもクリスチャンに ーもったいない食わず嫌いー」矢澤俊彦著 日本基督教団荘内教会(2025.4.1発行)
    日本基督教団荘内教会に11月30日に伺ったときに、三冊いただいた。矢澤牧師は、来年春で退任。出身地の長野に戻られると言う。奥様の献身的な支えによって、すごい数の冊子を出版、送付しておられる。わたしは、基本的に、いただいたものはすべて読んでいる。熱い語り口はいつも通り。これに心動かされるかたがいらっしゃることを祈る。
    (2025.12.10)

  63. 「世界の特殊部隊作戦史 1970-2011 ー Worrior elite, 31 Heoric Special-Ops Missons from the Raid on Son Tay to the Killing of Osama bin Laden」ナイジェル・カウソーン(Nigel Cawthorne)著 角敦子訳、友清仁 用語監修 原書房(ISBN978-4-562-04877-9, 2012.12.16 第一版第一刷発行)
    出版社情報。「ヴェトナム戦争から、ビンラディン襲撃まで、精鋭の戦士たちが挑んだ31のミッション。アメリカ、イギリス、イスラエルなど、世界の特殊部隊による活動と作戦をダイジェスト。日本では詳細があまり知られていない2001年以降のアフガニスタン紛争で行なわれたミッションも詳述。」と内容説明にある。ビンラディンの殺害のときに、オバマ大統領やバイデン副大統領がテレビ中継で見ていた映像がテレビに映し出されて、正直ショックだったので、平和について語る時、このような、あまり世に知られない、特殊部隊作戦についてもある程度しらないといけないと思い、手にとった。英語のタイトルにあるように、31のミッションについて書かれている。正直しらないものが多かったが、知っているものもある程度あり、失敗と言ってよいかわからないが、いろいろな犠牲をだして、あまり得るものがないことも多かったことも確認できた。目次は、備忘録としても、書いておきたい。序文 第1章 ソンタイ捕虜収容所への奇襲作戦 ・第2章 海の特殊作戦・第3章 ミュンヘン・オリンピック事件・第4章 マヤグエース号事件・第5章 エンテベ空港奇襲作戦・第6章 「イーグル・クロウ」作戦・第7章 在英イラン大使館占拠事件・第8章 行方不明者(MIA) 救出作戦・第9章 フォークランド紛争・第10章 「アージェント・フュリー」作戦・第11章 アキレラウロ号事件・第12章 「ジャスト・コーズ」作戦・第13章 ソマリア・第14章 砂漠の盾と砂漠の嵐・第15章 ブラックホーク・ダウン・第16章 カライジャンギの戦い・第17章 トラボラの戦い・第18章 アナコンダ作戦・第19章「イラクの自由」作戦・第20章 デベッカ峠の戦い・第21章 トランプの指名手配者・第22章 ジェシカ・リンチの救出・第23章 サダム・フセインの捕縛・第24章 イラクの人質救出作戦・第25章「レッド・ウィング」作戦・第26章 タスクフォース88・第27章 タリバン=アルカイダの幹部狩り・第28章 ソマリア海賊からの救出・第29章 「セレスティアル・バランス(天の配剤)」作戦・第30章 ハイチ地震・第31章 オサマ・ビンラディンの殺害・巻末 索引・用語解説。備忘録: (2025.12.20)


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