Last Update: December 23, 2013, Revised: April 30, 2026

2013年読書記録


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  1. 「現代語訳 論語」齋藤孝訳,ちくま新書 877 (ISBN978-4-480-06578-0, 2010.12.10)
    タイトルの通り「論語」の現代語訳である。「論語」は好きであるが、最初から最後までを読んだことがなかったので、まずは、現代語訳を読むことにした。正直にいうと、やはり、漢字文化を受け継ぐ日本において、漢文と書き下し文を省略し、現代語訳だけでは、寂しかった。そのことは、著者も分かっているようで、何カ所か、書き下し文が付き、どの漢字が用いられているかが書かれていたが、やはり物足りない。次は、是非、それがついたものを読んでみたい。しかしともかくも、短い期間で、読むことが出来たのはやはり現代語訳の威力であろう。訳者が1年半かけたと書いてあるように、ことばはよく練れていて読みやすい。他の訳との比較検討はしていないが、十分よい訳だと思われる。他の方も似た表現をするが、論語の魅力、孔子の魅力は、p.276 にもあるように「学ぶことを中心として人生を作り上げていること」「教育者は、人を教育する、と言うこと以前に、『学び続けることが生きることだ』と心底考えていること、そしてそれを自分で実践していること」と書かれているが、わたしもその通りだと考える。これが固定された学問や教えになってしまうと、とたんに死んでしまうということも頷ける。今回特に魅力的に感じたいくつかのことばを備忘録として記す。 (2013.1.18)

  2. 「くじけないで」柴田トヨ,飛鳥新社 (ISBN978-4-87031-992-9, 2010.3.25)
    新聞紙上でも有名になり、つい最近101歳で亡くなられた柴田トヨさんの詩集である。この詩集と、次の「百歳」とに、これまでどのように生きてこられたかも書かれている。いくつか抜粋する。 (2013.1.27)

  3. 「百歳」柴田トヨ,飛鳥新社 (ISBN978-4-86410-104-2, 2011.9.19)
    つい最近101歳で亡くなられた柴田トヨさん(1911.6.26-2013.1.20 栃木県栃木市出身)の詩集である。 (2013.1.27)

  4. 「すべては主の御手に委ねて - ヴォーリズと満喜子の信仰と自由」木村晟,聖母文庫 (ISBN978-4-88216-336-7, 2012.7.25)
    著者は、1934年滋賀県野洲市生まれ、近江兄弟社学園を経て日本大学文学部国文学科卒業、桜美林大学、神戸女子大学、駒沢大学などに勤める。近江野田教会は簿教会で、現在、東久留米キリスト教会員。最後に自伝がある。この本は「帰天していよいよ光彩を放つ勇者のスピリット - 平和の使者 W・メレル・ヴォーリズの信仰と生涯」「神への賛美 - ヴォーリズと満喜子の祈りと実践の記」との三部作である。ヴォーリズとその妻満喜子は、近江兄弟社学園の創始者である。滋賀県全域でキリスト教伝道をし、メンソレータムで有名な近江兄弟社を設立、ヴォーリズ建築事務所による建築で有名なヴォーリズに興味があり、手にとって読むことにした。この三作目は、基本的に、近江兄弟社学園に連なる人々といった内容で、個人的に興味のある内容はあまり記されていなかった。ヴォーリズが日本を愛する故に帰化しそのために日牟礼八幡神宮の氏子になった話 (p.128)、「生命同時共同体」の考え方 (p.134)、満喜子の人間の発育過程の三項:1. 自己中心(自己防御の本能)2. 自己統制力(教育により自我を支配し、自由にこれを働かす力を持たせること)3. 境遇を処する力(教育により社会良心を得させること)(p.146)。第三部の高橋虔(まさし)、大島廣、松村義敏(よしはる)特に、高橋は、松本卓夫、山谷省吾を中心として翻訳した口語訳聖書の改訳委員として、上記二人に加わり三人目として改訳を担当している。
    (2013.3.11)

