Last Update: November 28, 2017, Revised: April 30, 2026

2017年読書記録


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  1. 「『新約聖書』の誕生」加藤隆著、講談社学芸文庫 (2016.11.10, ISBN978-4-06-292401-6)
    単純に「『新約聖書』の誕生」をもう一度考えてみたいと思い手に取った。「全体の流れについてある程度の筋の通ったイメージができるように、思いきった判断をしながら記述を進めた。さらに本書では、権威の問題を中心にしながら、キリスト教運動の展開との関連において、新約聖書の成立について考えることにした」(p.337)とあるように、何を「権威」としたかを軸に書かれている。根拠資料の引用が殆どなく、著者の考えを押しつけられる感じが否めないが、「なぜすべてギリシャ語で書かれているのか」や「なぜ旧約引用が偏っているか」など問いとして持っていたことも正面から扱われていて興味深い面と、キリスト者はそうは考えないのではないかと思考の方向に違和感を持った面とがあった。個人的には、ボウカム氏の目撃証言を残そうとした面は重要だと再確認した。しかし本文の最後が「新約聖書は、新約聖書に書かれている文字によって殺されるべき面を超えて『生きる』とうことのための読書のありかたを読者に示すという機能を持っているのかもしれないのである。」(p.333)となっているのは、著者の姿勢を見る気もして、うれしかった。
    以下は備忘録: (2017.1.7)

  2. 「キリストによるマグマ爆発 - 人生、これからが本番 -」矢澤俊彦著、日本基督教団庄内教会 (2016.6.1)
    お送り頂いたので読ませていただいた。ご子息は知っている。著者には大学教会一度お会いしたことがある。1942年生まれ。長野高校から国際基督教大学に進み、東京神学大学を経て牧師となり、1977年から鶴岡の庄内教会で牧会。教会には、80人の園児を預かる保育園が併設されている。近年は、網膜色素変性症で視力を失いつつある。2015年度に5人受洗とある。活動報告もあるが非常に活発である。居心地のよい『心のレストラン』を目指しておられる。著者の誠実さと情熱と真摯さが伝わってくるエッセー集である。しかし宣教は非常に困難なのだろう。日本全国、そして、殆どの先進国では、先進国病のようなものに犯されている現状で、わたしも何を伝えていくのか、問われていると強く感じた。
    (2017.1.16)

  3. "The abolition of man, or, Reflections on education with special reference to the teaching of English in the upper forms of schools", by C.S. Lewis, Collier Books, New York 1955
    This book starts with the following quote from Confucius, Analects II. 16: The Master said, "He who sets to work on a different strand destroys the whole fabric." It was challenging for me to understand even this first quote, as I get a different impression from Japanese translation. 子曰 攻乎異端 斯害也已。(子曰、異端を攻むるは斯これ害あるのみ(解釈も多数あり)) 為政第二16
    This small book consists of three parts; Men Without Chests, The Way, and The Abolition of Man followed by Appendix-Illustrations of the Tao. C.S. Lewis Foundation provides a study guide to this book. It begins with the following: The Abolition of Man was first given as a series of lectures in 1943. The lectures dealt largely with the dangers of moral relativism – a subject that increasingly was to occupy Lewis’ mind as he noted the destructive trends emerging in the modern world-view. I understood a rough idea described above, but it was too difficult to me.
    (2017.1.31)

  4. 「ソクラテスの弁明」プラトン著、納富信留訳 光文社古典新訳文庫(ISBN978-4-334-75256-9, 2012.9.30)
    久しぶりに、ソクラテスの弁明を新しい訳で読んだ。「無知の知」や「より善く生きる」とはについて学びたかったからだが、そう簡単ではない。やはり聖書と同じくゆくりとプラトンの著作を読んでみたい。 (2017.3.24)

  5. 「日本プロテスタント伝道史」小野静雄著、日本基督改革派教会西部中会文書委員会(ISBN4-88077-034-5, 1989.4.30)
    2009年にも読んでいるが、今回、キリスト教週間で、多磨霊園ツアーの案内をすることになり、時間の関係で、新入生リトリート中に簡単に読めるものを選び再読した。前回読んだとき殆ど理解できていなかったこと。今回も十分には、理解できていないことを発見した。読み取りたい内容が、2009年から深化したのか、前回は、あまりにも、不注意だったかは不明である。
    以下は備忘録: (2017.5.13)

