Last Update: December 25, 2004
2004年読書記録
しばらく記録をさぼっていました。また、書いてみようと思っています。
- "The Bells of Nagasaki" by Takashi Nagai, translated by William Johnston, Kodansha International, Tokyo-New York-London, 1984 (ISBN 4-7700-1845-2)
長女と長崎を歩き、如己堂もなんどめかだが、ゆっくりと見ることができた。記念館が完成していて、そこでこの本を求めた。最後の一節を引用する。"Men and women of the world, never again plan war! With this atomic bomb, war can only mean suicide for the human race. From this atomic waste the people of Nagasaki confront the world and cry out: No more war! Let us follow the commandment of love before God and pray: Gran that Nagasaki may be the last atomic wilderness in the history of the world."
(2004年3月)
- 「発想法 創造性開発のために」川喜田二郎著
KJ法についての解説書。人類学者のフィールドワークからの発想法が非常に啓発的に書かれている。個人的には非常に多くを学んだが、すでに発想法が自分で確立していると考える「教養人」には得るところがないかもしれない。
(2004年3月)
- 「『沈黙の春』を読む」レイチェル・カーソン日本協会編、かもがわブックレット47(ISBN4-87699-043-3, 1992.4.22)
現代に生きる警告の書(上遠恵子)、『沈黙の春』の30年(原強)、『沈黙の春』ノート(原強)
書き下ろしではなく、重複が多い。
(2004年6月28日)
- 「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著、上遠恵子訳、森本ニ太郎写真、新潮社版(ISBN4-10-519702-9)
『沈黙の春』のレイチェル・カーソンが書きはじめ、『沈黙の春』著述のために完成しなかったもの。姪の息子ロジャーとの自然探訪。「子どもたちの世界は、いつもいきいきとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になる前に澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直観力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。もしもわたしが、すべてのこどもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力を持っているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目をみはる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。」(P23)
(2003年6月28日)
- 「世の中のことがわかる数学の雑学」柳谷晃著、中経出版(ISBN4-8061-1969-5, 2005.3.6)
数の種類と「比」の窓から社会を観る、パラドックスという玄妙な世界、苦手な微積分で時代を探る、カオス(混沌)から宇宙をのぞく。
(2004年6月29日)
- 「Turbolinux 10 Desktop マニアックス」チームTS著、技術評論社(ISBN4-7741-2004-9, 2004.5.1)
Turbolinux 10 Desktop の解説本。ちょっと読むのも恥ずかしいようなティーン向けの装丁。もしかすると、20代も見るのかも知れませんが。中身も残念ながら薄い。ほとんど、ちょっと使ってみましたという体験で、様々な情報満載とはいかない。
(2004年7月1日)
- 「数学者の素顔を探る」西尾義典著、プレアデス出版 (ISBN4-7687-0802-1, 2004.5.20)
著者は工学部出身、清風高等学校数学科教諭。1 ユークリッド、2 プトレマイオス、3 オマール・ハイヤーム、4 レオナルド・フィボナッチ、5 パスカル、6 オイラー、7 コーシー、8 ジェームス・ガーフィールド を扱っている。数学史を書くことが目的ではなく、あくまでも数学および数学のおもしろさを伝えることが主題であるようだ。ただ、高校の先生らしく、高校での数学を仮定しているため、読者層がすこし狭いのではないかと懸念する。高校である程度数学に興味を持っている生徒を対象としても、初等的な証明を含めるなどもう少し配慮があったほうが良いのではないだろうか。しかし、ともかくよく調べ興味深く書かれている。このような本は非常にすばらしいと思う。ただ、大変な努力を必要とすること、素材の重要さ、料理のうまさ、課題は多いだろう。わたしもいくつか、授業で利用させていただきたいと思っている。(正誤:p.61, line -3: 名詞→名刺、p.89, line 8: 整数→素数、p.113, line 12: at^2→a^2t)