  5. 「シャノンの情報理論入門 - 価値ある情報を高速に、正確に送る」高岡詠子,講談社 ブルーバックス B-1795 (ISBN978-4-06-257795-3, 2012.12.20)
    著者は慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業、上智大学理工学部情報理工学科准教授、博士(工学)、国際基督教大学へも非常勤講師として来ていただいている。シャノンによる「情報源符号化定理(シャノンの第一基本定理)」と「通信路符号化定理(シャノンの第二基本定理)」を「 価値ある情報を高速に、正確に送る」という標語のもとに、わかりやすく解説した良書である。まず基本となる情報エントロピーを、情報の価値をどう計るかから説き起こし「ある情報源から出される符号語が、受信側に渡った瞬間に復号できる符号であれば、その符号語の平均符号長は、情報源のエントロピー以下にはならない。」と情報源符号化定理を表現している。相互情報量から通信路容量の説明も丁寧にし「通信路容量よりも遅い速度で情報を送信する、つまり、送信符号に対して適切に通信路符号化を行うことにとって、受信側で誤る確率を限りなく0に近づけることが出来る」と通信路符号化定理を説明している。標本化定理についても解説しているが、正直に書くと、この部分は説明に多少不安を覚える。私の理解が不十分なのかも知れないが。符号理論を勉強したときに、ある程度学んではいたが、証明はしないが、わかりやすくかつある程度数式も示して丁寧に説明する手法は、すばらしい。少し残念なのは、参考文献はあるが、このあとに続けて読むような参考図書が載っていないのは、残念。読者層を、数学を最小限にしておきたい、情報理論学習者に絞りすぎているからではないか。数学の素養があれば、証明もある程度導き出せる程度に書いてあるのだから、次のステップへの学問てき案内もほしかった。そうすれば、数学を学ぶ学生にもよい刺激となったであろう。
    (2013.3.23)

  6. 「人間に固有なものとは何か (WHAT US THE PROPRIUM OF THE HUMANITIES?) 人文科学をめぐる連続講演(コラボレーション)」森本あんり編,創文社 (ISBN978-4-423-10107-0, 2011.3.20)
    国際基督教大学 (ICU) 「キリスト教と文化研究所」の主催で行われて表題の連続講演をまとめたもの。目次の表題のみ記す。はじめに、1. 神学:ゆるしの神学と人間学、森本あんり、2.ドイツ文学:現代社会における「人間性・人文科学」の役割、ゲァハート・シェーパース、3. 西洋古典学:人間と人間を超えるものー古代ギリシャ文学における名誉と報復の正義の問題をめぐって、川島重成、4. 聖書学:古代イスラエルにおける人間の自由を尊厳、並木浩一、5. 哲学:神は死んだ?それなら人間性は死んでいないのか?、田中敦、6. 日本文学:人の心ー文学作品に詠まれた古代日本人の存在論、ツベタナ・クリステワ、7. 音楽:音楽はなぜ存在するか、金澤正剛、8. フランス文学:聖アントワーヌの誘惑、小玉クリスティーヌ、9. 哲学:自己を知るー超越者との対話、岡野昌雄、10. 中国思想:朱子の各物致知説ー易と太極図説をめぐって、古藤友子、11. 文学:恋・自然・日常ー生にやどる意味、岩切正一郎、12.西洋古典学:ホメロス叙事詩における運命表現、佐野好則。それぞれに、質疑応答と思い出の三冊が続く。同僚や先輩教授の講演をまとめて、読むことができたことは興味深い経験だった。しかし、ひととしての営みを専門とすることに対するなんとも言えない違和感と、理系との距離を感じたことは確かである。以下は、並木先生の言葉の備忘録。 (2013.4.2)

  7. 「イエス入門」リチャード・ボウカム著、山口希生・横田法路訳,新教出版社 (ISBN978-4-400-52071-9, 2013.6.14)
    Richard Bauckham 著 Jesus: A Very Short Introduction, Oxford University Press の翻訳である。リチャード・ボウカム(スコットランドのセイントアンドリュース大学名誉教授)が来日し、ICUでも講演する事を聞き、その代表作と言われる「イエスとその目撃者たち 目撃者証言としての福音書」(新教出版, 2011)を読み始めたがすぐ虜になってしまった。しかし、学期中でかつこの本が大部であったため、3章まで読み終わったところで、丁度その来日にあわせて出版された、この本を購入し読むことにした。「イエスとその目撃者たち 目撃者証言としての福音書」が背後にあることが透けて見えると同時に、学術書としてではなく、一般の人むけに書かれ、福音書のイエスについて非常に適格にまとめられている。おどろくほど正確に、かつバランスを持って。あることを言い切らず、明確にはイエスが答えていない部分は、無理に解釈をせず、そのとおりに記されている。引用は基本的に、聖書だけになっている。特に、聖書とイエスの教えに興味のある学生には、まず福音書を読み、それからこの本を読み、そのあとで、新約聖書を読み、そして旧約聖書からもう一度聖書を読み、またこの本を読んでもらいたい。そのような読み方に十分堪える本であると信じる。目次を記す。1.イエスー世界のアイコン 2.資料 3.一世紀の文献から見たイエス 4.神の王国をもたらす 5.神の王国を教える 6.イエスとは何者か 7.死、そして新たなる始まり 8.キリスト教信仰におけるイエス。リチャード・ボウカム氏に聖書の会のことや、聖書学者が引き起こす一般信徒の信仰の混乱、それを少しでも是正するためにも先生の本が貴重であることなど、考えていることを、本当につたない英語で伝えた。「聖書の会」の時間をたいせつにして下さいというお言葉をいただき、本にサインをして頂いた。内容については、上記の本をしっかり読んでから、もう一度、読み直し書きたいと思う。まとめてあるものを下手にまとめることは適切ではないと考えるので。
    (2013.7.7)