  6. 「Apology ソクラテスの弁明」By Plato, Retold by Nina Wegner, IBCパブリッシング(ISBN978-4-7946-0200-8, 2013.4.2)
    英文で Apology を読もうとして手に取ったのが、簡単な英語で書かれた本書だった。読むかどうか迷ったが、短い時間で読めることもあって、電車の中で読んだ。1600 word level とあり、さすがに、すらすら読める。しかし、わたしが話すときに使っている語彙数とはほぼ同じではないかと思った。したがって、わたしが、本書について、英語で議論するときには、このレベルで十分である。そう考えると、このレベルの本をある程度読むことの意義もあるように思えてきた。
    Memo: (2017.5.16)

  7. 「アイヌ伝道等をめぐって 日本宣教の光りと影 信州夏期宣教講座編」宮島利光、岩崎孝志、山口陽一、辻浦信生著、いのちのことば社(ISBN4-264-02295-9, 2004.9.1)
    多磨霊園ツアーの準備で日本宣教について調べていて出会った。目次:はじめに、アイヌ民族と宣教、アイヌ民族について、日本的キリスト教の陥穽(かんせい)ー内村鑑三とその時代、山室軍平の平民説教、内村鑑三の説教。地道な検証を批判的に行っている人たちがいることに驚かされた。これも、日本基督教の一つの系譜なのだろう。印象に残った言葉を列挙する。
    以下は備忘録: (2017.5.27)

  8. 「女性の宣教 女性が福音を宣教する権利」カサリン・ブース著、"Female Ministry: Women's Right to Preach the Gospel” by Catherine Booth, Originally published in 1859、救世軍出版供給部(ISBN978-4-87685-025-9, 2016.8.1)
    救世軍の友人から頂いた。まさにタイトルの課題に正面から立ち向かっている。今日まだ、女性の牧師を認めない教派があるが、救世軍創始者の夫人が聖書から説き起こし、丁寧に論じている。34ページということもあり、続けて二度読んだ。このような書に出会えたことに、こころから感謝している。ただし、論文として書かれてはいないので、引用などの普遍性がない。誰のことなのか、どこで述べられたことなのかなどが不明である。まず、1コリント11:4,5「男はだれでも祈ったり、預言したりする際に、頭に物をかぶるなら、自分の頭を侮辱することになります。 女はだれでも祈ったり、預言したりする際に、頭に物をかぶらないなら、その頭を侮辱することになります。それは、髪の毛をそり落としたのと同じだからです。 」と使徒2:17,18「神は言われる。終わりの時に、/わたしの霊をすべての人に注ぐ。すると、あなたたちの息子と娘は預言し、/若者は幻を見、老人は夢を見る。 わたしの僕やはしためにも、/そのときには、わたしの霊を注ぐ。すると、彼らは預言する。 」をあげ、男も女も預言するようにされたことを述べ、1コリント14:34,35「婦人たちは、教会では黙っていなさい。婦人たちには語ることが許されていません。律法も言っているように、婦人たちは従う者でありなさい。 何か知りたいことがあったら、家で自分の夫に聞きなさい。婦人にとって教会の中で発言するのは、恥ずべきことです。」について何がここで命令されているかを丁寧に論じ, 1テモテ2:12,13「婦人が教えたり、男の上に立ったりするのを、わたしは許しません。むしろ、静かにしているべきです。 なぜならば、アダムが最初に造られ、それからエバが造られたからです。 」についても述べ、聖書の中の女預言者や女性伝道者について、奉仕者について述べている。原語の考察もあり、これだけの議論で断定的とは稲井が十分なものである。個人的には、パウロの書簡の目的を考えると普遍性を持たす場合にはとくに気をつけないと考えているが。ぜひ、皆さんに読んでいただきたい。
    (2017.6.3)

  9. 「ボランティア もう一つの情報社会」金子郁容(いくよう)著、岩波新書 235(ISBN4-00-430235-8, 1992.7.20)
    サービス・ラーニングセンター長となり、考え始めたトピックにおける参考図書の一つを、タイ、インドでの、学生のサービス・ラーニング視察の旅の前半で読んだ。自発性に結びつけられたボランティアについて多方面から考えることができた。 (2017.7.17)

  10. 「こんなとき英語でどう切り抜ける?」柴田真一著、青春出版社(ISBN978-4-413-04515-5, 2017.6.15)
    知人の著者から献本していただいた。海外に視察・協議に行くときに持って行き、タイからインド移動中などに読んだ。著者の本は何冊となく見ており、そのうちのいくつかは読んでいるが、著者が一番伝えたいことがこの本の背景に詰まっていると感じた。つまり、英語を使うビジネスの世界で生きてきた著者が、英語でのコミュニケーションを中心におきつつ、多様な背景の人たちとビジネスをするときに、心がけてほしいことを説いている。メンターのような役割を演じており、著者のこころも入っていると思う。体験談は、考えさせられることが多かった。
    以下は備忘録: (2017.7.18)