(2004年7月4日)
- 「Java がわかる本」鈴木啓高著、Ohmusha (ISBN4-274-07970-8, 2004.5.20)
Java がどのようなものでどのような特徴があり、どのように用いられ、何が課題かが書かれているが、Java Programming の解説書ではない。JavaApplet, Active X, Tomcat, Servlet, JSP, JavaBeans などの聞きなれた言葉や、携帯や家電などでの利用について一通りの知識を得られるが、時間をかけて読む本ではないだろう。どのような人が読むのだろうか。
(2004年7月13日)
- 「長崎への道ー日本二十六聖人」結城了悟著、二十六聖人記念館(初版 1962.1.6 第7版)
1月に長崎に出張したおりに、二十六聖人記念館で買い求めた。最初はことのおこりが書かれた 第一章 難破船、第二章と第三章は、京都から長崎へのみちゆき、第四章は処刑、最後に付録が付されている。最初の文章はすこし硬い。何回も版を重ねている割には、誤字も多い、しかし、二十六聖人について書かれた最初のまとまった本ということで、素朴ではあるが、非常によく調べ、丁寧に書かれている。それだけに、いろいろと考えさせられた。秀吉はなぜキリシタンを迫害したのか。当時のキリシタンが一番大切にしたことは、なぜ当時急速にこの教えが広まったのか。最初の問いは、他の諸大名、そして、徳川家康をはじめその後の支配者がなぜ迫害したのかと共通部分とともにことなる部分もあるのだろう。この書では1587年の迫害令のすぐあとのペドロ・ゴメス神父の言葉をひいている。「この王(秀吉)は、神の教えを受け入れたものは、すべてあたかも兄弟のごとく緊密に結び付くということをその眼で見て知っていた。それで、やがては信者同士で連合し、日本の王に戦いを挑み、領国を略奪するものと思い込み、我々の聖なる教えを非常に有害なものと断定した。さらに王は、既存のすべてのキリスト教は仏教のすべての宗派をにせものときめつけ、キリシタンはみな、愛と慈悲によって一致するがゆえに、日本中から、神の教えを追放することを決めた。」この問題はさらに知りたい。秀吉のねたみはこの時期十分考えられる。
(2004年7月14日)
- 「パソコン教室1・2・3 Excel 2003/2002 2000 対応版ー仕事で使える関数基礎編」井上香緒里著、技術評論社(ISBN4-7741-2009-X, 2004.5.1)
Excel 関数を いろいろと紹介、使い方とともに、問題も CDROM に含めてある。ざっと最初から、見てみた程度だが、きれいに書かれており、これにそって実際に手を動かしていけば、かなり使えるようにはなるのではないだろうか。しかし、Excel の基本が書いてあるわけではないので、一応、使える程度の人が、関数についてだけ、知りたいとという場合の限定テキストであろう。データのリストによる扱い方などをこれだけから理解するのはすこし難しいようにも思える。パソコン教室中級用程度であろうか。
(2004年7月14日)
- "The Sacred Depth of Nature," Ursula Goodenough, Oxford University Press, 1998 (ISBN 0-19-513629-2).
"This eloquent volume reconciles the modern scientists understanding of reality with our timeless spiritual yearnings for reverence and continuity." (Scientific American) Ursula Goodenough is Professor of Biology at Washington University. One of America's leading cell biologists, she is the author of the bestselling textbook Genetics, and has served as President of the American Society of Cell Biology and of the Institute on Religion in an Age of Science. Professor Kei-ichi Takahashi introduced this book to me. He was using this book as a textbook in a course of General Education titled `Life Science.' This book accounts on the Epic of Evolution and the author gives responses as reflections, which is based upon what she calls religious naturalism. Though I could not understand the account completely, I could share a little bit of a different type of spirituality.