  8. 「アップルを創った怪物ーもう一人の創業者、ウォズニアック自伝」スティーブ・ウォズニアック著、井口耕二訳、ダイヤモンド社 (ISBN978-4-478-00479-1, 2008.11.28)
    iWoz by Steve Wozniak with Gine Smith, W.W. Norton & Company. Inc. の翻訳である。ジーナ・スミスが聞き取って書いた、スティーブ・ウォズニアックの自伝である。むろん、この本の内容がすべて正確であるかは検証が必要であろうが、それが真実であることも簡単に信じさせられてしまうほど、わたしはこのスティーブ・ウォズニアックに魅了させられてしまった。いくつか理由があるとおもう。まずウォズは、1950年生まれで世代が近い、Susan Cain も言っているが、彼は introvert 内向的で自分ひとりで集中して仕事をすることが好きなこと、しかしあまり暗くならないこと(もしかすると、わたしは暗いかも知れないけど)、経営に参加することを徹底的に避け、お金を儲けるとか、地位をえることよりも、エンジニアで居続けることを毅然として選択すること(これは、わたしがそうであるというより、わたしの憧れかも知れない)、そして人が楽しんでくれることに大きな価値をおいていること。スティーブ・ウォズニアックは、技術者のお父さんのもとで価値観とともに、こどものころから技術を習得していった、エレクトロニクス・エンジニアのカリスマである。Apple I も、Apple II もほとんど一人で設計している(少なくともそう書かれている)。これは、ハードもソフトも。このハード、ソフト一体の製品は、いまも、アップルの精神に引き継がれている。しかし同時に「技術者が重要だと考えることと生身の人間にとって大事なことは違う」ことも自覚している。マーケティング主導で製品をつくることには、反対だが「テクノロジ業界の物の言い方を乗り越えて消費者のニーズに直接応える能力」をもった4歳年下のスティーブ・ジョブスのことはよいパートナーであると評価し続けている。人の良さ、教育への興味も、わたしが、憧れる一因であろう。しかし、スティーブ・ウォズニアックの言うように、彼の生き方に惹かれたら、かれとは違う独自の生き方を勇気をもって生きることだと思う。そういった勇気ももらった。中身については、書かない方がよいだろう。しかし、わたしの備忘録として目次を記す。1. 僕達電気少年、 2. 論理ゲーム、3. コンピュータとの出会い、4. テレビ妨害機、5. 僕のクリームソーダ・コンピュータ、6. はらはらどきどき電話フリーク、7. スティーブとめちゃくちゃした日々、8. ヒューレット・パッカード時代、9. いかしたプロジェクト、10. 僕のすごいアイディア、11. アップル I、12. 僕らの会社、13. アップル II、14. フォード以来、最大の株式公開、15. ウォズ・プラン、16. 不思議な飛行機事故、17. 僕の「ウッドストック」、18. アップルからCL9へ、19. 子どもたちに教える、20. 人生の法則。これほどこころをときめかして読んだ本はない。なぜそこまで感動するのか、もう少し考えてみたい。備忘録として、確かだったのはこれだけと書いてある、インテルの創業者、ゴードン・ムーアのムーアの法則だけを記す「一つのチップに集積できるトランジスタの数が18ヶ月ごとに倍になる。」1980年、アメリカを離れる頃、サンフランシスコの空港で、インテルの社員と会って話していたとき、この言葉を聞いた。十分その意味することは理解できなかったが、ここではすごいことが起こっていると言うことだけはわかった。実は、これは、ムーアが1964年に言ったことだと言うことを今回知った。インテルでは1980年頃まさに、この法則を想定して製品開発をしていたということだ。p.205 にある、1975年3月のホーム・ブリューの第一回会合のこととともに、覚えておきたい。
    (2013.7.8)