  11. "Learning Through Serving: A Student Guidebook For Service-learning Across the Disciplines", by Christine M. Cress, Peter J. Collier, Vicki L. Reitenauer, Stylus Publishing, LLC (ISBN 1-57922-119-X, 2005)
    Introduced by staff at Service-Learning Center of International Christian University, I read through the book while I was traveling in Thailand and India visiting ICU students engaging in service-learning activities. Very useful to overview service-learning as a part of curriculum at a college.
    Memo: (2017.7.27)

  12. 「この世の富に忠実に - キリスト教倫理と経済社会」大谷順彦著、すぐ書房(ISBN4-88068-243-8, 1993.10.11)
    著者は神戸大学経済学部卒、ミネソタ大学大学院(Ph.D)、ミネソタ大学、パーデゥー大学、カンサス大学などで教えた後、執筆当時は、筑波大学教授、土浦めぐみ教会会員とある。現在は、志学会会長。志学会を通して2002年頃から存じ上げており、この本についても、いつか読みたいと思っていた。経済学の基本的な考え方を丁寧に説明しながら、経済学者としてキリスト教倫理の現代的意義を説明している。バランスのとれた学問的考察が中心をしめているので、単に信仰書として読むと理解するのは困難であると思う。個人的には、ナイーブに価値判断をしていた、経済現象、市場経済についての評価について考えさせられる機会となった。いずれ経済学もこの本も学び直してみたい。
    以下は備忘録: (2017.8.6)

  13. 「進化をめぐる科学と信仰〜創造科学などを考えなおすわけ」大谷順彦著、すぐ書房(ISBN4-88068-281-0, 2001.4.5)
    「たとえ敬虔な信仰者であっても、罪人で道徳的に完全ではありえないし、信仰のみで聖書を正しく解釈することも不可能です。また、科学の領域外の真理を否定し、科学知識のみが真理で、科学が真理を独占するものだということもできません。人間であるかぎり科学者の能力には限界があり、誤りを犯す可能性ももっています。このような人間の限界を認めれば、信仰者にも、科学者にも、おたがいに寛容で、独断を避けた、オープンな(開かれた)姿勢が要求されることは明らかです。このように人間性の限界を認めたうえで、当書は、科学と信仰を正しく理解すれば、この両者はけっして衝突する必然性をもつものでなく、むしろ両者の正しい理解によって人間の世界観は広くなり、認識が深化され、宇宙や自然についての理解が豊かなものとなるという視点にもとづき、科学と信仰、とりわけ進化論と信仰の問題について考察しようとするものです。」(はしがき (i))わたしが思いつくような視点・論点は、網羅されており、詳細に資料もあげて丁寧に論じられている。膨大な文献を読みこなしておられるだけでも、敬服する。力作ということばは適切ではないかもしれないが、経済学者である著者が使命感と研究者としての粘り強さをもって、さらに、自然科学に近い社会科学者・信仰者としての謙虚さをもって書かれたすばらしい本である。このような任を負ってくださった著者に感謝すると共に、自分のこれからについての責任についても考えさせられた。
    以下は備忘録(短くするなど多少改編してある): (2017.8.12)

  14. 「確率・統計」篠原昌彦著、朝倉書店(ISBN978-4-254-11468, 1989.7.10)
    数学サマーセミナーの教科書。セミナーでは、4章1節まで読み、あとは、大学院生が残りの部分を解説してくれた。行きに4章まで、帰り道で残りをほぼ読み終えた。大学一年次の微積と線形代数のみを仮定し、ルベーク積分が必要な箇所は、結果のみという形式で、確率論をていねいに論じ、統計への橋渡しについて、ある程度ページ数をさいて説明し、そのあと、基本的な統計の事項について解説している。簡単な部分に証明をつけ、少し難易度の高いものを練習問題にしているなど、気になる部分はあったが、確率論からはじめ、統計への橋渡しについて述べるという著者の意図は一応、達成していると思われる。参考文献を見ても古典と言われるものが多く、初学者にとって読みやすいかは多少疑問が残る。少なくとも本文の理解に関係する部分については、もう少し、練習問題の解答を丁寧につけるなどが必要と思われる。朝倉書店のホームページの紹介は以下の通り:“チャンスの神様”が織りなす世界をエレメンタルに明示。〔内容〕ランダムな現象と確率空間/確率変数とその分布/平均値,分散,共分散/正規分布/ランダム・サンプリング/推定/検定/分散分析/線形回帰論
    (2017.8.30)