(2004年7月29日)
- 「キリスト教は大学においてなお意味を持ちうるか」 並木浩一, Issues of ICU Volume 5, International Christian University, March 14, 2004
2001年7月20日に「ペディラヴィウム会」夏の集い(於:YMCA東山荘)での同名の講演(初出:ペディラヴィウム会『通信』24(2002年3月)2ー26頁)に加筆したもの。背景が「まえがき」として書かれてある。ICU の創立時代のことには詳しいが、現状をあまり知らない聴衆に語られたものだが、キリスト教大学とくに、ICU のキリスト教、さらには、その「キリスト者条項」について非常によくまとまった、かつわかりやすい文章となっている。英語での出版もふくめ、ホームページなどに残して、議論の資料とすることが望ましいが、そこまでコミットする教員も少なくなってきていることが現状であり、それがこのような文章の背景にもある。設立はプロテスタント原理に基づき、教員構成は超教派の原則の中で、現在は、カトリックの教員がとても増えていること、社会の変化に対してはっきりとしたメッセージを送っていないことなどなど。個人の内面の信仰の問題ではなく、公的な機関として条項を維持する意味など、本質的な点がしっかりと語られている。
(2004年8月1日)
- 「キリスト教大学の新しい挑戦」倉松功・近藤勝彦著、聖学院大学出版会 (ISBN4-915832-22-8, 1998.8.27)
倉松先生はこの春まで東北学院大学学長、近藤先生は東京神学大学教授。基本的には、二人の講演を集めたものである。印象に残ったのは、倉松先生の講演のなかでは「親の教育選択権」の問題。世界人権宣言のなかでは認めているが、日本ではこの点があやふやで、それが、国の教育への過度の依存、両親の教育責任の不明となってあらわれており、この明確化が重要であるという点。私立学校の責任の大きさの表明でもあろう。「それ(大学の根本理由)は、学問研究の意味についての確信と教育の可能性に対する共同体的な信念、真理の共同研究と人間の教育関係に対する信頼(p.93)。」近藤先生の講演のなかでは、プロテスタント文化大学の重要性、そのスタートとしての聖学院の意義。ロビンソン・クルーソーの中での「悩みの日に我を呼べ。我、汝を助けん」というこの本を支える中心的なテーマとしての聖書の言葉が子ども向けの本では、抜け落ちてしまっているということの指摘からの日本の教育の問題点についての記述。講演集という制約から仕方がないと思うが、本質的な議論がいくつかの点に限られており、深められていない。このレベルの先生が20人程度でも集まって、現実のキリスト教大学も十分みすえて、今後のキリスト教大学について議論するのでなければ、意味が薄いように感じる。
(2004年8月22日)
- 「GOOGLE ポケットガイド」Tara Calishain, Rael Dornfest, DJ Adams著、山名早人訳、オライリー・ジャパン(ISBN4-87311-153-6, 2003.10.24)
「GOOGLE HACK」の出版にともないそのミニ版(ダイジェスト版)の出版がこの書である。「GOOGLE HACK」はよく書かれているが、それについてはいずれ書評をかくことにする。構文検索の基本はこの本でも得られる。形態要素解析などは、何も知らなかった。
"__", AND, OR or |, (), +, -, *, intitle:, allintitle:, intext:, allintext:, inurl:, allinurl:, inanchor:, allinanchor:, site:, link:, cash:, daterange:, filetype:, related:, info:, phonebook:, rphonebook:, bphonebook:, stocks:
directory, groups, images, news, catalogs, froogle
Yahoo! JAPAN, BIGLOBE, @nifty での GOOGLE へ投げる前の日本語支援。
この何行かの情報ですでに一般ユーザーにとっては十分かもしれない。
(2004年9月1日)
- 「グーグる!」インターネットマガジン編集部編、インプレス(ISBN4-8443-1912-4, 2004.4.1)
2003年11月26日から2004年1月5日までインターネット上で行なわれた「Google超活用法アイディアコンテスト」を元に編集されている。ざっと読んでみたが、その時間およそ15分。ほとんど何も得られなかった。"Google Hack" と比べてあまりにレベルが違うからか。しかし、恥ずかしいながら、"five times thirteen" など電卓としても使えることを知らなかった。単位変換。"1000 feet in m" "15oz in g" "seconds in a day" や、"90 degrees f in c" などは便利かも知れない。
(2004年9月1日)
- 「MacOSX10.3 Panther の壁」折中良樹著、ソシム (ISBN4-88337-369-X, 2004.7.1)