  9. "Elementary Number Theory: Primes, Congruences, and Secrets - A Computational Approach", by William Stein, Undergraduate Texts in Mathematics, Springer (ISBN978-0-387-85525-7, 2009)
    Sage Math の開発者が書いた、初等整数論と暗号論の入門書である。Sage を使った例も多く、実際どのくらい大きな素数を扱うのかもわかり、実感が湧く。1. Prime Numbers, 2. The Ring of Integers Modulo n, 3. Public-key Cryptography, 4. Quadratic Reciprocity, 5. Continued Fractions, 6. Elliptic Curves. 面白くなると、beyond scope of this book と書かれていて、残念。証明も、洗練されているとは言えないが、通常とは異なる証明もある。個人的には、Continued Fractions の節がよく書かれており、勉強になった。一番の特徴は、Sage だが、二番目としてあげるなら、その出版方法だろう。本人の、ホームページに、pdf が載せられている。現時点では、November 16, 2011 となっている。絶版になる危険性や、より多くの人に読んでもらうメリット、改訂の便、読者とのインタラクションを考えると、教育的な本に関しては、このような出版形態は非常に適していると思う。私も出版するなら、そのような形式にしたい。このような本が今後増える事を期待する。
    (2013.7.25)

  10. 「教会生活の要点」近藤勝彦著、東神大パンフレット 38、東京神学大学出版委員会 (2010.8.5)
    近藤先生のキリスト教概論の授業の推薦図書に入っていたが、ICU図書館に無かったので、注文。丁度、クリスマス休暇の直前で、多少の時間もあり、すぐ手にとって読んだ。構成は、はじめに、1.礼拝と伝道、2.洗礼と聖餐、3.教会生活と信仰告白、4.祈り、讃美、献金、あとがき、となっている。2の部分は、教職者向けの講演を中心とし、それ以外は、信徒向けの講演を中心としてまとめられたと書かれている。あとがきにも明確に書かれているが「キリスト者になったことは『教会人』になったことを意味します。」と規定している。書かれている内容は、精緻な神学的議論を踏まえ、文章も中心的教理について、しっかりと書かれているが、信徒教育と考えると、かなり違和感を感じる。おそらく、一方的で、個々の信仰者が主体的に学び、信仰告白していく助けをするものには思えないからであろう。ひざまづき、少しずつ理解しながら、著者ににじり寄らないと、質問すらしにくい雰囲気がしてしまう。ICUで、授業を行われる先生の姿勢を考えると、本の書き方においても、もう少し信徒に近づくことが可能なのではないだろうか。
    以下は備忘録: (2013.12.23)

  11. 「日本伝道の展望」近藤勝彦著、東神大パンフレット 39、東京神学大学出版委員会 (2013.2.1)
    「伝道」を中心テーマとして、講演集をまとめたものである。構成は、はじめに、1,教会の二つの使命ー礼拝と伝道、2.日本の伝道の展望ー日本基督教団の新しい出発、3.不安な時代に恐れなく生きる信仰、4.信仰告白的一致による伝道、5.日本伝道150年と東京神学大学の使命、6.教会と神学校、7.キリストが公然とあがめられるように、あとがき。7は、東京神学大学学長の任職式での講演である。正直に言うと、現場の教師、信徒が、これにより伝道に関する力を得るものとは、少し違うように思われる。つまり、現場での困難については、殆ど語られてない。しかし、現場の教師などがこの講演を聞き(または読み)、自分たちの立ち位置を確認する意味で、十分な価値があるのかも知れない。5に含まれる一文を引用する。「それでは伝道とはなんでしょうか。イエス・キリストにあって神がなしてくださった決定的な救いのできごと、その永遠の意味、現代に対する意味を伝え、人々を復活した実在の生けるキリストのもとに招きます。そして「洗礼」によって人々をキリストに結び合わせ、キリストのものとし、神の子とし、神の民に加えます。そのようにしてキリストに結ばれ、キリストのものにされた人がキリスト者です。そしてその人は、「洗礼」を通して「キリストの体」である教会荷その一員として加えられます。キリスト者はですから教会人です。教会にならない伝道は、本当の伝道とは言えないでしょう。」(p.71) 東京神学大学は、神学単科の大学で私学助成も受け、財政の20%を支えていること。これは、なにか親近感を感じさせられた、
    (2013.12.29)


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