  15. 「聖書を読んだ30人 夏目漱石から山本五十六まで」鈴木範久著、日本聖書協会(ISBN978-4-8202-9247-0, 2017.5.1)
    岩波書店の「内村鑑三全集」の編集もしている著者は、これまで多くのキリスト者について著述があるが、この書は、キリスト者に限らず、それぞれが読んだ聖書について記録している。気軽に明治以後の人たちに与えた聖書の影響について垣間見ることができ興味深い。30人は以下の人たちである。「夏目漱石 / 田中正造 / 荻野吟子 / 内村鑑三 / 石井亮一 / 太宰治 / 井口喜源治 / 高村光太郎 / 市川栄之助 / 川端康成 / 山室軍平 / 倉田百三 / 新島襄 / 石坂洋次郎 / 新渡戸稲造 / 芥川龍之介 / 西田幾多郎 / 長谷川保 / 吉野作造 / 中勘助 / 野村胡堂 / 坂田祐 / 賀川豊彦 / 音吉 / 堀辰雄 / 山本五十六 / 萩原朔太郎 / 斎藤勇 / 八木重吉 / 鈴木大拙」(日本聖書協会ホームページより)
    以下は備忘録: (2017.9.2)

  16. 「旧約聖書の誕生」加藤隆著、ちくま学芸文庫(ISBN978-4-480-09411-7, 2011.12.10)
    以前に同じ著者の「新約聖書の誕生」を読み、特に旧約聖書の成り立ちについてもう一度、ある視点からまとめてあるものを読んでみたいとおもって手に取った。学問的な視点は常に刺激的である。しかし、不明な点も多い中、学術論文としてではなく、入門として書かれているので、もう少し根拠を知りたくなる部分が多かった。
    以下は備忘録: (2017.10.15)

  17. 「うしろめさたの人類学」松村圭一郎著、ミシマ社(ISBN978-4-903908-98-4, 2017.10.5)
    贈り物と、お金で交換できるものについて書いてあり手に取った。エチオピアにも興味を持った。異質のものと出会うと、自分自身について理解が進むことは確かだが、むずかしさ、複雑さがさらに際立っていくだけのようにも思われる。以下は備忘録だが、この本の中で引用されている言葉が中心となっている。 (2017.11.17)

  18. 「2017木陰の物語 見える・見えない」団士郎、ホンブロック
    友人からいただいた小冊子である。(116頁)最初に「すべてを分かるとは思わない でも少しでも分かりたいと思う」とあり「旅の効用」「物語の隣人」「くやし涙」「普通のいい子」「三千里」「夢のつづき」「あとがき」と短い文章がおさめられている。発行所:ホンブロック
    (2017.11.20)

  19. 「科学が宗教と出会うとき 四つのモデル」I.G. バーバー著、藤井清久訳(Translation: When Scinece Meets Religion, Ian G. Barbour)教文館(ISBN 4-7642-6649-0, 2004.8.25)
    著者は1923年生まれ。アメリカの物理学者・キリスト教神学者。中国で宣教師の子として生まれ、イギリスを経て、アメリカへ。シカゴ大学で物理学者フェルミの助手を務め、1950年物理学の博士号を受ける。1956年には、イェール大学から神学博士の学位を受け、カールトン大学で物理学と宗教学の両学部で教える。訳者は、国際基督教大学キリスト教と文化研究所非常勤研究員。科学と宗教の問題をそれまでの対立と独立の考え方だけでなく、対話と統合を加えた四つのモデルでとらえ、天文学と創造(第二章)、量子物理学が意味すること(第三章)、進化と継続する創造(第四章)、遺伝学、神経科学、および人間の本性(第五章)、神と自然(第六章)とかなり広い範囲において四つのモデルに分けて語っている。よくまとまっているが、その広さの故に、訳者も読者であるわたしも十分理解できているかは不明である。少しずつ学びを深めたいと思う一方、この分野がこのように学問的に語られると、数学と数学基礎論の関係のように、科学と宗教とも異なる1分野、おそらく、科学哲学の1分野という位置づけとなり、人間としての自然な疑問からは、少し離れてしまっているようにさえ感じる。学問とは、そのようなものなのだろう。
    以下は備忘録: (2017.11.28)


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