OS9からの乗換の最後のチャンスとして、なぜ乗り換える必要があるのかからはじめ、MacOS 9 までのものとの違い、設定に関する注意が、両方の画面が丁寧にならべられて説明されている。姿勢として好感がもてる。個人的にはほとんどが知っていることで1時間弱で殆んど読んでしまった。説明のため、自分の知識を確認するのには良かったかも知れない。
(2004年9月2日)
- 「アンドレヴェイユ自伝ー上:ある数学者の修行時代」アンドレ・ヴェイユ著、稲葉延子訳、シュプリンガー・フェアラーク東京(ISBN4-431-71109-0, 1994.5.24 初版、2004.5.26 増補新版)
1906年5月6日パリで生まれる。1998年8月6日プリンストンにて没。上巻は、妹のシモーヌ・ヴェイユの思いでも書きながら、1932年インドからもどるまで。ガンジーと会った時の話しなども含み、交友は広い、本当にすごい人としか表現できない私には、十分味わえたかどうかはわからないが、院生時代「ヒルベルト」を読んで感激した時とはかなりことなる強い印象を持った。このような人を真の自由人とよぶのだろうか。訳の関係かよく意味がわからなかったところが何箇所かあったが、ミスプリントなどは気付かなかった。(p126, line-6)。一箇所のみ引用。「数学者の名前に値するものは、時折り稀だが、奇跡のように思考が連続しておこる明解な高揚感を経験するものである。ここに無意識が(この言葉にどんな意味を付与しようとも)関与するようにも思われる。ポアンカレは有名な一頁に、どのようにしてフックス関数を発見したかをかいた。このような状態についてガウスは、はらませることは喜びだ、しかし、生むことは苦しみだと言っていたらしい。性的快楽とは違い、これは何時間もいや何日も続くことがある。これを知った者はこの喜びをまた味わいたくなるが、自分から挑発する力はない。せいぜいたゆまぬ研究の末、褒美のように現れる以外は味わえないからだ。この喜びはその発見の価値とは無関係なのは事実だが。」(p.127-8) シモーヌ・ヴェイユについては、私は何も知らないと言って良い。しかし、次の言葉はやはり、強烈「14歳のとき、私は思春期特有の絶望感にとらわれ、自分の生まれつきの能力の平凡さを思い、深刻に死ぬことを考えました。パスカルの幼少時代ともくらべられた私の兄のたぐいまれなる才能が、私に自分の平凡さを意識させました。私は、真理なしに生きていくことを思うと、死んだ方がいいと思いました。内的に暗い数カ月を過ごしたあと、自分の能力が、ほとんど零に等しくても、ただ、その人が真理を望み、たえずその王国に達するために努力し注意を払いさえすれば、どんな人間であってもその王国に入ることができるという確信を、永遠に続くものとして得ました…」(神を待ち望む)後書きにかえてより (p.137)
(2004年9月2日)
- 「Mac OSX スマートに使える熟練の技」いとうあき/まとば史郎/矢島伸之著、技術評論社(ISBN4-7741-2051-0, 2004.7.4)
最近になって、いろいろと OSX に関する本が充実してきている。これなども、よく苅れていると思う。全くの初心者用とはことなる。正直に私が知らなかった項目を列挙する。
- 起動中のアプリケーションの切替え [Cmd]+[Tab]
- インストールしたアプリケーションの中身を確認 Library [Ctr]+ click
- システムの最適化:sudo update_prebiding -root /
- ダブルスクロールアローの表示:defaults write "Apple Global Domain" AppleScrollBarVariantDoubleBoth
アピアランスで修正
- Terminal で日本語:cat setconvert-meta off; set meta-flag on; set output-meta on >> .inputrc
- Windows Mouse を使う:Driver (システム環境設定に追加)
- Function Key 利用:[Ctr]+[Fn] (システム環境設定:マウス/キーボード)
- 起動時の音だけ小さく:StartupSound.prefPane
(2004年9月5日)
- 「アンドレヴェイユ自伝ー下:ある数学者の修行時代」アンドレ・ヴェイユ著、稲葉延子訳、シュプリンガー・フェアラーク東京(ISBN4-431-71110-4, 1994.5.24 初版、2004.5.26 増補新版)
上巻の読書記録もあるので、ここでは下巻からいくつか抜き書きを記す。スキー事故でなくなった R.E.A.C. ペーリーと自分との違いにふれ「彼は他人と競って、彼を追い抜こうとしている競争集団が絶えずかれを刺激しない限り、良い研究の成果は見られないということであった。逆に私のやり方は、他の人と競争のないテーマに居心地の良さを感じ、何年でも、平穏にじっくり考えるというものだった。このような気質の差はどんな学問分野にもおそらく存在するだろう。もちろん、このような研究者にとって、ノーベル賞が一番のお目当てだとして構わないではないか。ヒンドゥーの知性の神ガネッシュにしても、信徒たちを引っ張るためには、高貴であろうと卑しかろうと、それぞれに合った餌を与えているように思う。」(p.4) ブルバキの名前について「我々が共著で本を書く計画が具体化した時、すべての著者の名前を長々と羅列して表紙を埋めるわけにはいかないということがすぐに問題になった。そこでうまい具合にエコール・ノルマル時代の新入生だまし(カニュラール)を我々は思い出したのだった。デルサルトやカルタンと私がエコール・ノルマルにいた頃、1923年の新入生たちが、学校のゴロ入りの便箋で何日の何時にそれというなんとなくスカンジナビア風の名前の教授の講義があるので、ぜひ参加するよう二という招集をうけた。実はその講師は上級生のラウル・ユッソンで、新入生だましの好きな人だった。かれは、後に統計学者になり、さらには音韻論と歌の学問的研究をしたそうだ。1923年のそのとき、彼は「新米」たちの前に付け鬚をつけて登場し、出身地のわからないなまりの講義をはじめた。彼は古典的な関数論の話しをほんの少しばかりした後、徐々に徐々にとんでもないレベルまで話しをもっていき、最後には呆然となってしまった聴衆を前に「ブルバキの定理」で締めくくった。これが何にせよ部る場気の伝説のあらましだが、出席した学生の中に最初から最後まで理解できたと豪語するものがいたというおちが付く。エコール・ノルマルのその先輩は、ナポレオンに関係のあった将軍の名前をこの定理に拝借したのだった。」(p.15) この話しはまだ続く。「ロシアの数学者オットー・シュミットは群論の定理でも名前を残しているが、… つぎのようなことを言ったらしい「どんな体制下であろうと、数学者の仕事は世間一般の人には負化かい過ぎるので、外から非難されることはあり得ない。連帯感さえもっていれば数学者は不死身である。」(p.26) p.36 には空集合の記号がノルヱー語からとったことが記されている。p.47 にはメダルのこと。本当にこの人は、天分をもって戦争のなかでも自由人として生きぬいたひとである。天才はそういうものなのかも知れない。しかしその才は、人の能力を見分ける力は含んでいても、こころと命を慈しむこころは含んでいなかったのかも知れない。究極の自由人について考えさせられた。現代の人のあこがれはこんな人なのかも知れないと思った。能力はすべてのひとに与えられるわけではないが。
(2004年9月25日)
- "Ruth Louise Miller, Woman of Faith and Dedication," by Delores J. Roeder, Issues of ICU Volume 7. (2003.12.25)
JICU Foundation の Executive Director として、アメリカ側で ICU の設立とその後の運営をささえた中心人物である (1915ー1992)。国際基督教大学本部棟前に石碑がある。一般的有名人ではないが、非常に多くの人にしられ、その貢献ははかり知れない。とくに、彼女が組織した Women's Planning Committee (WPC) によって、どれだけ多くの人から ICU 設立のさまざまなサポートが得られたかわからない。信仰と献身。その理想が、もし、その死後10年あまりで、変質してしまうのであれば、それは、異常としかいいようがない。
(2004年11月24日)
- "ICUのキリスト教理念, The Christian Ideals of ICU," ICU のキリスト教理念検討委員会最終報告と解説, The Final Report and Explication of The Committee for the Study of ICU's Christian Ideals, Issues of ICU Volume 4. (2003.12.24)
キリスト教条項を中心とする任用条項を支える理念のとともに、カワチ法律事務所の報告も含まれている。こんごの一番の課題は、ICU が「宗教的な教育団体」ありうるかにかかっていると言うことである。この部分が失われれば、この任用条項は排他的に作用すると言っても過言ではないと思う。
(2004年12月19日)
- 「理系のための Mac で始める研究生活, レポート作成から学会発表まで」多田眞作著 (Blue Backs B1454, ISBN4-06-257454-3)
物理系の研究者のようですが、よく書かれている。しかし、実際には、自分でも有用と思われるものは一つか二つ。TeX 環境のツールも多いのは嬉しい。結局インストールしてみたのは、HyperBiBDB のみ。
(2004年12月25日)
- 「ゲームで学ぶ楽しい物理」加藤徳善著、オーム社 (ISBN4-274-19472-5)
Java Applette でつくったプログラムの CD が入っていて労作。ただ、これで物理がわかるようになるか、興味を持つようになるかは不明。すこし身近にはなるかな。
(2004年12月25日)
- 「なぜ?がわかれば面白い Quiz でわかる中学数学」深川和久著、ベレ出版(ISBN4-86064-061-6)
単純なものばかりだが、よく工夫して書かれている。単に、面白いだけではなく、理解しようという姿勢が、わたしの感覚とも通じるところが多い。レベルは違っても、このような工夫をすることは、理解を助け、興味をひきおこすことには、大切だと感じる。
(2004年12月25日)